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| 2006年11月時点の情報を掲載しています。
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前号では、まず最初に「全社レベルの内部統制の可視化と評価」を行う必要があることを解説した。いきなり「業務プロセスレベルの評価フェーズ」から作業を始めると、重要性も考えず、端から順番にほとんどの業務プロセスを対象に膨大な作業を行うことになってしまうからである。今号では、「全社レベルの内部統制の可視化と評価」の結果を踏まえ、重要な業務プロセスに評価範囲を絞り込む手法について解説する。 「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準案」では、過大なコスト負担にならないように「トップダウン型のリスクアプローチ」の採用を提唱している。企業の内外の経営環境からリスクの高い業務プロセスを抽出し、効果的且つ効率的に内部統制の評価・監査に対応しようとする考え方である。ただ、具体的な手法は明記されず、実務的にどのように対処すればよいのか暗中模索の状況である。先行する米国でも、米国上場会社会計監視審議会（PCAOB）監査基準第2号において、この考え方を採用しているが、責任を過度に意識した企業や監査人が結果的に評価範囲を拡大してしまったという反省点がクローズアップされている。 ここでは、業務プロセスを多次元分析しながら階層的に細分化していき、事業目的の達成を阻害する可能性のあるビジネスリスクを洗い出し、そのうち財務報告に係る重要な虚偽表示につながる、内部統制の重要な欠陥が存在するリスクに着目して、評価すべき業務プロセスを絞り込んでいく構造化分析手法を説明する（図1参照）。 構造化分析手法により、自社を取り巻く外部環境をLevel-0、業務機能の連鎖として自社の業務プロセスをlevel-1として記述する。 Level-0,1で表現されたビジネスモデルを鳥瞰しながら、ビジネスリスクチェックリストを用いて、事業目的の達成を阻害する可能性のあるビジネスリスクを網羅的に洗い出す。そのうち財務報告に係る重要な虚偽表示につながる、内部統制の重要な欠陥が存在するリスクに着目して、評価すべき業務機能・勘定科目を特定する（図2参照）。 評価範囲として特定された業務機能は、さらに階層的に細分化しLevel-2の業務プロセスチャートに落とし込み、財務報告に係るリスク領域を特定し、そのリスクに対応するコントロールを配置し、財務報告に係る内部統制の有効性を評価する。財務報告リスクに着目して特定された勘定科目は、評価範囲を絞り込む際に、「質的重要性」が高い勘定科目として取り扱われることになる。  J-SOX法は、連結財務諸表の信頼性に重要な影響をおよぼす業務プロセスを評価範囲とし、連結ベースで業務プロセスレベルの内部統制を可視化・評価することを求めている。 具体的には、3つのStepで内部統制の評価範囲を絞り込んでいく（図3参照）。まずStep1として、連結財務諸表に対する金額的または質的に重要な勘定科目を選定し、次にStep2として、重要な事業拠点を選定し、最後にStep3として、これら選定事項を統制対象とする業務プロセスを洗い出し、内部統制の評価範囲として決定する。 なお、評価範囲を絞り込むステップに入る前に、あらかじめ評価範囲を絞り込む際の考慮要素として、財務報告に対する金額的または質的影響の重要性を決定しておく必要がある。また、全社レベルの内部統制の有効性の程度が高い場合には、業務プロセスレベルの内部統制の評価範囲を縮小することができるが、逆に低い場合には、拡大することになる。  経営者は、期末時点で、内部統制に重要な欠陥が存在すると、内部統制は有効ではないという報告をしなければならないが、そのような報告をしたくないので、重要な欠陥を見逃すことがないように内部統制の評価範囲を決定する。では、内部統制の重要な欠陥とは何か？ 
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