仮想化というと「難しい技術」というイメージを持つパートナー様は少なくない。確か に、仮想化技術のすべてを理解するのは難しいかもしれないが、サーバ統合を行う 作業は、それほど難しくはない。マイクロソフトでは、仮想化戦略としてMicrosoft 360 Virtualizationを打ち出しており、仮想化技術の普及に向けたさまざまな支援 策を実施している。こうした支援策を利用して、Windows Server 2008 Hyper-V (以下Hyper-V)をエンドユーザ様に対して積極的にご提案いただきたい。
マイクロソフトは2008年10月、同社の仮想化戦略となるM i c r o s o f t 3 6 0Virtualization(図1)を打ち出した。4つの仮想化からなるこの戦略は、仮想化技術によって増え続けるサーバへの対応、複雑化するデスクトップ管理、アプリケーション管理コストの増大、膨大なクライアントPCのセキュリティ対応といった近年増え続ける企業の課題の解決をめざしたものだ。
増え続けるサーバへの対応という点では、Hyper-Vによるサーバの仮想化が最適なソリューションとなる。
ここではまず、Hyper-Vによるサーバの仮想化やサーバ統合につきまとう、いくつかの誤解を解いていくことから始めたいと思う。
仮想化技術というと「難しい技術」というイメージを持つパートナー様が多いのではないだろうか。これが第一の誤解だ。確かに、仮想化技術のアーキテクチャーをすべて理解するのは、非常に困難である。しかし、Hyper-Vの仮想化技術によってサーバを統合する作業は、決して難しいものではない。ハイパーバイザー型の64ビット仮想化技術であるHyper-V(図2参照)は、64版に対応したサーバにWindows Server 2008を導入すれば、自動的に使用可能になる。
第二の誤解は物理サーバから仮想サーバへの移行作業にも、難しいイメージを持つ場合が多いことだ。実際に仮想化を行う場合には、システムの運用管理の集中化を実現するSystem Center Virtual Machine Manager2008を利用すれば、わかりやすいGUIの画面で、簡単に仮想化を実現することができるのだ。パートナー様にはぜひ「仮想化は難しい」というイメージを払拭していただき、積極的な提案に注力して欲しい。
そして、仮想化技術は大規模エンタープライズサーバ向けの技術である、という誤解や、中小規模サーバではコスト削減メリットを得られない、という誤解も、多くのパートナー様が抱いているようだ。しかし、Hyper-Vは、決して大規模エンタープライズサーバだけに適した技術ではない。むしろ中小規模サーバから、大規模エンタープライズサーバまで幅広くカバーするのが、同製品の特徴だ。また、WindowsをゲストOSとして使用する場合、他社の仮想化技術に比べて、かかるコストは3分の1程度ですむ。
Windowsベースであることが多い中小規模サーバの統合において、特にコスト削減メリットを発揮するのが、大きな特徴とも言える。
仮想化技術によるサーバ統合ということが叫ばれるようになって久しい。そのことから、サーバ統合には、もはやビジネスチャンスは残されていないのではないか、という印象を持っているパートナー様もいるかもしれない。しかし、そうした認識は誤っている。マイクロソフトによれば、現在、企業内で稼動しているサーバのうち、60万台以上が、すでにライフサイクルを終えたWindows NT Server、Windows Server 2000ベースのものであるという。こうしたサーバのマイグレーションは、あらゆる企業で緊急の課題になっている。
古いサーバハードウェアの上で稼動しているWindows NT ServerやWindows Server 2000。これらを最新のサーバハードウェアにマイグレーションする際に役立つのが、Hyper-Vだ。Hyper-Vは、ゲストOSとしてWindows Server 2008、2003 SP2、2000 SP4をサポートしている(マイクロソフトは動作保証をしていないが、実際にはWindows NT ServerもゲストOSとして動作する)。そのほか、SUSE Linux Enterprise、RedHat Enterprise Linux、SolarisなどがゲストOSとしてサポートされる。
Windows Server 2003やLinux Serverからのマイグレーションを検討するケースも少なくないと予想されるので、市場には60〜80万台のサーバが統合の対象として存在すると考えてよいと思われる。パートナー様は、そのような認識の上に立って、お客様にサーバ統合を提案していただきたい。