大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
Up Front Opinion
|
巻頭特集
|
Open Source Solutions
|
ソフトウェアライセンス
| Column >
IT活用
>
売れるショップ
>
ビジネストレンド
|
イベント情報
2006年1月時点の情報を掲載しています。
新宿に本社を構える有名IT企業で、知人から「中小企業にIT導入を促進させる画期的なアイデアはありませんか?」と質問されました。以前、筆者は日経BP社が主催する講演会で、同じテーマでスピーチした経験がありました。だから、次のように回答しました。
「御社ではどれくらいの企業規模を中小企業と認識されているんですか?」
「SOHOから、PCを100台程度導入されている企業ですが・・・」との答え。
中小企業庁が、業種、従業員数、資本金規模から中小企業を定義していることをご存知ですか?。製造業・その他の業種では従業員は300人以下又は資本金が3億円以下ですし、卸売業では従業員は100人以下又は資本金が1億円以下、小売業ならば従業員は50人以下又は資本金が5,000万円以下ですし、サービス業ならば従業員は100人以下又は資本金が5,000万円以下と定義しています。
同義の説明を知人にしたところ、一瞬、「えっ」という顔をしました。というのも、彼が攻略したい相手にはSOHOや個人事業主が含まれていたからでした。中小企業庁では小規模企業者も定義しています。それによれば、製造業・その他の業種は従業員は20人以下、商業・サービス業ならば従業員は5人以下となっています。ちなみに、この商業は卸売業、小売業(飲食店含む)を指しています。
知人が言いたかったことを、中小企業庁の定義に沿って言い換えれば「個人事業者及び中小零細企業にIT導入を促進させる画期的なアイデア」となりますね。この市場攻略策に頭を捻る理由は、中小零細企業は、日本の企業数の99%を占め、雇用の70%を担っている巨大市場だからです。画期的なアイデアが見つかれば、IT機器の売上が爆発的規模になるでしょう。
筆者は、この市場を攻略するマーケティング戦略はランチェスター戦略から地道に掘り起こすと結論付けています。あまりに有名なランチェスター戦略ですから、ご存知の読者がいらっしゃることを承知の上で、概要をご案内させていただきます。ランチェスター戦略は2つの法則を基礎としています。
ランチェスター戦略第一法則「一騎打ちの法則」
ランチェスター戦略第二法則「集中効果の法則」
「一騎打ちの法則」は弱者が戦いに勝つためのアイデアで、ランチェスターの第一法則とも呼ばれています。また、「集中効果の法則」は強者の戦略かつ弱者の戦い方を示していると解説する場合があります。
白兵戦を前提にした場合、勝者となるのは人数が多い側と決まっています。歴史的な英雄がいなくて、敵側の戦力がこちらの二倍以上もいたら、まず勝目はありません。中小零細市場にIT機器を導入させたい場合、業種・業務が多様なのですから、同一ソリューションでIT機器を導入させられないと考えることが自然です。また、大手の競合会社の手中にある顧客だと判断できたら、即座に退却するというケースもあるでしょう。まず「強い相手と喧嘩するな」を意識して 「弱い敵がどこにいるかを探せ」です。
以上から中小零細企業の企業活動を浮き彫りすることができますね。まず日本全国に散在する中小零細企業の大半は「局地戦を選択している」のです。中小零細企業の経営者は、常に大企業が興味を抱かない場所や業務を探っているのです。強敵である大企業を相手に、気づかれないビジネスを仕掛けているのです。ココを刺激するアイデアを提案しなければなりません。
中小零細企業は「接近戦にもちこむ」企業活動を好みます。地域密着型のサービスで顧客を獲得し、顧客の顔と名前をより多く記憶することがビジネスの武器なのです。中小零細企業は顧客との距離を短くして、「一対一の勝負」でビジネスに臨む傾向が強いことを心得ておくべきです。
これらを参考に、読者なりのランチェスター戦略を考えていただきたいと思います。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
本紙の購読申込み・お問合せはこちらから
Copyright 2006 Otsuka Corporation. All Rights Reserved.