2008年4月15日、企業の次世代プラットフォームとして期待がかかる「Windows Server 2008」の日本語版の提供が開始された。Windows Server 2008は、IT業界全体が待ち望んでいたサーバOSだ。「運用管理」「セキュリティ」「内部統制」「仮想化」などの機能面でシステムが強化され、シンプルな運用管理ソリューションとして期待される。新OS導入には初期リスクも少なからずあるが、機が熟すのを待っていてはビジネスチャンスを逃しかねない。お客様にどのように提案することがビジネス成功の近道となるか、そのセールスポイントを探っていく。 |
Windows Server 2008は、Windows Server 2003から数えると、5年ぶりのリリースとなる。Windows Server 2008がいかに長い時間をかけて開発されたサーバOSであるかがわかる。
Windows Server 2008は、市場ニーズに応えた機能強化や新機能の追加により、「運用管理」「セキュリティ」「仮想化」など、市場のキーワードとなっている機能をワンストップで提供するサーバOSだ。多様なビジネスニーズに対応しているため、ユーザーのみならずISV(独立系ソフトウェア企業)やSIerなどの販売パートナーの期待感も非常に高い。'08年4月に開催されたマイクロソフトのプライベートイベント「The Microsoft Conference 2008」では、企業の次世代プラットフォームとなるW i n d o w s Server 2008、Visual Studio 2008およびSQL Server 2008の3製品の日本語版の発表と、業界各社の対応製品やソリューションが正式発表された。
Windows Server 2008は、ビジネスワークロードに対応できる基盤強化である「運用管理面」と、「Web」「セキュリティ」「仮想化」の機能強化がされている。すでにさまざまなメディアで流布されているが、簡単に確認しておきたい。(表1)
まずビジネスワークの基盤を強化する「運用管理面」は、「Server Manager(サーバマネージャ)」は、サーバの役割や機能のインストール、構成および管理プロセスを一元管理できる。サーバのセットアップや構成作業が迅速に行えるようになり、統合された管理コンソールによって管理もシンプルになった。
また、130を超えるツールと統合されたスクリプト言語を備えるコマンドラインツール「Windows PowerShell (パワーシェル)」は、定期的に行っているシステム管理タスクの自動化を可能にした。
「セキュリティ」面では、「ネットワークアクセス保護(NAP)」が注目されよう。NAPは、Windowsのサーバ/クライアント環境において、標準機能で検疫ネットワークを実現する。また、ActiveDirectryサービスが強化され、円滑なID管理により情報漏えいや「内部統制」の整備に寄与する。
そして最も注視されている、サーバ統合を実現する仮想化ソフトウェア「Hyper-V」(2008年8月出荷提供予定)が搭載される。仮想化により各サーバのリソース使用率を高めることができる。
これまで、大規模企業や中堅企業など大きなIT投資ができる企業は、運用管理を容易にするために「運用管理ソフトウェア」を導入する例が多かった。「運用管理ソフトウェア」は、IT管理部門の課題でもある「サービス品質の向上」と「運用コストの低減」という課題を解決するソリューションとして、導入メリットは高い。しかし導入コストがかかるため、導入できる企業は限られていた。
今日、中堅・中小規模企業でも、ミッションクリティカルな運用例が多く、トラブルが発生してシステムが停止する事態になれば、「企業活動」が遅滞、停止し大きな損失を被ることになる。例えば流通業の場合、帳票システムが稼働しなくなるだけでビジネスがストップしてしまう。ITの重要性は増しているが、機器やシステムごとの状況把握では管理者負担が大きく、障害発生時に迅速に対処することは難しい。社内システム全般を「可視化」して運用管理することが求められているのだ。
Windows Server 2008では、バラバラだったシステム構成や管理プロセスをまとめ、相互の運用管理性を高めており、これまで運用管理ソフトウェアが担ってきた「サービス品質の向上」と「運用コストの低減」を実現できる機能が搭載されている。
企業システム全体の最適化により運用・管理コストの低減を実現するべく、サーバ統合を進める動きが活発になっている。サーバ価格が低下し、導入しやすくなったことも影響して、企業には部門や部署ごとに数多くのサーバが設置されているケースが多い。しかし、サーバは、設置台数が増加すれば管理工数も増加する。専任管理者が不在の企業において、企業内のすべてのサーバを管理することはすでに難しい状況となりつつある。
肥大し続ける運用管理コストの低減を実現すべく注目されているソリューションが、「サーバ統合」だ。情報を1ヵ所に集約することで、管理性が高まり、よりセキュアな環境構築が可能となる。つまり、ブレードサーバによって物理的にサーバを統合していくことで、運用・管理工数の低減とセキュリティの向上を両立できるということになる。
これまでブレードサーバは、データセンターや大規模企業を中心に利用が進んできたのだが、中堅・中小規模企業においても、サーバ統合のハードウェアプラットフォームとして、ブレードサーバが注目されている。その理由として、コストや設置環境の変化がある。ブレードサーバはエンクロージャーやストレージなどの導入コストが高く、システム全体の費用を押し上げていた。また、200V電源が必須で、電源や熱・空調といったオフィスインフラまで見直さなければ導入できず、自ずと導入できる企業が大規模企業に限られてしまった。このため、サーバベンダがキャンペーンなどを行い、システムの導入価格を下げたとしても、オフィス環境がネックとなり、結果としてある程度の企業規模でしか浸透してこなかったのである。
現在の環境は大きく異なる。100V電源で稼働するブレードサーバも登場し、専用ラックに収めることで事務所などでも十分設置できるような製品になった。
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が提供しているブレードサーバ『H P BladeSystem c-Class』は、第三世代ブレードを謳った企業システム全体を統合・管理できるブレードサーバである。100V電源での利用はもちろん、事務所設置できる数少ないブレードサーバの1つだ。ネットワークやストレージなど、企業システム全体を統合し、一元的に管理できるなど、新規市場の開拓を実現しているブレードサーバと言えよう。
さらに日本HPは、『HP BladeSystem c-Class』で利用できるサーバブレードのエントリー製品『HP ProLiant BL260c G5』を投入。導入・運用コストを低減し、企業システムを一元管理でき、オフィス内に設置ができるとなれば、中堅・中小規模企業などのエントリー層も十分ターゲットになる。このハードウェアプラットフォームにWindows Server 2008という新サーバOSを組み合わせれば、サーバ統合をさらに加速することができよう。
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■Windows Server 2008 主要機能の概要
■Windows Server 2008の各エディションの概要
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