大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。
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2006年3月時点の情報を掲載しています。
先日、東京・秋葉原で小規模ショップを経営している知人から相談を受けました。このお店の正社員は3名、残りはアルバイト店員です。以前は量販店で働いていたこのお店の経営者が次のような質問をしてきました。
「島川さんは大塚商会の『BP Navigator』でコラムを書いているけど、売れるショップや売れる人を、これから作ろうとする場合、優先順位はどう考えているの?」。これまで述べてきたことを体系付けよという次第です。筆者は、こう応えました。
「最初にやるべきことは、個人も企業も同じだと思います。社内業務のフローチャートを、全社で共有することだと思いますね。個人の場合、自身のスキルを冷静に分析できなければ、自己PRを上手にすることはできません。企業でも同じです。小売店の場合、一口で『営業』と括ることは簡単ですが、それでは『営業』という仕事のフローを、全員で共有できているのですか?」と。
営業は、単に「売る」だけの仕事ではありません。商品を介して、メーカー・流通・顧客から情報を取得するだけでなく、それぞれについて最適フローで処理する必要があります。販売に際しては、店頭販売の営業フローと通販の場合の営業フローとでは、当然異なります。さらに支払いについても、現金、クレジットカード、リース契約、掛売りなどによって決済フローが違ってきます。
小売店の場合、売場の管理は店員に委ねられています。売場の管理とは、接客、陳列、清掃、面談、警備などが挙げられます。現在、民事再生中の某小売店を筆者が取材したとき、驚いたことがありました。それは、同じ店内なのに、店員によって取材への対応が異なっていたことでした。あるフロアで写真撮影していたら、「失礼ですが、当店では店内の撮影をお断りしているのですが」と声を掛けられました。階下のフロアで同じ事をしたときには、店員からは何も言われなかったのに、です。
ソリューションベンダーのなかには、訪問型営業によって、顧客開拓を目指すところがあるかと思います。この場合の業務フローとなると複雑です。まず、ネットや媒体などを活用して、消費者動向の収集から始めなければなりません。次に、商品に興味を抱き、問い合わせをしてきた消費者のターゲットリストを作成し、リストに基づいたアウトバウンドを実行しなければなりません。業種によっては手書きの手紙という場合もあるでしょうが、E-mailを最大限に発揮すべきです。さあ、いよいよ、アポイント獲得です。E-mailや電話をフルに活用します。訪問型営業の場合、これらの作業を経て、はじめて「初回訪問」にたどり着くことができます。
「初回訪問で、いきなり商談に入れたり、受注することができれば、非常に効率的ですが、実際には滅多にありませんね」と教えてくれたのは、某ソリューションベンダーで働く営業マンです。ちなみに店頭販売でも、入店客数対購入客数の比率を算出すれば、その確率が低いことに驚嘆されるでしょう。秋葉原の小売店の経営者はこう話します。
「商品が売れるために、小売店ではいろいろな情報を収集しているね。他店実売価格調査、高集客店陳列方法調査、購入率向上イベント調査などだけど、実際にやってみて実感するのが「売れる」ことはありがたい、ということなんだ。当店ではありがたいことを実現させていただいた購入客に「ありがとうございました!」と、これ以上ない快活な声でお見送りしなさいと指示を出している」。
店頭であれ、訪問営業であれ、販売(成約)時点で営業フローが終了するわけではありません。販売後の納品方法や検収の確認、CS(顧客満足)に至るアフターフォローまで考慮する必要があります。
これまで述べてきたことから、「営業フローを共有できる組織作り」の完成度が、売れるショップや売れる人に直結する、ということを理解いただけたのではないでしょうか。
島川 言成
パソコン黎明期から秋葉原有名店のパソコン売場でマネージャを勤め、その後ライターに。IT関連書籍多数。日本経済新聞社では「アキハバラ文学」創生者のひとりとして紹介される。国内の機械翻訳ソフトベンチャー企業、外資系音声認識関連ベンチャー企業のコーポレート・マーケティング部長を歴任。現在、日経BP社運営のビジネスサイト「日経SmallBiz」でIT業界の現状分析とユニークな提案をするコラムを連載中。PC月刊誌「日経ベストPC」では秋葉原のマーケティング状況をリポート。また、セキュリティ関連ベンチャー企業のマーケティング部門取締役、ゲームクリエーター養成専門学校でエンターテインメント業界のマーケティング講座も担当。
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