SaaS(Software as a Service)やASPを利用するユーザ企業にとっては、そのシステムがどういうツールで開発され、どのような環境で動作するかという点に、あまり関心がないかもしれません。しかしながら、提供するソフトウェアをカスタマイズして、ユーザ企業にフィットさせていく上で、システム開発の生産性ということには、ユーザにとってもかなり関心が高いのではと思います。
特にユーザサイドで自由にカスタマイズができるということになりますと、利用者にとってもさらに注目される内容ではないかと思います。
システムの開発生産性が最も高いツールは何かというSEへの問いに対して、さまざまな回答がされてきました。その回答の1つに“Excel”であると答えるSEもいます。「ええ〜表計算のExcelですか?」という驚きの反応がありそうですが、「まあ、表計算ソフトといえばそうですが、相当なことができます。Excelのマクロでさっと実現できる処理を、通常の言語で記述しようとすると、桁違いのステップ数が必要です」とExelの開発効率を評価するSEは答えています。
また、現場の利用部門と情報システム部門を結びつける「共通ツール」にExcelはなり得る、と指摘するSEもいます。現場の利用部門は業務にさまざまな情報を使おうとして、必要に応じてExcelを使っています。Excelのシートを見れば、必要な情報が「表」の形で整理されています。情報システム部門はその表から現場の要求を汲み取って、役立つ情報を出力する業務システムを開発できます。実際にExcelで作成された業務システムで、規模の大きなものでは、ホテルの基幹システムがExcelで作成されているという事例も見てきました。しかし、今日まで、筆者の感想としては、Excelで構築するシステムは、特殊な事例であり、一般的なものではないと認識してきました。
ところが最近、マイクロソフト社が主催する中小企業者向けのセミナーで、“Excelを活用し、Webシステムを低コスト・短期間に開発しよう”というタイトルのセミナーが行われています。ここでは、クライアント側はExcel、システムとしてはWebアプリケーションを構築する環境が提供され、かなり一般的なツールとして、使い勝手が向上しています。これなら、Excelに精通した担当者がいる中小企業にとっては、システム構築ツールの1つとして、推奨できるものであるとの確信を深めています。
(文責: 株式会社アイジーティビィテクノロジー伊澤清吏)