大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2005年1月時点の情報を掲載しています。
秋葉原などのパソコン専門店を批判する言葉に、「売りっぱなし」というものがあります。座待ち座売りはショップビジネスの基本なのですが、IT器機のように、ハード、ソフト、ペリフェラルが目的に合わせて結びつけようするシステムの場合はどうでしょうか? 個人のお客様は、ネットサーフィンにeメールのやり取り、ワープロソフトや表計算ソフトなどが使えれば満足していただけます。
お客様は個人ばかりとは限りません。筆者は東証の上場企業数社にもパソコンを販売した経験があります。秋葉原のショップから、全社的に導入するケースはマレですが、大企業の部署が、必要に迫られて秋葉原にIT器機を買いにくることは、現在でも珍しくはありません。こうした方々との接客では、業種・業務に関する知識が必要になるときがあります。若かりし頃の筆者は、付け焼刃とわかっていながら、書籍を購入して学習した記憶があります。
「申し訳ございません。そちらの知識に明るくないものでして……」とバツの悪い経験も数多くしました。企業によっては、専門的な知識を必要とするケースもあります。筆者の場合は、ハードメーカーなどに電話を掛け、事情を説明したりしましたが、お客様から与えられた課題に応えられなかったこともありました。
ところで、大塚商会とスリープロが、12月20日に新サービスの共同開発などを目的とした業務提携を発表したことをご存知でしょうか? システムインテグレーション・サービスとサポート事業の最大手である大塚商会は、スリープロのビジネスモデルを、顧客にとって最適サービスを提供する「ソリューションプロバイダ」に昇華させようと考えたと筆者は考えています。
スリープロは、企業や消費者に対する、「販売時」や「販売後の導入や交換時」、「サポートコールセンター運用時」にオンサイトや人材派遣などの事業などを組み合わせて最適なサポートサービスをOEMで供給するといったIT支援ビジネスを展開している企業です。
大塚商会のグループ会社だったJPSSが、スリープロの子会社となっていますし、スリープロでは大塚商会に第三者割当増資を実施するなどしてきました。今度は業務面でのコラボレーションです。両社は顧客満足度向上や収益率向上を目指すことになるでしょう。普及著しいIT社会は、サービスとサポートの迅速化が求められています。
筆者の知人の中小企業経営者は、「IT器機は専門家がいるかいないかで活用力がまったく違う」と話されました。どういう意味なのかとお尋ねしたところ、「IT器機を中軸に置いたシステムを柔軟かつ迅速に運用したいけれど、社内でそうした人材を育成するのが難しい」とのことでした。同じような思いをしている企業経営者は、日本全国に相当数あることでしょう。
もちろんパソコンショップのなかにも、自店で可能なサービスを提供しているところがあります。ただし、それらは、OSやアプリケーションのインストール、インターネット接続設定、パソコンの内蔵メモリ増設など、本来ならば消費者が自己責任で行う作業を代行するといった有償サービスが大半です。
サービスとサポートにスピードまで提供してくれる企業活動を望まない人は皆無でしょう。大塚商会がJPSSに委託していたサポートサービス業務が、今後はスリープロ傘下で継続され、両社はそれぞれの得意分野を生かした新サービスの開発や高付加価値商品を提案してくることでしょう。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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