筆者の手元に'86年と'07年のIT用語辞典があります。厚さの違いに驚きます。おおよそ５倍は違います。過去のそれの薄いこと。当時はネットワークに関する用語は、パソコン通信（懐かしいですね）に関連したわずかな数。インターネットの普及とともにパソコン用語は爆発的に増大しました。サーバ関連用語も当時はほとんど見かけられません。
さあ、毎日のように増えているIT業界用語をお勉強しましょう。

○費用対効果から注目されています（設問01）
もともとは全国に拠点を持つ大企業の内線電話などを公衆回線を中継して接続するサービスでした。現在では、データ通信の拠点間接続サービスを意味するのがVPNです。通信キャリアのバックボーンネットワークを通じて、企業内LANを相互接続すれば、低コストでインフラ整備可。送受信データは、認証や暗号化で厳重に保護・管理され、混信・漏えい・盗聴などの心配もご無用です。通信事業者の保有する広域IP通信網を経由させた場合はIPVPNと呼んだり、インターネット上で実現したVPNをインターネットVPNと呼びます。

○独立したPCではありませんが（設問02）
HDDとネットワークインターフェース、OS、管理用ユーティリティなどを一体化した単機能サーバ（アプライアンスサーバ）がNASです。記憶装置をネットワークに直接接続したかのように見えますから、この名称になりました。ネットワーク接続された他のPCから、通常のファイルサーバのように、共有ディスクとして使用できます。ファイルシステムやネットワーク通信機能が内蔵していますから、システムへの導入や追加も簡単です。高性能のNASでは、複数のHDDを搭載しRAID機能やホットスワップ機能を持つものもあります。

○今後も長くお付き合いしたいから（設問03）
顧客のニーズやウォンツを把握し、顧客志向の商品やサービスを提供することは、企業の使命です。CRMに成功した企業は、顧客と強固な関係を構築できますし、自社の収益力や競争力を向上させられます。CRMは事前に目的、範囲、効果目標などを明確しておくソリューションで、最近では、FAQ構築で業務効率化を目指してみたり、顧客の声（VOC=Voice of Customer）分析による経営戦略に対する貢献などで注目されています。営業部門ではSFA（=Sales Force Automation）の導入で営業力強化を企図する企業が数多くあります。

○システムダウンは許されないから（設問04）
商品が納品された場合をイメージしましょう。入庫処理の実施では、入庫データの記録だけでなく、在庫残高の更新が同時に実行されないと整合性に欠けます。複数の処理をひとつにまとめてトランザクションできれば、必要な処理の全てが成功した場合にだけ、データベースが更新される制御が可能になります。オンラインバンクにおける入出金、オンラインでの座席予約は、オンライントランザクション処理と呼ばれ、最近ではこちらのほうが圧倒的です。排他制御、応答速度、トラブル予防、復帰能力などが注目されています。

○ロシアの食べ物ではありません（設問05）
社内ネットワークとインターネット間でアクセス制御を行ったり、社内ネットワークとインターネット間のトラフィックを軽減させるとき、採用すべきはプロキシです。不正侵入を防止するセキュリティを実現させながら、内部ネットワークから外部インターネットへのアクセスを中継・管理するために導入されます。社内では許可したユーザーだけにインターネットの特定サービスが使えるようにする設定もできます。アクセス制御用プロキシサーバでは、通常アプリケーション・ゲートウェイ型のファイアウォールで動作させます。

○コンテンツ配信にも有益です（設問06）
通常のクライアント・サーバモデルは、データの保持・提供するサーバと、データを要求・アクセスするクライアントの2つの機能が固定されています。P2Pは自律分散型のネットワークモデルで、サーバまたはクライアントに固定されません。データを一括保持するサーバを持つハイブリッドP2P、サーバを持たないピュアP2P、処理能力の高いノードが自発的にデータの場所を探索・保持するスーパーノード型P2Pなどがあります。サーバトラフィックへの負荷集中回避などP2Pの利点をビジネスチャンスと見る企業もあります。


◎回答：設問１→4 VPN(Virtual Private Network)／設問→2 NAS(Network Attached Storage)／設問３→3 CRM(Customer Relationship Management)
設問４→1 トランザクション／設問５→1 プロキシ／設問６→2 P2P(Peer to Peer)