近年の低価格化によって手軽に購入できるようになった液晶ディスプレイ。従来のスクエア(四角)型から替わってワイド型に人気が集まり、サイズも17〜19型が主流だった画面サイズは19〜22型へと推移しはじめている。今回の特集では、液晶ディスプレイの販売・最新技術動向を分析。「ワイド化・大画面化」する液晶ディスプレイからスクエア型液晶ディスプレイまで、ビジネスの効率を向上させるオフィスでの活用方法を紹介しながら、最新の液晶ディスプレイのセールスヒントや提案方法を掴んでいただきたい。 |
ここ数年、液晶ディスプレイの技術は大きく進化し、各ベンダーから次々と新製品がリリースされている。従来のCRT(ブラウン管)ディスプレイに比べてコンパクトで設置場所を選ばず、低価格化が進んだことで、近年着実にシェアを伸ばしている。
液晶ディスプレイを「サイズ帯別販売台数シェア推移」から見てみよう(左ページ表1)。現在主流になっているのは19型〜22型サイズだ。2008年3月では、19型〜22型のサイズが、液晶ディスプレイの販売台数の半分弱を占めている。さらに見逃せないのが、22型〜24型サイズの伸長だ。2007年1月には3%程度だったシェアが、2008年1月には約23%余りまで伸び、確実に右肩上がりとなっている。
個別のサイズの動向に注目すると、2007年1月時点でそれまで40%以上のシェアがあった17型〜19型サイズが毎月シェアを落とし、2008年に入ってからは20%を切り、22型〜24型サイズに逆転された。1年の間にシェアは半分以下にまでなっている。現在最も人気があるのは19型〜22型サイズだ。昨年後半に比べるとシェアを減らしているものの、依然半分近くのシェアを占める。その減少分を22型〜24型が伸ばしている傾向にある。
このように「サイズ帯別」データから、今後は19型以上がボリュームサイズになり、さらに大型の22型〜24型サイズが増える傾向を読み取ることができる。画面サイズの大型化を望むユーザーが増えてきていることを示すデータといえるだろう。
液晶ディスプレイの形状では、従来の四角いスクエア型からワイド型に移行しつつある。「LCD(液晶ディスプレイ)スペック比率」によれば、ワイドタイプの比率は2007年1月時点で25.5%だったものが、2008年3月には73.2%に上昇。1年あまりで50ポイントに迫る伸びを見せた。昨年1年間で、ワイドタイプのシェアが急激に伸びていることが顕著だ。
ワイドタイプが拡大している要因としては、ビジネスにおいてワイド型を選ぶメリットは高いからだ。昨年から登場したWindows Vistaのガジェット表示にも適しているし、複数のアプリケーションを同時に開いても、ワイド型であればデータを参照しながら資料作成が効率的に行え、よりスムーズに業務処理が行える。
また、ブロードバンドの普及や、PCがDVDドライブを標準搭載したことなどが挙げられる。DVDドライブを利用して視聴する動画コンテンツの多くはワイド映像のため、高精細な動画コンテンツをより楽しむために、ワイド型を選択するユーザーが増えているのだ。
日々移り変わる最新技術の動向にも注目したい。まずは「大型・ワイド化」によって、液晶ディスプレイの高解像度化が進んでいる。最近では、1 , 9 2 0 ×1,200ドット(WUXGA)や2,048×1,536(QXGA)といった高繊細な解像度も普及し始めている。広い作業領域が生かせるため、複数のウィンドウを並べて表示したり、高画質の画像データを編集・閲覧する際に活用できる。ワイド放送に対応したDVDを再生すれば、臨場感溢れる映像が鑑賞できる。
また、通常の液晶ディスプレイの端子であれば通常「アナログRGB」(D-Sub15ピン)といわれる端子が備わっている。「アナログRGB」があれば、一般的なパソコンの映像出力端子と直接接続できるため、初心者はこれを目安にしたい。
最新の液晶ディスプレイの動向を見ると、デジタル放送などで使われる著作権保護技術HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)に対応したデジタル入力端子(DVI-D)を搭載しているものがある。著作権保護されたコンテンツやBlu-ray Discなどのハイビジョン映像を観たいというユーザーには必須となる。
現在、「低価格モデルを選ぶなら、アナログRGBのみを搭載したモデル」、「高画質な映像を望むなら、高解像度かつ高機能なモデル」というようにユーザーの選択肢の幅が広がっている。液晶ディスプレイの低価格化や多機能化によって、ユーザニーズに合わせた製品選択が可能な時代になったのだ。
続きは本紙でご覧下さい。 |
■表1 液晶ディスプレイサイズ帯別販売台数シェア
■表2 ディスプレイに占めるワイドタイプ等のスペック比率
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