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2008年1月時点の情報を掲載しています。
連載の狙い
私は20年近く、ユーザ企業側のIT担当者として仕事をした経験を持っています。その間、常にユーザ側の立場で、インターネットの利用や業務システムを導入する仕事と関わってきました。順調に稼動するものもあれば、大失敗に終わったものもあります。こうした経験をもとに『システム管理者の眠れない夜』(IDG月刊誌)という連載を書いてきました。これはすでに10年を超え、なかば私のライフワークになりつつあります。
さて、本コラムでは、情報システムの企画・検討・導入作業を通じて、私が「ユーザー側のSE」として何を考え、何を感じていたのかを綴っていきたいと思います。時にはベンダーの立場の方々に苦言を呈することがあるかもしれません。しかし、お読みいただくことによって、今まで以上にユーザーの立場に共感を覚えることができるのではないでしょうか。その共感こそがユーザーとの信頼関係を築く第一歩だと思うのです。
IT担当者の悩み
今回は連載1回目ですので、私が企業の中で情報化を進めていく上で、常に悩んでいた事をお話しましょう。企業の情報化戦略などといった話ではありません。もっと身近な問題です。
意外に聞こえるかもしれませんが、それは「この仕事で自分は評価されるのだろうか?」ということでした。約20数年前、私が勤める企業ではじめて情報化を担当した当時、設備担当の部署に所属していました。部員はエンジニアばかりですが、ほとんどは機械工学や土木建築系であり、部門の情報化を担当しているのは私一人だったのです。上司の部長もITについてはほとんど分りませんので、普段の仕事で彼からの指示を待っているわけにはいきません。一方、ソフトの動きがおかしいというだけで他部署のあちこちから呼び出されました。月末には彼らの残業にもつき合わされました。とにかくてんてこ舞いでしたが、パソコンユーザが抱えるさまざまな問題点を現場で把握できるので、それなりにやりがいもありました。
しかし、上司の部長は怪訝な表情です。部下が何のために忙しくしているのか、理解できないからです。こうした状況は、今日においても中小規模の会社でITに疎い上司を持ったIT担当者に、共通の悩みではないでしょうか。
IT担当者が自信を持って仕事ができるように
というわけで、読者の皆さんにお願いです。客先で情報システムの担当者に出会ったら、ぜひその上司にも面会してほしいのです。そして、その上司が情報システムとその担当者の働きを、どのぐらい理解しているのかを聞き出してください。もしあまり理解していないようなら、おそらく、担当者は上記のような悩みを持っていることでしょう。そしてぜひ、その悩みを共有してほしいと思います。そして、単にシステムの商談だけではなく、ユーザ企業の経営の中で、情報化が持つ意味や、他社事例までを含めて提案を行ってほしいのです。その提案書はきっと上司の目にも入ることでしょう。
企業の中で情報化という仕事の位置づけはますます重くなっています。ところがまだまだ、経営層がそのように認識していない企業も多いのです。そうした企業のIT担当者を応援できるのは、読者の皆さんかもしれません。
柳原 秀基
1 9 8 0 年代から国内機械製造メーカーの社内S Eを経験。主にAS/400,Windows NTによるシステム構築を担当。Windows系ユーザコミュニティの設立に参画し、代表を務める。現在は大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程に学生として在籍しつつ、大学非常勤講師、講演、運用管理系ソフトウェアベンダへの助言、開発支援を行っている。
Microsoft MVPを受賞。著書に「システム管理者の眠れない夜」(IDG)など。
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