大塚商会の販売最前線からお届けするセールスノウハウマガジン「BPNavigator」のWEB版です。  
BPNavigator to Go Index Backnumber BP PLATINUM
にっぽんの元気人
2017年7月時点の情報を掲載しています。

お客様の心をつかみ「買いたい」と思ってもらう技術
商売で成功するための秘訣などについて年間70本以上もの講演活動を行っているビジネス心理学講 師の酒井とし夫氏。アカデミックな心理学の理論を営業活動やマーケティングといったビジネスの現 場でいかに応用すれば、成果を上げられるのかを全国のビジネスマンに伝授している。そんな酒井氏 に、お客さまに「買いたい」と思ってもらうビジネス心理学のエッセンスについて語ってもらった。今日 からでもすぐに実践できる理論ばかりなので、ぜひ参考にしていただきたい。


心理学とマーケティング理論はつながっている
BP:酒井さんは、顧客の心をつかみ、売 り上げアップに結び付ける「ビジネス心 理学」を全国で教えておられるそうです ね。そもそも、酒井さんとビジネス心理 学との出会いは、どのようなものだった のでしょうか?

酒井とし夫氏(以下、酒井氏):
わたしは 28歳のときに東京で独立し、広告制 作キャラクターグッズの販売など、い ろいろな商売を経験しました。ところ がやることなすこと失敗の連続で、40 歳のころ、とうとう無職、無収入になっ てしまったんです。体調も悪かったの で、やむなく故郷の新潟に帰り、しばら く長期入院をしていました。
 その後、体の具合がよくなって新潟 で再起業したところ、思いのほか商売 が順調にゆき、時間とお金にかなりの 余裕ができました。そこで、仕事以外 の時間を使って、いろいろなことを学 び直そうと考え、経営戦略やビジネス、 マーケティング、コピーライティング、 コーチングなど、さまざまなセミナー に参加し、友人や知人に勧められた本 を読み漁りました。
 そんななかで、知人に紹介された 『影響力の武器』という本に出会った のが、わたしがビジネス心理学に興味 を持った始まりです。

BP:どのような内容の本でしょうか?

酒井氏:
著者はロバート・チャルディー ニという社会心理学者で、世の中の トップ営業マンとか、優秀な広告クリ エイターは、どうやって人の心をつか んでいるのかということを現場でつぶ さに観察し、成功の理由を社会心理学 的に解き明かした本です。
 わたしはこれを読んで非常に感銘を 受け、ほかにもさまざま心理学の本を 読むようになりました。その中で、よく 機能するマーケティングや販促、経営 戦術には、心理学の理論と合致してい るものが多いということに気付いたの です。これが、心理学の研究成果を営 業活動や広告活動などの実践に結び 付けて成功に導くビジネス心理学の基 礎となり、広く世の中に伝授していき たいと思うようになりました。

BP:心理学というと、どうしても学問的 なイメージがあって、実践にどう結び付 くのかがよくわからないのですが、具体 例を教えていただけますか?

酒井氏:
例えば、心理学の代表的な原 理のひとつに「返報性の原理」というも のがあります。これは、他人から施しを 受けたときに、つい「何かお返しをしな ければならない」という感情を抱いて しまうことです。
 スーパーや観光地の土産店などで 試食を勧められると、「ただで食べさせ てもらうのは悪いから、ひとつぐらい 買ってみるか」と思うことがありますよ ね。また、無料のセミナーに参加する と、いい話をただで聞かせてもらった のだから、せめて会場で売られている 講師の本を1冊買っておくかという心 理が働きやすい。
 これは、マーケティングの世界にお ける「2ステップ販売」という手法とまっ たく同じです。まずは無料サンプルを 提供し、気に入ってもらえたら商品を 買っていただく。ご指摘のとおり心理 学には学問的な印象があるかもしれま せんが、じつは優れた心理学の研究成 果とマーケティング手法には、非常に 似通っているところがあるのです。

繰り返し接触することが相手の好意を高める
BP:興味深いお話ですね。

酒井氏:
心理学の理論とマーケティン グ技法が結び付いている例は、ほか にもいろいろあります。
 そのひとつが「フット・イン・ザ・ド ア」。これは直訳すると「ドアに足を差 し込む」という意味ですが、文字どお り、いきなり部屋の中に入り込むので はなく、まずは足だけを入れてドアを 少し開き、徐々に迎え入れてもらうと いう心理学的なアプローチです。
 例えば、見ず知らずの人にいきな り「5万円の化粧品を買ってほしい」と 言っても、すぐには買ってもらえませ んよね。でも、ひとまず1000円のお 試しセットでご満足いただき、信頼し ていただけるようになったら、次は1万 円の商品、3万円の商品、5万円の商 品と、徐々に高額の商品を買ってもらえるようになるかもしれません。
 小さな頼みごとを引き受けてもら うと、次により大きな頼みごとをして も受け入れてもらいやすくなるという フット・イン・ザ・ドアの理論が、その ままマーケティングの実践にも応用 できるわけです。

BP:期間限定のお試し商品や特別価 格などをアピールするテレビショッピ ングは、まさにその理論を徹底活用し ているわけですね。

酒井氏:
通販の代表的なマーケティン グ手法のひとつに「お客さまからの喜 びの声」を紹介するというものがあり ますが、これなども心理学における「社 会的証明」という理論を応用したもの だと言えます。
 商品を売る人自身が「これはいいも のですよ」と訴えるのではなく、第三者 であるお客さまによさを伝えてもらう ほうが信頼されやすい。な ぜなら、消費者は無意識の うちに、その商品のよさが 「社会的に証明されてい る」と認識するからです。
 このように、心理学の理 論は非常に種類が豊富で、 さまざまなマーケティング に応用できます。世界中の 名立たる心理学者たちが 人生を懸けて研究し、生み 出した理論なのですから、 それを実践に活用しない手 はありません。
 ただしその半面、悪用し ようと思えばいくらでもで きるのが心理学の理論の 恐ろしいところです。お客 さまに不安や不満を抱か せるような使い方は、絶対 すべきではありません。
 とくに今日のようなネット社会では、 ひとたび悪評が付くとたちまち広がっ て、商売が立ち行かなくなってしまうこ ともありますから、お客さまの信頼を 損なわないように活用することが大前 提であると言えます。

BP:本誌読者には、営業マンも大勢い らっしゃいます。訪問営業におけるビ ジネス心理学の活用法についても教 えてください。

酒井氏:
訪問営業で成功するための秘 訣は、とにかく訪問回数を重ねること。 そして、1回目の訪問からいきなり「商 品を買ってほしい」と切り出すのではな く、2回、3回、4回と訪ねることによっ て徐々に相手の信頼感を高め、5回目 になってから、初めてセールスの話を することです。
 心理学の有名な理論のひとつに、単 純接触効果というものがあります。こ れはR・J・モアランドという心理学者が 発見したもので、「繰り返し接触するこ とが相手の好意を高める」という事実 を実験結果によって証明しています。
 モアランドが行った実験とは、女子 学生を集め、半分には1週間に1回、同 じ男の子の写真を見せ、残りの半分に は毎週異なる男の子の写真を見せる というものでした。
 これを4週間続けた後、男の子に対 する好意の度合いの変化を調べたと ころ、同じ男の子の写真を見続けたグ ループは好意度も信頼度も上がった 一方、異なる男の子の写真を見たグ ループに変化はありませんでした。つ まり、第一印象さえクリアできれば、基 本的に人間は「会えば会うほど好きに なる」ということが証明されたわけで す。これが単純接触効果です。
 ただし、1度や2度会っただけでは、 好意が十分には形成されません。そん な段階でいきなりセールスの話をする と、途端に興ざめして、相手の好意が 消え失せてしまうものです。最低でも 5回は接触して、相手の好意が十分に 高まってからセールスの話を切り出す のが得策だと言えます。

BP:とはいえ、何度も会おうとすると、 お客さまに面倒がられることもあるの ではないでしょうか?

酒井氏:
接触の方法は、何も直接訪 問することだけに限りません。電話や メール、お礼状などを使い分けてみる のもいいでしょう。
 ちなみに、わたしは全国で年間70件 以上の講演を行っていますが、講演が終 了した後も、主催者の方々へのお礼状 やメールなどは必ず送るようにしていま す。過去に呼んでいただいた主催者催者の方々も含め、年間で2万通以上は近 況報告のメールや手紙を送っています。
 とはいえ、同じ主催者に何度もメー ルを送るのは面倒がられるので、講 演終了後にSNSのアカウントを交換し て、書き込みがあったときには必ず「い いね」を入れるようにしています。
 接触手段を使い分けることによっ て、面倒がられず、関係性やコミュニ ケーションが持続するように工夫を凝 らすことが大切です。

相手の「利き感覚」によってプレゼンの仕方を変える
BP:訪問したお客さまに商品・サービ スへの関心を持ってもらうためには、 どうすればいいでしょうか?

酒井氏:
これもビジネス心理学のひと つですが、人それぞれの「利き感覚」 に応じて、プレゼンの手法を変えてい くという方法があります。  右利き、左利きがあるのと同じよう に、人間は、物事を「主にどの感覚に よって理解するのか?」という利き感 覚も人それぞれなのです。
 利き感覚は、大きく分けると「視覚 型」「聴覚型」「身体感覚型」に分類する ことができます。
 例えば「わたしの故郷である新潟の 冬の情景を想像してみてください」と いったときに、しんしんと降り積もる 雪や、雲ににじんで薄暗く光る太陽を 絵として思い浮かべるような人は視覚 型、雪を踏む音や日本海の荒波の音 が耳に響く人は聴覚型、冬のこごえる ような寒さや雪の冷たさを感じる人は 身体感覚型であると言えます。  それぞれの利き感覚ごとに、どのよ うに商品やサービスを訴えれば、魅 力を感じてもらえるのかも異なってき ます。視覚型の人には、映像や図、イ ラストで説明すると理解されやすくな るはずですし、聴覚型の人は説明に じっくり耳を傾けてくださるので、丁 寧に商品・サービスの特徴やメリット について説明するといいでしょう。
 一方、身体感覚型の人は、実際の 使いやすさや利便性を肌身で実感し てみたくなるはずなので、「試しに1週 間使ってみてください」と製品や見本 をお渡ししたほうが、成約に結び付き やすくなるのではないかと思います。
 一般的に、視覚型の人は会話のテ ンポが速く、聴覚型には理論的に話 す人が多いようです。また、身体感覚 型はゆっくり話す人が多いのが特徴 的ですね。会話をしながらどの利き感 覚の持ち主なのかを想像し、それに 合わせてプレゼンの方法を変えてみ てはどうでしょうか?

BP:最後に本誌読者にメッセージをお 願いします。

酒井氏:
どんなビジネスでも、お客さ まに好かれて、気に入られて、忘れら れないようにすることが非常に大切で す。そのためには、先ほど紹介した単 純接触効果をはじめ、心理学の研究 成果をフル活用することが有効です。
 また、コミュニケーションに影響を 与える要素は、外見が55%、話し方 が38%。言葉の中身が7%と言われ ています。表情や仕草を含めた外見 が大きな相手の印象に大きな影響を 及ぼすわけです。明るく、大きな声 で、元気に営業することが何よりも大 切です。

プレゼントのお知らせ!!


photo
ファーストアドバンテージ有限会社 代表取締役
酒井 とし夫氏
Toshio Sakai

◎ P r o f i l e
1962年生まれ。新潟在住。現在、マーケティング& トレーディングカンパニー「ファーストアドバンテ ージ有限会社」代表取締役。立教大学社会学部卒 業後、中堅広告代理店勤務。その後、広告制作会 社を設立。以降、広告制作、モデル派遣事業、撮影 ディレクション、アイデア商品販売、キャラクター グッズ販売、露天商、パソコン家庭教師派遣事業、 パソコン・スクール事業、トレーディング・インスト ラクション事業、インターネット通販、コンサルテ ィング事業等数々のビジネスを立ち上げる。






Backnumber
【にっぽんの元気人】

・株式会社クロスリバー 代表取締役CEO 越川 慎司氏 【Vol.92】

・アドット・コミュニケーション株式会社 代表取締役社長 戸田 久実氏 【Vol.91】

・元キリンビール株式会社 代表取締役副社長 田村 潤氏 【Vol.89】

・JR東日本グループ(株)日本レストランエンタプライズ 駅弁マイスター 三浦由紀江氏【Vol.88】


 
PageTop
BP PLATINUM本紙の購読申込み・お問合せはこちらから
Copyright 2017 Otsuka Corporation. All Rights Reserved. 
セミナーリンク