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2005年7月時点の情報を掲載しています。
ご存知、マクドナルドといえば、世界最大のファーストフードチェーンです。1940年にアメリカ合衆国・カリフォルニア州サンバーナーディノでマクドナルド兄弟が創業しました。現在では、実に121ヵ国に存在し、店舗数も約3万1,000店舗あります。ところで、ハンバーガーは創業者のマクドナルド兄弟の発明ではありません。元々は、アメリカ全土で普及していた料理(と呼ぶのは適切ではないかも知れませんが)でした。大衆的に認知されていた料理が、世界に拡大できた理由は何でしょうか?それは時代を展望できたキーマンが、マクドナルドにいたからです。
1954年にミルクシェイク用ミキサーのセールスマンをしていたレイ・クロック(以下、レイ)が、兄弟のレストランに商品を売り込むために訪れました。レイは兄弟のレストランのシステムを眺めながら、その回転率の悪さに注目しました。「何と回転率の悪いビジネスなんだ」と批判するのではなく、レイの視点は「どうすれば回転率を上げられるのか?」にありました。レイの回答は、多数のお客様を、最大効率でさばくというものでした。フランチャイズ形式がそれです。レイはマクドナルド兄弟に進言し、さらにイリノイ州デスプレーンズに最初のフランチャイズ店をオープンさせ、大成功を収めることができました。
1955年3月2日に設立されたフランチャイズシステムを販売する社名は「マクドナルドシステム」でした。1960年に社名は「マクドナルドコーポレーション」に変更されました。レイのマーケティング戦略は次のようになります。まず、家族が来店しやすい店舗であり、とくに子供を商売の主体と考えました。子供の隣には保護者がいます。子供が主体というヒントから、サーカスのスポンサーになったのです。マクドナルドのCMに登場するピエロ「ドナルド」のモデルです。世界で知られるマスコットに成長するとはウィラードも考えていなかったはずです。
ところで、マクドナルドの英語の発音を正確にできる人は、あまりいません。以前、管理職をしていた外資系の音声認識会社のネイティブの発音を、あえてカタカナで表記してみますと「マクダァーナルズ」になります。ちなみにズの発音は日本人には聞き取り難いものでした。マクドナルドを日本に進出させたキーマンは、資本金を50%出資した藤田 田氏です。彼は日本法人設立にあたり、日本人が呼びやすい名前を採用、「日本マクドナルド」で登記したのです。国内第一号店は宣伝も兼ねて、1971年に、銀座四丁目の三越の一角に登場しました。2003年現在では、それが3,773店舗になりました。現在、マクドナルドの実質的なリーダーは、2004年2月に就任された原田泳幸CEOです。元アップル・コンピュータ社長だったことを記憶されているIT関係者も多いことと思います。IT関連のイベントなどで、とかく堅い説明をしがちな国内企業のパネラーたちと一線を画した強気の発言を繰り返していました。その彼が先日、テレビの画面に登場したとき、やはり強気の姿勢を崩しませんでした。マクドナルドでは、今年4月から、来店客層の拡大を狙い、セットメニュー5種類の価格を500円、チーズバーガーなど7種類の商品を100円に引き下げる戦略を実行しました。結果は、4〜6月の来店客数は前年同期比13.8%増となりました。しかし、肝心なのは、1人あたりの購入額(客単価)です。こちらは逆に13.1%も減少してしまったのです。海外で成功しても、国内でも成功するとは限らないというのが日本市場の特長です。規模の大小に関わらず、現代のビジネスにおいては、より緻密なマーケティングを行う必要性が高くなっているのです。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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