ロケーションベースサービスとは、GPSや基地局データなどを使って得た位置情報を使って情報を提供するサービスで、これまでは主に携帯電話やモバイルPCに向けたサービスとして提供されていた。例えば、利用者のいる場所に応じて、近隣のショップやエンターテインメント情報、広告などを地図上に表示させるようなサービスだ。位置情報を利用したケータイゲームなども登場しており、さまざまなアイデアで利用されている。
日本では、Webブラウザ搭載の携帯電話で外出先でもWebを利用する人が多かったため、ロケーションベースサービスの普及は比較的早かった。これに対して、欧米では携帯電話でWebを閲覧するユーザが少なく、それほど利用は進んでいない。しかし、携帯電話よりも多くの情報を扱いやすくなったスマートフォンの普及によって新たなサービスが提供されるようになり、ソーシャルメディアと融合したサービスも登場してきている。
ロケーションベースサービスを活用したSNSとして、現在人気なのが「foursquare」だ。「foursquare」は、GPS情報をもとに自分が今いる場所や店を表示させ、そこに登録(チェックイン)することでバッジが獲得でき、チェックインの頻度に応じてその場所の「長」(Mayor)になれるなど、ゲーム感覚で外出が楽しめる仕組みだ。
M a y o rは、チェックインしたお店の割引特典や無料特典がもらえるため、サービスの積極的な活用につながる。Mayorではなかったとしても、利用者がお店の情報をTwitterでつぶやくことで受けられる特典を用意しているお店もある。
foursquareなどのロケーションベースサービスでは、利用者属性の1つとして位置情報を活用できることがポイントだ。より購買意欲の高い消費者がいる場所で、タイムリーな情報を提供できるため、企業は新たなマーケティングツールとして注目している。また、foursquareのTwitterやFacebookとの連携は、ソーシャルネットワーク上のコミュニケーションの中に自社の商品やサービスの話題を利用者のクチコミとして登場させることができ、多くの人に商品名やブランド名などを浸透させられる。身近なところでは、コーヒーショップのチェーン店に行ったという話は、わざわざ話題にするほどのことではないが、より多くの人がチェックインするようなキャンペーンを組むことで、多くのユーザがfoursquareなどで気軽につぶやける話題づくりとなるのだ。
ロケーションベースサービスは、まだまだ発展途上のサービスであるといってよい。GoogleマップやGoogleバズなどの既存のサービスとマッシュアップさせて、新たなサービスを作り出すことも可能である。しかも比較的開発が楽なので、アイデア次第で今後も新しいサービスが登場してくることが予想される。実際、友人同士のグループ内でコミュニケーションを取り、友人の現在位置を地図上に表示させながら遊びに行く場所などを決めていくサービスなども登場している。もちろん、携帯電話に向けたサービスだけでなく、スマートフォンの利便性やソーシャルメディアを意識したサービスが今後は主流となっていくだろう。それが企業のマーケティングが注目している点であり、利用者の声に傾聴し、商品開発やサービス開発への活用、そして利用者に"ささりやすい"広告が展開できるなどの可能性がビジネスチャンスにつながるのではないか。