新型コロナウイルスの感染拡大により計画が前倒しされ、全国の小中学校で一気に整備が進んだ「GIGAスクール構想」。
さらにその先の「アフターGIGA」へと進む教育現場の現状はどんな姿なのだろうか。
GIGAスクール構想とは「Global and Innovation Gateway for All」の略で、「全ての児童生徒に世界と改革への入り口を提供する」という意味だ。このプロジェクトを実現するため、文部科学省は1人1台端末の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5カ年計画を進めている。
2018年からスタートしたGIGAスクール構想だが、当初はGIGAスクール構想の実現を2023年に想定していたものの、新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置を受け計画の前倒しを決定。実現期限を2021年3月末までに再設定。これにより全国の小中学校で急速に整備が進んでいる。
一方で、すでにGIGAスクール構想が実現した後を見据え、「アフターGIGA」という概念も生まれている。これは、1人1台端末が行き届いた状態で、教育においてどのようにICTを活用するかという考え方だ。アフターGIGAにおいては、これまでのICT教育のさらなる発展が求められている。
例えば、生徒や児童の端末から学習データを読み取ることで、個々人の習得状況に合わせた学習方法を計画したり、適切な学習量を算出できる。これらのデータを生かすことで、より効率的な学習指導が期待できるというわけだ。
また、アフターGIGAにおいては「ICT教育だからこそ発生する問題をどのように解決するべきか」という課題の解決も求められる。有害なサイトの利用制限や個人情報の保護なども重要なポイントだ。
結果的に、新型コロナウイルスに後押しされる形で導入が進んだGIGAスクール構想だが、文部科学省は2020年度第三次補正予算で、国公立・私立高校等でのPC端末整備のための補助金として161億円を計上している。
さらに、2021年度予算案では「GIGAスクールにおける学びの充実」に4億円を計上。小中学校での1人1台端末導入後のさらなるICT活用を促進するとともに、高校へのGIGAスクール拡大を目指している。
2021年はアフターGIGAでのICT活用はもちろん、高校や私学、教職員へのPC端末導入にも商機が期待できる。さらにビジネスチャンスが広がる教育分野に今後も注目したい。
セキュリティ
生徒や児童が利用する端末は、インターネット上のトラブルを未然に防ぐためのセキュリティ環境を整備する必要がある。有害サイトへのアクセスを遮断するWebフィルタリングを設定することはもちろん、コンピューターウイルスの感染を防止するセキュリティソフトのインストールも重要だ。
ネットワーク機器
ICT教育が十分に浸透した場合、動画教材をふんだんに利用したり、遠隔授業が大幅に増えることが予想される。このような状況でスムーズな教育を進めるために必要なのが、十分な速度を確保したネットワーク機器の拡充である。特に、コンピューターに不慣れな児童・生徒でも容易に学習環境を整えられるよう、シンプルかつ高速のネットワーク環境を構築することが必要だ。