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2006年3月時点の情報を掲載しています。
米国のエンロン事件に端を発したSOX法ことサーベンス・オクスリー法は、米国政府が制定した企業改革のための法律。SOX法では、企業に財務情報の透明性と正確性の確保を厳しく求めている。また、会計処理上の不正や誤謬を防ぐ仕組みとして、「内部統制」の整備と評価を経営幹部に義務付けてもいる。その日本版SOX法では、上場企業に対して、財務報告の正しさを確証するために、業務活動を内部統制の実施によって確認することを義務付ける。そのため、上場企業は従来の財務報告書に加えて、新たに内部統制報告書を提出することが必要となり、自社業務に対して適切な内部統制活動を実施していかなければならない。
企業会計の不祥事が続いている。日本においては企業の歴史のあるなしに関わらず上場企業の決算報告書に粉飾が行われていた。虚偽記載が企業内部で行われないよう、法制化により報告書の正確性を確保するための論議がなされている。施行時期はまだ流動的だが、今夏にも基準案が発表される予定だ。対象となる上場企業とその関連会社だけでなく、未上場の企業でも業務のあり方について見直すべきであろう。
米国でSOX法が誕生した背景には、米国のエンロン社、ワールドコム社などが引き起こした大規模な粉飾決算や会計操作による投資家の被害があった。株式市場における時価評価額を優先する経営方針が、虚偽の利益報告を行ったり、負債を隠すためのダミー会社を大量に作り出すなど、さまざまな手口で投資家を欺くための犯罪へと発展してしまった。その結果として、エンロン社の株は大暴落し、投資家たちは大きな損害を被った。日本でも、ライブドア事件は記憶に新しいところだが、西武鉄道による大株主の誤記や、カネボウの粉飾決算など、企業不祥事が続発している。
こうした粉飾決算や経営実態とかけ離れた業務報告が行われてしまう背景には、一部のオーナー企業のように権力が一部に集中していたり、会計監査や承認の仕組みが不透明かつ一部の経営幹部のみに限られているなど、内部組織のあり方に問題が多く見られる。特に、エンロン社の場合には、ストックオプションと呼ばれる株式による社員の特別報奨制度があったために、オプション権を多く持つ社員が率先して不正に関わっていた。その上、監査法人までをも巻き込んで不正に加担させ、投資家を欺いてきた。
投資家にとっては、企業が発表する決算報告書などの会計情報が、投資のための情報源になっている。その情報が嘘で固められていては、正確な投資判断は行えない。ある意味で、会計情報の虚偽記載による株式価格の吊り上げは、組織的な詐欺行為といえるものなのだ。こうした背景から米国ではサーベンス氏とオクスリー氏の2人の議員が作成したSOX(サーベンス・オクスリー)法が2002年に制定された。
米国企業だけではなく、カネボウ、西武鉄道やライブドアの事件でも、犯罪の首謀者は社長や会長などの経営トップにあった。
日本においては、昨年「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(公開草案)」が発表され、今年7月ごろをめどに財務諸表が公表される予定になっている。企業経営で重要となっている財務諸表について、それがどのように算出されたかを示すプロセスや証拠となる文書を残し、曖昧な部分なく計算されたことを証明する体制を作ることを規定している。いわゆる「透明性」と「正確性」の確立が求められているのだ。
そのためには、ITにも透明さと正確さが求められるだけではなく、外部からの監査機構の強化や公明性なども確立していかなければならない。日本版SOX法では、ITの役割を重視しているが、その取り組みは、対象となる上場企業(約3,800社)だけではなく、連結決算の対象となるグループ企業や、取引相手にも影響が及ぶ。
法律の実効性を上げるために、企業に十分な準備期間が必要との金融庁当局が考えていることから、今のところ2009年3月期からという見方がされている。日本版SOX法が目的としている業務の有効性と効率化を鑑みるならば、対象範囲から外れる企業としても、業務のあり方を見直す機会と捉えていく必要があろう。
続きは本紙でご覧下さい。
■日本版SOX法の動向
■日本版SOX法法制化の背景
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