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2005年5月時点の情報を掲載しています。
今月から「売れるショップに、売れる人」というテーマで、繁盛するためのニンゲン力を考えていくことにしました。ニンゲン力とは、まさに営業力を意味します。筆者は専門学校でマーケティングの講義を担当していますが、生徒たちに「売れるショップと付き合うことが、成功につながること」だと話しています。
こう話すと、生徒が手をあげます。それはそうですね、一概に「売れるショップ」と話しても、「どこを見れば売れるショップだとわかるのですか?」と疑問をもつのは当然のことです。筆者の回答はどのようなものでしょうか?
「マーケティングは日本語にすると、市場創造という意味です。ショップも働く人たちの、市場創造しようとするハートを感じるんですよ」
こう回答すると、必ず、生徒は怪訝な顔を作ります。そこで具体的な事例を出してあげます。
「市場創造する意識が強いショップかどうかは、少額の買い物をすればわかります。どんなに少額の買い物をしても、丁寧な謝礼が言える人が働いているショップならば、まず、繁盛店か繁盛店になりたいと考えるショップです」
マーケティングというと、企業の戦略や戦術を構築するもののように考える人がいますが、ビジョンを具体化するのは、営業のニンゲン力に他なりません。繁盛店や繁盛店になろうとする意識に満ちているショップならば、1円の買い物をする人に対してだって接客態度が違います。
ショップはいろいろな情報を提供して、顧客の関心を高め、ひいては成約に結びつけようとする”場”です。提供する情報にはどのようなものがあるでしょうか?
最初に考えられることは、モノの価値を伝える熱意です。1円のモノに対してでも、熱意をもって説明し、ニンゲン力を発揮しようとする人だから、10万円のモノでも、この熱意ある人から購入したいと考えるのがお客様の心理です。「たった1円の売上でした」とグチをこぼすような同僚はいませんか? そんな人がいたら「1円でも売上という成果を出せたという喜びを感じなければいけませんよ」と戒めていただきたいと、筆者は考えています。
1円の売上に熱意あるニンゲン力を発揮できた人は、お客様に「こんなに素晴らしい人が働いているショップなんだ!」という感動を与えます。人は感動を他の人に伝えたがるものです。
売上1円のお客様が、100万円分のモノを購入する知人を連れてきてくれる可能性があるのです。繁盛店や繁盛店になろうと考えるショップでは、どちらも「お客様にご満足を与えたい」という空気が充満しています。
マーケティングは繁盛店でなくても、何かしら考えています。それでも、業績が急増したり、急減するショップが存在します。この違いはどこにあるのでしょうか? その回答も明確です。「マーケティングとニンゲン力の関係が一致していれば、売れるショップになれる」ことに疑いを抱いているか、いないかの差なのです。
インターネットが普及して、ビジネスが多様化したといわれはじめています。なるほど、サイバーショップも成立する時代です。サイバーショップならば、ニンゲン力は問題ではないだろうと考える人もいるでしょう。ここにも誤解があります。リアルなショップならば、外装・内装、具体的な営業方法を見せることができます。が、サイバーショップは、熱意に溢れたニンゲン力を発揮できないと、必ず失敗します。
以前、サイバーショップを起業した人は、「でも、サイバーショップには接客するような部署はありませんからね」と語りましたが、筆者は次のように回答しました。
「誤解してはいけません。ITインフラだけで繁盛店になれるのでしたら、資本力のある企業が勝つだけなんです。サイバーショップで成功するには、お客様との交流を密に、斬新で役立つ情報を、毎日のように提供する努力が必要になります。これも立派なニンゲン力です」
次回から、より踏み込んだ「売れるショップに、売れる人」を考えていきましょう。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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