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巻頭特集 グリーンコンピューティング
2008年7月時点の情報を掲載しています。

「地球環境保全」への対策が急務となっている。世界各国共通の課題として「ポスト京都議定書」の枠組み作りが検討される中、日本でも「地球環境保全」を旗印に、さまざまな取り組みが行われている。今後、ビジネス活動にも影響が出ることは必至だ。中でも、一般オフィスにおける省エネ化や「グリーン・コンピューティング」が求められている。消費電力やCO2排出にサーバ、パソコン、ネットワーク機器などIT機器が大きく関わっている現状が明らかになり、今後の対応が迫られている。エネルギー消費削減の法規制も始まっている今、どのような「グリーンIT」提案で、ビジネスチャンスにつなげるかを特集する。



IT機器の消費電力量が拡大 省エネ対策にグリーンITが急務
 今日、テレビや新聞・雑誌などで「環境保護」の文字を目にしない日はないのではないだろうか。IT業界においても同様で、地球環境に配慮した「グリーンIT」が叫ばれている。その原因はITを利用することで大量の電力が消費され、二酸化炭素が排出されているからだ。このまま何の対策も施さなければ、膨大な二酸化炭素が排出され続けるため、その対策が急務となっているのだ。
 ITは形のない「情報」を扱うが、情報のやりとりにはネットワークが活用されているため、物理的な移動などが不要だ。「紙」などを使った情報伝達手段に比べ、大幅な二酸化炭素の削減が期待でき、「省エネ」にもつながる。人や物の移動を押さえることで、ビジネススピードを向上させつつ、エネルギー効率の向上が図れるだろう。では、どこで二酸化炭素を排出しているのだろうか。
 経済産業省の「グリーンITイニシアティブ」の資料によると、企業や家庭の本格的なIT化に伴い動画配信や各種ITサービスなどが普及し、社会全体で扱う情報量が爆発的に増加することが予想されている。同資料によると、2006年のインターネット内の情報流通量の推計が637Gbps(ギガビット/秒)から、2025年には121Tbps(テラビット/秒)となり、約190倍になると見込んでいる。情報爆発時代に対応するため、サーバやネットワーク機器など多くのIT機器が導入されていくことになる。
 経済産業省から2008年5月に発表された2025年までの消費電力量の推計資料によれば、IT機器の消費電力は、2025年には2006年比で5倍強の2,500億kWhになると試算されている(表1)。
 これは、国内総発電量の15%から20%にあたる。電力消費内訳は、ディスプレイ(テレビ)=816億kWh、PC=4 1 . 2 億k W h 、サーバ/データセンター=527億kWh、ネットワーク機器=1,033億kWhとなる(表2)。これは2006年比で、サーバ/データセンターが2.4倍、ネットワーク機器は13倍の消費電力量となる。
 IT機器は省エネに貢献するが、その数が爆発的に増大することで、消費電力の増大を引き起こす。この消費電力を抑えるため、革新的な技術開発を行うのが「グリーンITプロジェクト」だ。同プロジェクトに年間数十億円が投じられ、開発された技術を搭載することでIT自体の消費電力を現在の試算から40%ほど削減する計画となっている。官民一体となった、大きなプロジェクトといえよう。
 このようなプロジェクトだけではなく、より身近な所でもグリーンITは徐々に浸透してきている。その1つが「省エネルギー法」だ。「省エネルギー法」はグリーンIT製品の普及を加速させるべく「トップランナー基準」を活用している。これは、自動車、エアコン、テレビ、PCなど、現在利用されている製品のうち、
最もエネルギー効率が優れている製品を「目標」に定め、決められた期間内に業界全体がその目標を達成することを求めるものだ。こうした規制や目標に取り組み、官民一体となってグリーンITに対応していくことで、消費電力や排熱を抑え現在の環境を維持する必要がある。従って早期にグリーンITに対応していかなければ、ビジネス機会の損失も起こり得る。メーカーとともに販売店、ユーザーが一体となって対応が求められるようになるだろう。東京都の「環境確保条例」のような新たな法的規制が、今後各地方で制度化されることが十分考えられよう。


グリーンITの導入指標となる 環境ラベル  こうした電力消費の削減や二酸化炭素排出規制に対応するために、IT機器を含めエコ製品が出回っている。その1つに、環境に配慮した省エネ機器として、基準をクリアしていると認定された商品に付与される「環境ラベル」がある。環境ラベルにはいくつか種類があり、第三者機関が環境基準に適合しているかどうかを認定するタイプ(タイプT)、企業が自己評価してシンボルマークを表示するタイプ(タイプU)、ライフサイクル全体で環境に与える影響をデータで表示するタイプ(タイプV)などがある。このほかにJISで標準化されている「省エネルギーラベル」、PCやOA機器を対象にした省エネのための「国際エネルギースタープログラム」、さらに各ベンダーごとに基準を設定して独自に認定しているラベルなどがある。
 こうしたラベルはIT機器にも今後ますます普及し、グリーンITはビジネスと切り離すことができないものになっていくことが予想される。「グリーンITなくしてビジネスは成り立たない」と考えておくことが必要だろう。



■表1 IT 機器の電力消費量とグリーンIT による削減試算
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■表2 経済産業省が試算したIT 機器の消費電力量
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■各種環境ラベル
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東京都「環境確保条例」改正でCO2排出量を規制
2008年7月4日、グランドアーク半蔵門(東京)にて「PCネットワークの管理・活用を考える会2008 in 東京」が開催された。基調講演の中で東京都環境局環境政策部環境政策主査千葉稔子氏は「これまでは二酸化炭素削減に向けた“仕組み”がなかった」と語り、二酸化炭素の排出量削減は自主性が重んじられ、排出量をさほど削減できなかった。その結果を受け、東京都は6月25日、全国ではじめて大規模事業所に二酸化炭素の排出量削減を義務づけると同時に、事業所間での二酸化炭素排出量取引の導入を盛り込んだ「環境確保条例」を改正可決した。2010年度から施行される。改正のポイントは「中小規模事業所が簡単にCO2排出量を把握でき、具体的な省エネ対策を実施できる制度の構築」にあり、
□同一法人が管理等を行う複数の事業所で多くのエネルギーを使用している場合の取組促進
□同一法人が管理等を行う複数の事業所のエネルギー使用量合計が一定量(1,500)以上の法人の場合、各事業所の省エネ報告書の取りまとめ、届出義務の導入削減義務を履行できない場合には、罰金や不足分費用負担がかかるため、影響が大きい。「環境配慮」は、「やらなければいけない対策」(千葉氏)としている。

●東京都環境局Webサイトhttp://www.kankyo.metro.tokyo.jp/joureikaisei2008/
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【巻頭特集】

・Windows Server 2008登場! 【Vol.38】

・文教ソリューションの勘どころ 【Vol.37】

・中小・中堅企業に必要なリスク管理と情報管理の処方 【Vol.36】

・AC100V電源対応により、オフィスに設置できるブレードサーバが登場
スモールスタートではじめるブレードによるサーバ統合 【Vol.35】



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