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巻頭特集 注目のオンプレミス提案
これからのサーバー選び
2017年7月時点の情報を掲載しています。

これまでのサーバーの概念を覆す「Hyper-Converged Infrastructure」(以下HCI)。 言葉はよく耳にするものの、いったい何が違うのか、 また、どんなメリットがあるのかを理解するには、ある程度の情報収集が必要となる。 そこで、今回の特集では、注目のHCIについて、 概念的な基礎情報と現在の製品トレンドについて紹介したい。

サーバーとストレージの集約化によるスモールスタート・スケールアウトが第一の特長
ハイパーコンバージドの第一の特長は、必要に応じ、筐体を追加するだけでシステムが簡単に拡張できる点に ある。この拡張性を軸に特長を理解することで、その真のメリットが見えてくる。

データを分散し、従来にない可用性と拡張性を実現
  サーバー市場の落ち込みが目立つ中、 大きな注目を集めているのがハイパー コンバージドという新たな潮流だ。その 代表的なベンダーであるNUTANIX日 本法人の売り上げが、昨年来、前年同月 比2倍以上の急伸を続けていると見られ ることからも重要性がうかがえる。
 では、ハイパーコンバージドとは一体 なんなのか?
 まずはそこから整理していこう。 Hyper-Converged Infrastructureを 直訳すると「超・統合型インフラ」。その 頭文字を取り、HCIとも呼ばれる。
 これまでサーバー新設には、サー バー、ストレージ、スイッチといったハー ドウェアを新たに組み合わせる必要が あり、動作検証の必要などから設計か ら運用開始までは数カ月を要すること が一般的だった。こうした課題を受けて 登場したのが、サーバー、スイッチ、ス トレージといったハードウェアと仮想化 ツールや管理ソフトをパッケージ化した コンバージド製品だった。
 しかし仮想化の急速な普及は、サー バーと共有ストレージをSAN【Storage Area Network】で結び、一方でイーサ ネットによるネットワークも構築すると いう複雑なケーブリングが必要になる など、新たな課題も生んだ。こうした中、 登場したのが、一つの筐体内にサーバー とストレージを集約化したハイパーコン バージドだった。
 そのすごさは、SDS【Software - Defined Storage】と名づけられた技術 に注目することで見えてくる。ハイパー コンバージドは、VMware vSphereを はじめとする仮想化ハイパーバイザー上 でバーチャルマシン (VM) を動かす一 方、ストレージコントローラーを介して筐 体内に収容された複数のディスクを統合 し、仮想的な共有ストレージアレイとして 利用する。この役割を担うのが、日本語 に訳すと「ソフトウェアがストレージを定 義する」という意味を持つSDSである。ハ イパーコンバージドでは、ネットワークで 結ばれた全ての筐体に収納されたハード ディスクは仮想的な一つの共有インフラ になり、データはネットワーク上のディス ク全体に分散的に書き込まれる。
 SDSによるディスクの統合は、大きく 3つのメリットを生む。一つはデータの 分散化によるネットワークのボトルネッ ク排除。次が冗長化したデータ保持と 自動修復。仮に一部のローカルストレー ジに障害が発生した際にも、冗長化され た他のストレージ内のデータを呼び出 すことで、欠損部のデータを復元し、運 用を継続することが可能だ。そして最後 が、スモールスタート・スケールアウト を可能にする拡張性の高さだ。
 ハイパーコンバージドのもう一つの特長は、管理のたやすさにある。ここま で見てきたとおり、サーバーとストレー ジを筐体内に収納することで、設計や動 作検証、SANによる複雑なケーブリン グが不要になることがその第一の理由 だ。また従来は、サーバー、ストレージ、 スイッチそれぞれの管理画面上で各種 設定作業を行うほかなかったが、ハイ パーコンバージドは、基本的にサーバー とストレージを一つの管理画面上で設 定できる。さらにスイッチまで一元的に 管理する製品も登場している。

必要なとき、必要なリソースの導入を可能にするHCI
 次に、エンドユーザー様にとっての導 入メリットを具体的に見ていこう。まず 挙げられるのは、スモールスタート・ス ケールアウトが可能という点である。こ れまでオンプレミスサーバーのサイジ ングは、5年後のデータ量まで考慮して 行う必要があった。現時点では不要な リソースの購入は、スタートアップ企業 をはじめとする多くのエンドユーザー様 にとって無駄な出費にほかならない。ハ イパーコンバージドは、これまで「前倒 しの購入」を余儀なくされてきたエンド ユーザー様に、現時点の適正リソース を調達し、必要に応じてそのつどリソー スを追加購入するという選択肢を提供 する。アメリカでは、これまでクラウドを 利用してきたスタートアップ企業がハイ パーコンバージドによるオンプレミスに 回帰する動きも目立つという。
 もう一つのメリットは管理工数の軽減 である。これまでいわゆる情シス部門 は、サーバールームのお守りに追われて きた。一元化された操作画面による直 観的な操作やAIによる管理自動化を可 能にするハイパーコンバージドへの移 行は、管理業務の省力化につながること は間違いない。
 またハイパーコンバージドは、省コスト という観点で注目されることも多い。し かし、専用ストレージが不要になる点を 考慮しても、コスト面のメリットはさほど 大きくない。単純に導入コストとして見 た場合、削減率は一般的なサーバー仮 想化の1割程度にとどまることが一般的 だ。コスト削減に目を向けるのであれば、 導入時のコストよりむしろ、将来的な増 設時により優れた製品が得られることの 方がメリットは大きい。今であればサー バーが3台必要であっても、技術の進歩 により、2台で済むかもしれないからだ。 場合によっては、情シス部門の担当者の 削減もコスト面の効果に含めることもで きるだろう。TCOとして比較することで 初めて、ハイパーコンバージドのコスト 面のメリットが見えてくるといえる。


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■SDSによるストレージ共有のイメージ図
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■ハイパーコンバージドの特長図
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【巻頭特集】

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・働き方を変えるにはパートナー様の力が必要になる! 2017年、日本のビジネスを変える“働き方改革”とは?【Vol.91】

・中堅・中小企業様を活性化させる! 注力すべき2017年の提案ポイント 【Vol.90】

・スピードが勝負の明暗を分ける クラウドビジネス Re Start!! 【Vol.89】

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