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2008年3月時点の情報を掲載しています。
今回は、ユーザ側SEやIT担当者にありがちな困った行動パターンを紹介します。筆者が企業でIT担当であった頃、社内で見聞きした例です。コンピュータ関連の営業を担当しておられる方でしたら、何人か顔が思い浮かぶかもしれませんね。
安心を買う人
「安心を買う人」の場合、長いものに巻かれろ主義の人が多いので、名前の通ったメーカーの製品を提案しておけば、多くは納得してくれます。売る側から見ると、上客のように見えます。ところが、問題ユーザもいるので要注意です。
それは「安心」をベンダー側の提案書や仕様書に求めるユーザです。ベンダーが書いた提案書の「これだけの機能がある」という文言を盾にとって、その一つでも実現できなかったときに豹変するのです。それがベンダーの責任でなかったとしても、仕様書の中で「やる」と書いた以上は、何がなんでも実現してもらわなければ困る、という態度に出ます。正当な主張かもしれませんが、本来は現実的な代替案を検討するほうがユーザ・ベンダーの両者にとってメリットがあるはずです。ところが「安心を買う人」の中には、それよりも契約書の通り実行されることを重視する人も多いのです。
趣味に堕落している人
「安心を買う人」の対極にいるのがこのユーザです。中小企業などで、社長からコンピュータに少し詳しいというだけでIT担当を任されている人によく見られます。妙にハードウェアの細かいスペックに拘ったり、新しいOSを使いたがります。PCは組み立て品が大好きで、机上にはカバーの開けられた組み立てPCが動いていたり、取り外したHDDが転がっていたりします。
このタイプの顧客からは、小額でニッチな商品の発注頻度は高いでしょう。しかし肝心の会社全体としてのITについてどうするのか、というプランを持っていないことが多いのです。
会社に言われたから買う人
案外、世間に多いのがこのタイプで、本人は特にITに対して、好きでもなく得意でもありませんが、たまたま担当者になっている人です。彼らが要求してくる仕様はアバウトです。ユーザのPCが壊れたから代わりに適当なものを、といった具合です。本人は何も考えていません。単に要求を出すだけなのです。
一見、困った人のようにも見えますが、ベンダー側がユーザの仕事内容(つまり必要なハードやソフト)にまで踏み込めば、他のベンダーに流れることもなく、よい顧客にもなるかもしれません。
ユーザの行動基準はどこにある?
今回は困ったユーザの中から3つの例を挙げました。注視すべきなのは、行動パターンそのものではなく、彼らが何を行動基準にしているのか?ということです。
「安心を買う人」は、自社ユーザの都合よりも、自分の仕事に瑕疵がないことが行動基準です。本来のITの目的よりも自身に責任が降りかからないことを優先しているのです。「趣味に堕落している人」は自分の興味が最優先です。自宅で使ってみたいハードやソフトを、適当な理由をつけて会社の経費で購入するような人もいます。これを早めに見抜いておかないと、とんだとばっちりを受ける危険もあります。こうした、ユーザ側の行動基準を早めに見抜けるかどうかが、困ったユーザとうまく付き合いリスクを回避できる分かれ道になりそうです。
柳原 秀基
1 9 8 0 年代から国内機械製造メーカーの社内S Eを経験。主にAS/400,Windows NTによるシステム構築を担当。Windows系ユーザコミュニティの設立に参画し、代表を務める。現在は大阪市立大学大学院創造都市研究科博士(後期)課程に学生として在籍しつつ、大学非常勤講師、講演、運用管理系ソフトウェアベンダへの助言、開発支援を行っている。
Microsoft MVPを受賞。著書に「システム管理者の眠れない夜」(IDG)など。
【目から鱗のI T 夜話】
・第1夜 システム提案書は担当者の悩みと企業丸ごとを理解して作成すべし 【Vol.36】
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