大きな成果を得た会社を紹介しましょう。 まず、大阪に東海バネ工業Mという、特殊なバ ネをつくる中小企業があります。バネは、小さな 皿バネなど1個1円を切るようなコモディティの典 型ですが、東海バネは1個が“万円”を越える高性 能で付加価値の高いバネを多品種微量生産に徹し て、高い企業業績を上げている会社です。このた め、メカの研究開発の現場にいる人々に知っても らうと、ネットからでもどんどん注文が入ってく るのです。こういう事業特性に合ったホームペー ジの設計にITコーディネーターが貢献し、売上高 を伸ばすことができました。現在では海外からも 特殊なバネの注文がきます。 もうひとつの身近な例を挙げましょう。北陸の 福井に手漉きで良質な紙をつくっている梅田和紙 Mがあります。高品質で全国の書家や書道教室か ら高い支持を受けるこちらの社長の悩みは、お得 意さんからの注文が急に入ることが多く、いつも 残業・休日出勤が絶えないことでした。これでは 同じ売上をあげるのにコストがかさみますし、従 業員にも無理な労働を強いなければなりません。 もっと注文を適時に取って生産を平準化したい。 この悩みをITコーディネーターに相談しました。 ITコーディネーターのアドバイスは単純な顧客 管理ソフトを導入することでした。顧客管理がき っちりできると、前回3,000枚を納入したお得意さ んからいつ頃次回の注文が出されそうか、すなわ ちオーダーサイクルの見当がつくようになります。 ぼちぼち紙の在庫が底をつきそうだなと分かるの で、適切な時期に御用聞きの電話を入れることが できるようになったそうです。生産能力が向上し、 利益率が飛躍的に上がって経営的には大きな成果 でした。 このようなIT化によって高い効果が期待できる 工場や店舗は日本全国一杯あるでしょう。こうし た中小企業の経営者にITコーディネーターの存在 を知ってもらうことが目下の急務です。中堅・中 小企業が活性化し元気になってもらうために、IT コーディネーター協会の業務開発・広報委員長として東西を奔走しております。
モバイル・インターネットキャピタル株式会社 代表取締役社長 工学博士 西岡郁夫 P r o f i l e 1969年大阪大学工学研究(通信工学)修士課程修了、シャープ入社。 同社技術本部コンピュータ・システム研究所所長、コンピュータ事業部長、情報システム本部副本部長を経て1992年インテル(日本法人)副社長に就任。 1993年社長、1997年会長、1999年4月退任。同年NTTドコモ、みずほ証券、インターネット総研と共同出資でモバイル・インターネットキャピタル株式会社設立。工学博士。