大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2005年5月時点の情報を掲載しています。
2004年12月。中国およびアジアにおける最大手のパーソナル・コンピューター会社であるレノボ・グループ(以下、レノボ)とIBMコーポレーション(以下、IBM)は、レノボがIBMのパーソナル・コンピューター事業を買収し、売上規模世界第3位のパソコン会社を設立することで合意しました。この発表から約半年を経て、2005年5月に、新生レノボが日本にも誕生しました。そのレノボ・ジャパン株式会社の代表取締役社長となった向井宏之氏に、IBMとレノボの長期戦略や日本市場での対応について聞きました。
まず、新会社の概要ですが、年商1兆3,000億円、従業員数1万9,000人、世界シェア第三位のPCグローバル企業となります。本社はニューヨークに置き、日本法人も設立しました。そして、日本の大和事業所は新生レノボの主力研究拠点となります。今回の戦略的提携における最大の価値は、オンデマンド経営の実践にあります。両社の戦略的な提携では、特に変化の著しいアジアや中国市場への迅速な対応を考えています。IBM PCには、"Think"テクノロジーとブランド力があります。また、高い品質とThinkVantageによる価値とソリューションを提供できます。
レノボは、成長する中国市場で7年連続のNo.1シェアを維持しています。高い生産性と効率的なオペレーションによって、特にデスクトップPCではコンシューマ市場に強い企業となっています。この両社による新生レノボでは、PC事業への集中とスケールメリットで、市場競争力を強化できると考えています。
一方で、これまでの営業窓口体制は継続します。お客様への信頼と安心を提供するために、現行のサービス&サポートを継続してIBMから提供し、IBMブランド名も5年間は使用します。
PCの分野では、デルやHPにIBMもNECも、どこのメーカーも、アジアと中国では10%を超えるシェアを獲得していません。とても難しい市場なのです。しかし、今後の10年で中国のGDPは世界No.1になるでしょう。そう考えれば、この市場に参入することで、大きなスケールメリットが取れるのです。PC事業で考えれば、戦略的には成長路線を維持できることになります。
そのためのベストプラクティスとして、われわれはオンデマンド経営を実践していきます。これは、すべてを自社製品として取り揃えるのではなく、業務提携などを活用してベストプラクティスを仕入れることで、お客様が必要とする製品やサービスを提供する考え方です。また、新生レノボでは、世界17ヵ国で一斉に新会社を設立しましたが、今後も段階的に全世界で60ヵ国を超える現地法人を立ち上げていき、新生レノボは、一気にグローバルカンパニーとなります。
新生レノボでは、IBMのPC事業の責任者であったスティーブ・ウォードがCEOとなり、同じくIBMのフラン・オサリバンがCOOとなります。CFOとChairmanを旧レノボのCFOとCEOが務めますが、基本的なオペレーションは、IBM出身者が担当することになります。もちろん、商品群もこれまで通りに変わらず、製品計画も変わりません。日本では、日本IBMでPC事業をリードしてきた研究・開発、製造、PCスペシャリスト営業、製品企画、マーケティングチームが、レノボ・ジャパンとして日本のお客様へのご提案やサポートを継続していきます。
ただ、これまでのIBMの組織では、会社が大き過ぎてパートナー様に十分な対応ができなかった点が多々あります。今後、パートナー戦略をいかに充実させていくかが、日本では重要だと受け止めています。レノボでは、R&Dやコールセンター業務なども含めて、顧客満足度の向上に注力しています。
今回の提携では、お互いが補完する理想的な関係になり、スケールメリットも、新しい製品開発の面でも、大きく成長できると考えています。また、中国の経営は効率化がすごく進んでいます。トップ層に若い人が多いこともあり、マネジメントのスタイルがとてもスピーディーです。経営層が、常に革新的かつ挑戦的なので、そうした新しい人たちとこれまでのIBMではできなかったことを実現できると思っています。
ThinkPadとThinkCentreは、レノボを代表する最も重要なブランドになります。レノボでは、弛まぬイノベーションと高い品質が、常に業界の最先端であり続けることや、ThinkPadに関わっているエンジニア、製造チーム、営業、ビジネスパートナーが、今後も変わらずPCビジネスを担当していくことによって、お客様の成功に貢献できると信じています。
新生レノボでは、これまでと変わらない体制で、さらなる進化を続け、すべてのお客様への貢献を実現してまいります。サービス&サポート、イノベーション、クオリティという3つのテーマそれぞれに、ベストクオリティを追求します。まず、サービス&サポートの面では、ソリューションの強化や効率と競争力の追求によって、お客様価値のご提案を強化します。合わせて、買いやすさや売りやすさを提供するほか、問題解決にあたってのIBMとの業務プロセス作りによって、お客様満足度も向上させていきます。また、イノベーションにおいては、たゆまぬ技術革新と、PC事業への集中と投資を継続していきます。製品の売上が伸びれば、開発費もこれまで以上に投入できるようになるでしょう。そして、品質向上への取り組みも、これまで以上に積極的に推進していきます。
IBMやパートナー様とのチームワークは、これまでと同様で変えません。むしろ、もっと進んだことができればいいと考えています。お客様への価値提供や、売りやすさも重要だと捉えています。先進的なパートナー様の意見を聞いて、できるだけ早く製品などに取り入れて、積極的に変えていきたいと考えています。
新会社設立後も、製品上のIBMロゴは変わりません。ThinkPadそのものも変わりません。製品を作るのがレノボになり、サービスがIBMになります。直販でもパートナー様経由でも、IBMとの契約は新生レノボになります。保守は、IBMのグローバルサービスが担当します。保証や保守サービスをはじめ、電話の先やトラブル対応など、そうしたサービス体制は、まったく変えるつもりはありません。これまでも、これからのお客様にも、安心してご利用頂ける体制を整えていきます。
大塚商会様は、Thinkテクノロジーを取り込んでいる大きなビジネスパートナー様であり、われわれとしても非常に期待しています。これまでは、販売店のさらに先まで取り組んでいくような、直接的な対応は実施しにくい状況にありました。しかし、レノボ・ジャパンでは、すでに新たな取り組みを始めています。パートナー様やお客様に直接出向いていって、製品に対する意見や評価を反映する体制を整えようと考えています。
私どもは、大塚商会様などと共同で、これまでよりも一歩も二歩も踏み込んだソリューションの提案を行いたいと考えています。ThinkPadのテクノロジーは、これまで以上に進化のスピードを上げていきます。そうすることで、踏み込んだご提案をパートナー様にも考えていただけるように、われわれも積極的にサポートしていきます。
特に、ThinkPadにおいては、もっとThinkPadらしくしていきます。入念な塗装やキータッチの堅牢性にキーボードの配列、画面の出し方など、すべてがIBMのフィロソフィーとして、こうあるべきという姿を製品にしています。これをもっと進化させて、また日本だけではなく、アジアや中国にも適した小型機の開発などにも、積極的に取り組んでいきます。
また、レノボ・ジャパンは、営業拠点としての機能のみならず、ThinkPadの研究・開発部門(神奈川県大和市)を持つなど、レノボにおいて重要な役割を担います。これからも、日本のお客様の高い要求とニーズにお応えする製品の開発を行い、日本発のテクノロジーによって、世界のPC市場をリードしていきます。
新生レノボは、IBMとレノボの互いの強みを統合し、戦略的にPC分野に集中することで、他のどの企業よりもITクライアントのイノベーションをお約束します。私たちは、業界でも類まれなイノベーションへの情熱を持っています。お客様のPC体験を新たな高みへと導く機会と実力、これが新生レノボの新たな価値です。
レノボ・ジャパン株式会社
代表取締役 社長 向井 宏之 氏
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