大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2005年3月時点の情報を掲載しています。
最近、特に中堅・中小企業へのソリューションの提供に力を入れている、マイクロソフト株式会社の執行役 常務 眞柄 泰利氏に、これからのパートナー戦略や、現在焦点となっているセキュリティ問題などについて話を伺った。
マイクロソフトのパートナー様向けプログラムは、2004年5月に新しくなりました。その中身は各パートナー様の得意分野に基づいたマーケティングやビジネスを共に展開していこうというものです。これまでも続けてきたことですが、新たにいろいろな条件などを体系化して、より強固なパートナーシップを築くことが狙いです。
特に中堅・中小企業のお客様に関しては、マイクロソフトは自治体も含めて約8万社のお客様のプロファイルをもっております。それをもとに、お客様の意向に沿ったマーケティング活動を行い、それに応じたソリューションやサービスをパートナー様が提供し、我々がそのインフラを提供していく取り組みを行っています。その結果、パートナー様向けのビジネスが大きく進展しています。
特に企業向けのライセンスビジネスは、昨年7月から12月までの半年間で対前年度比44%も伸びています。その原動力となったのが、お客様のプロファイルをもとに、パートナー様と一緒にマーケティングやセールスを展開したことです。特に大塚商会様には、いち早く当社のビジネス戦略に対するさまざまなアドバイスやご提案をいただき、この3年間でパートナー様向けプログラムの基礎を作ることができました。まだまだパートナー様に対する新しいビジネス提供や、お客様の満足度の向上に100%貢献しているとは言えませんが、さらにより良い仕組みに改善していきたいと考えています。
この3年間、大塚商会様とこれまで以上に深いお付き合いさせていただいて、一番良かったことは、マイクロソフトの考え方を大塚商会様のお客様により深く理解していただけたことです。我々は基本的に直販活動を行っていないので、ともすると、お客様の意思にそぐわないマーケティング活動を行なってしまう可能性があります。
しかし、大塚商会様を始めとするパートナー様との連携をよくしたことと、お客様との接点を広げたことによって、当社とパートナー様、そしてお客様の3者の間に大きな相乗効果が生まれてきています。私どもは毎年、お客様の満足度調査を行っていますが、この数年間でパートナー様の満足度はかなり向上していますし、中堅・中小企業のお客様の満足度も随分上がっています。その意味では、今後もパートナー様が注力されていることを十分に理解したうえで、お客様の意向や要望をきちんと把握することが重要だと考えています。実際、その効果がかなり出はじめていると実感しています。
現在、お客様の満足度調査で特に要望が多いのが、セキュリティとテクニカルサポートです。このうち、テクニカルサポートに関しては、中堅・中小企業向けのテクニカルサポートプログラムを2005年3月から6月までパイロットプロジェクトとして実験的にスタートさせています。まずは実証実験として、我々が考えていることを実際に試してみて、その成果をフィードバックしてきちんと体系化し、7月以降から正式にプログラム化して、より多くの中堅・中小企業のお客様に提供させていだきます。
一方、セキュリティに関しては、2004年から9社連合という形で大塚商会様を含めた、9つの企業が密接な連携を図りながら、中堅・中小企業に対するトータルな情報漏えい防止ソリューションを提供しています。今後も9社の連携をより密にして、大塚商会様とマイクロソフトが一緒にお付き合いさせていただけるような共通のお客様に対して、我々が考えているセキュリティ対策をきちんと説明して、ご理解いただくことが最も重要だと考えています。すでに大塚商会様とは一緒にセミナーなどを通じて訴求させていただいており、実際に良い成果も出ています。
製品展開については、今年は『SQL Server』も新しくなりますし、今後3年くらいのレンジでいえば、『Exchange Server』や開発系の『Visual Studio』、さらには『Windows』も新しくなります。その意味では、今の時点でしっかりとした情報インフラをつくっていくことが非常に重要だと思います。それによって先々に新しい製品が出たときに必ずうまく適用できるようになりますし、セキュリティに関しても情報漏えいや個人情報保護対策を含めた堅牢な仕組みがつくれると思います。そのためには、最低限必要なベースラインのインフラとして、Active DirectoryやWindows Rights Management Services(Windows Server 2003の情報保護テクノロジ)のような仕組みを導入していただき、そのうえに大塚商会様などが提供されているセキュリティソリューションを載せていただくことになります。
セキュリティ対策としてもうひとつ重要なポイントは、情報漏えいや個人情報保護に関する、社員のモラルを向上することです。例えば、私どもの社内では、いろいろな法律に遵守するためのトレーニングをオンラインで行っています。そこには動画のコンテンツが含まれていて、最後に事例に基づいたテストを行っています。これを人事部がすべて管理し、4月1日までに契約社員などを含めた全従業員が実施することになっています。
ITはあくまでも手段に過ぎないので、全従業員がきちんと法を遵守することが最も重要だと思います。その意味では、全従業員に対するモラル向上のノウハウをお客様にきちんと説明していく必要がありますし、それを大塚商会様と協業して取り組むことによって、お客様により付加価値の高いサービスが提供できるようになると考えています。
Windowsプラットフォームの64ビット化についても、皆さん、期待していると思います。インテルさんは先般、64ビットの新型プロセッサで現行のアプリケーションも動作すると発表されましたが、当社ではここ2年くらいの間に、会計のパッケージシステムなど業務系のアプリケーションを中心に、パートナー様と64ビット化の検証を行っています。その意味では、早い段階から64ビット化に関しては積極的に取り組んでいますが、今後、さまざまなアプリケーションの検証が行われれば、年内には、サーバだけではなく、個人向けPCを含めた64ビット化が徐々に広まっていくと思います。
最近では、イニシャルコストが安いのでLinuxを導入したけれども、運用・サポートにお金がかかるので、結局、Windowsに戻したというケースをよく聞きます。私自身は、ソフトウェアの知的財産を広く共有することを旨とするオープンソース・ソフトウェアを否定するわけではありません。ひとつのソフトウェア開発手法として、すばらしい選択肢だと思います。
最近では、中国と韓国と日本の間でオープンソース・ソフトウェアを推進していこうという動きがありますが、わが国のITに関わる知的財産を諸外国にオープンにしてしまって本当にいいのかどうか、十分議論を重ねる必要があります。むしろ、知的財産立国を高らかに宣言したわが国が、オープンソース・ソフトウェアを推進することで知的財産を否定するようなスタンスは、諸外国が矛盾としてとらえかねません。このことが国際競争力の足かせにならぬよう、中立的な立場を堅持すべきではないでしょうか。逆に、わが国がこうした矛盾を放置することは、知的財産立国に向けた経済の発展を阻害する要因にもなりかねないので、客観的な議論が必要であると思います。
大塚社長はワンストップソリューションという言葉をよく使われていますが、まさに大塚商会様は、ソフトウェアやハードウェアの販売からサポートサービスまで、お客様にワンストップで付加価値の高いソリューションを提供できる数少ないベンダーさんだと思います。特にいろいろな社内システムで取り組まれた改革をベースにした大塚社長のビジネス戦略や販売戦術は、いつ話を聞いてもすごいなと思います。その間、我々とのビジネスも大きく広がっていますし、今後も大塚商会様がIT業界をリードされていくことは間違いないと思いますので、我々もその勢いに乗れるようにがんばろうと考えています。
マイクロソフト株式会社
執行役 常務 眞柄 泰利 氏
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