今年のIT業界にとり、「働き方改革」が 大きなキーワードになることは間違いな さそうだ。長時間労働の是正を含む政府 の働き方改革に向けた取り組みは、労働 基準監督署による過重労働の取り締まり 強化など、既に具体的な形として表れは じめている。筋金入りの「ブラック企業」だ けでなく、普通の企業であっても、上限 を超える残業時間が認められた場合、経 営者や管理者が書類送検されかねない という状況の中、エンドユーザー様の働 き方改革に対する関心は極めて高い。 　だが、長時間労働の是正が売り上げ や収益の減少につながるとしたら、それ は経営層にとっても大部分の働き手に とっても決して望ましいものではない。 長時間労働是正と売り上げの維持・拡大 の両立のカギを握るのが生産性向上だ が、即効性がある対策は見えにくい実情 がある。
　働き方改革という新たなニーズを前 に、玉不足を理由に手をこまねいてい るパートナー様も多いのではないだろ うか。そもそも生産性向上は、早くから ITセールスのキーワード であり続けてきた。何度 も提案されたテーマで あれば、受け取る側が陳 腐と感じてしまうのは仕 方ない。 　本誌はこれまで2回に わたり、働き方改革を特 集してきた。そこでも触 れたとおり、本質的な課 題解決にはITの力が不可 欠であることは間違いない。しかし、即 効性や新鮮さを求めるのであれば、一度 ITを離れて、提案を再検討することも効 果的だ。実は、最先端のITソリューショ ン以外にも、生産性を高め、勤務時間削 減に貢献するツールは少なくない。今回 は、最先端のITソリューションを離れ、働 き方改革に向けた具体的提案を考えて いきたい。

　天板のスイッチを操作すると、デスク が電動で昇降する。そんな机が今注目 されている。その理由の一つには、デス クワークを立って行うことに よる生産性向上がある。昨 年9月に電動上下昇降デス クを発売したサンワサプラ イの野�� 敬一氏は言う。
　「当社では今年2月の段階 で、全社員のデスクを電動 上下昇降デスクに切り替え ています。それから半年ほ どが過ぎた今、何よりも実 感しているのはミーティング をはじめとするコミュニケー ションに要する時間の短縮 効果です」
　例えば、同僚と相談した い場合、座った姿勢であれば、席を立 ち、移動し、相手に話しかけるというプ ロセスが必要になる。しかし立った状 態であれば、即座に移動できるうえ、 お互い目線をあわせて会話すること ができる。「立ち会議」の効果はさらに 分かりやすい。
　「実際に体験すれば分かるように、立っ た姿勢はやはり疲れるんですよ。おの ずと会議を効率よく進めようと考えるよ うになりますね。立ち会議への移行によ り、時候の挨拶や世間話抜きに、直接本 題に入るようになったと感じています」
　もちろんテーマによっては、コーヒー を飲みながらじっくりと腰を据えて行う べきミーティングや会議もある。上下昇 降デスクであれば、その場合も天板を下 げれば十分に対応できる。
　サンワサプライの昇降デスクの導入 実績は、オフィスだけでなく、文教、医療、 工場など幅広い。文教は大学の教室が多 く、病院はクリニック規模の病院のナー スルーム、工場は立ち仕事が多い現場に 採用されることも多い。業務や気分に応 じて立ち仕事と座り仕事を使い分けるこ とが一般的で、サンワサプライの場合、 長時間のデスクワークを行う担当は、頻 立ち仕事は昼食後の眠気対策にも効果的だ。繁に上下させるケースが多く見られる。

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