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2013年9月時点の情報を掲載しています。
対消費者(B2C)のマーケティングの世界で、今、画像の上にグラフィックスやテキストを表示する拡張現実(AR)が注目されている。O2O(オンライントゥーオフライン)と組み合わせて商品レコメンドに活用すれば、購買率や客単価のアップも可能だ。
拡張現実(AR)とは、スマートフォンの“カメラ”などで撮影中の画像の上にグラフィックスやテキストを重ねて表示する技術の総称である。似たような技術としては、ヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着して建物や街の中を仮想的に歩き回る仮想現実感(VR)やインターネット空間で人と人が仮想的に交際するサービス「Second Life」などもこれまでにあった。
ARがそうした類似技術と大きく異なるのは、3D CG(3次元コンピューターグラフィックス)で作り上げた仮想空間をそのまま映し出すのではなく、実際の画像(現実)の上にグラフィックスやテキストを付け加えていること。つまり、100%の仮想ではなく、“多くの現実”に“少しの仮想”を追加しているのである。
ベースとなる技術についても、ARとVRには大きな違いがある。まず、VRでは3D CGを使ってコンピューター内部の3Dモデルから3D画像をダイナミックに生成している。これに対して、ARでは現場で撮影された画像をそのまま使用し、グラフィックスやテキストをその上に合成表示するだけで済む。一般に精細な3D画像を生成するには大きな計算量を必要とするので、この観点からは、ARはVRより“軽い”アプリケーションだと言えよう。同じことを別の表現で言えば、能力の低い機器では低画質のVRしか実行できないということにもなる。
その一方で、ARでは画像認識技術を使って動画像の中から目標物を見つけ出す必要がある。最近は低価格帯デジタルカメラにも人の顔を自動的に判別する機能が組み込まれているが、ARでは建物、棚、商品、人の顔といった多種多様な物体を同時に識別しなければならず、難易度ははるかに高い。GPSなどの測位技術を利用して位置情報を取得することもできるが、それはあくまでも補助的な情報にとどまる。
このように現実の画像がベースになっているARは、3DCGだけのVRに比べて圧倒的な迫力と臨場感を持っている。ビジネスの観点では、店舗や商品といった「売り込みたいもの」をよりリアルかつ鮮明に表現できることが大きな魅力。「わざとらしさ」が少ないので、消費者の好感度を得るのもたやすい。
そこで、今、ARをマーケティングに適用しようとする動きが盛んだ。例えば、ショッピングモール内を回遊する買い物客に自店舗で行われているセールをアピールしたり、店内の棚に並ぶ商品の中からお勧めを提示したりといった使い方である。
また、自社顧客に対するO2O(オンライントゥーオフライン)用のツールとしてもARは威力を発揮する。O2Oとは、WebサイトやSNSなどのオンラインで獲得した顧客をオフラインの実店舗へと誘導するマーケティング手法のこと。オンラインショッピングへの対抗策と思われがちだが、オンラインとオフラインをうまく連携させれば、売り上げを増やしたり顧客のロイヤルティを高めたりといった効果も見込める。
具体的には、店内のARシステムでお勧め商品を提示する際に、自社顧客に対してはその人の属性や購買履歴に合ったものを提示するといった活用法が考えられる。ARとO2Oをこのように連携させれば、購買率や客単価は必ずやアップすることだろう。
ARシステムを実現するには、SaaS事業者やASP事業者が提供しているネットワーク型のサービスを利用するのが手っ取り早い。もちろん、市販のAR開発キットを使って社内で制作することも可能だ。O2Oと連携させるには、顧客関係管理(CRM)用のソフトウェアパッケージも用意しておく必要がある。
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