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 人をリストラする恐ろしさ 前回の第七夜でわたくしは「企業は生き残りのために、リスクテイクしなければならない」と書きました。今回は、単に新しい技術の導入だけではなく、逆に「導入しない・使わない」という方法で生き残ることもできる、というお話をしましょう。 「導入しない・使わない」という方法の典型は、人件費削減のために人を減らすというものです。これは、製造業の場合にはそれなりに有効です。受注が減り、生産ラインを動かす必要が無いのなら、同時に作業者の仕事もなくなります。もちろん、人を生産ラインの一部とみなすことには異論はあると思いますが、経営的にみると、人を使わないという選択は正当でしょう。 しかし、「人を使わない」という選択が難しい仕事もあります。それは主にバックオフィス（人事給与・経理・管理・総務・情報システムなど）ですね。景気の悪化で売上高が減っても、計算結果の数字が小さくなるだけであって、計算の手間を減らすことはできません。つまり、不景気でも彼らの仕事は減りません。しかし現実には、リストラはバックオフィス側から始まるのが多いようです。矛盾していますね。 仕事の量は変わらないのに、人を減らすとどうなるでしょうか。まず残業が増えます。今すぐ必要ではない仕事は放置されるようになります。その結果、視野が短期的になり、中長期的な仕事は後回しになります。その悪影響は1年ほど経過してみないとわかりません。恐ろしいことですが、残業が増えた人の体への影響も、半年から1年経過しないとわかりません。 こうした悪影響を減らすには、人を減らしても残業が増えないような仕事の仕組みに変えていく必要があります。 さまざまなＩＴの仕組みを導入することによってこれを実現する、という切り口がありますが、基幹的な業務については、すでにパッケージソフトが導入されているのがほとんどです。もし導入されていなかったとしても、昨今の不景気では新たなシステムの導入に踏み切る企業は少ないのではないでしょうか。 わかっちゃいるけどやめられねぇ？ 植木等が「わかっちゃいるけどやめられねぇ」と歌って大ヒットしたのは1960年代ですが、これに共感を覚えた日本人のメンタリティは、今でもたいして変わっていないと思います。米国のオバマ新大統領は「チェンジ！」と叫んでいますが、実は日本人にとって最も苦手なものでしょう。 いまさら陳腐に聞こえるかもしれませんが「ペーパーレス」がその一つです。昔から減らせばいいのは分かっていても、なかなか実行できないのが現実ではないでしょうか？ 報告書や会議資料、伝票、集計表などから一切の紙を排除することは、単にエコなだけではありません。紙の上でのレイアウトに時間をかけたりすることがなくなりますし、コピーする時間も不要です。おまけに保管のためのファイリングも不要になります。まさにバックオフィスの効率化に直結するのです。 実際にやってみると分かりますが、プロジェクタとグループウェアに繋がるパソコンがあれば、ペーパーレス会議は容易に実現できます。グループウェアを導入している企業は多いのですが、単にメールやスケジュール共有に留まっていることが多いと聞きます。もっと共有フォルダや掲示板を利用してペーパーレスを目指そうではありませんか。 ペーパーレスというエコと、コストダウンを目指してグループウェアを導入する事例は、これから増えてくると思いますし、確実に効果が見込めるテーマになるでしょう。
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