当社が社名変更する理由はふたつあります。ひとつは、今後グローバルなビジネスを展開していくために、今年5月、HAクラスタソフトウェア『LifeKeeper』の発売元であるSteelEye
Technology社を買収しましたが、英語圏でも認知しやすいシンプルな名前に変更した方が得策だと判断しました。
もうひとつは、当社は2004年8月に東証マザーズに上場いたしましたが、その後にコーポレート・アイデンティティについて見直しをいたしました。外部のコンサルタント会社に社員、取引先、機関投資家、さらにはメディア関係者などにテンアートニのアイデンティティについてヒアリングしたところ、社名が覚えにくいという意見が少なからずあり昨秋頃から準備を進めました。
新社名は「Software for Innovative Open Solutions」の頭文字を取りました。本当はこのまま「サイオス」だけにしたかったのですが、証券関係の方から「サイオス」だけでは一般投資家の皆さんにどんな会社なのかわかりづらいとアドバイスをいただいたので、技術系の会社だと一目でわかるように「テクノロジー」をつけました。そこには、『ソフトウェアテクノロジーで価値を創造し、社会に貢献する』というメッセージを込めています。
Javaを中心としたWebアプリケーションのビジネスでは、今までお客様の基幹システムをWeb化するお手伝いをすることが多かったのです。現在では、そうした経験をもとにしてWebアプリケーションを提供しています。そのひとつが、営業効率改善ソリューション『TenArtni
SFA+』です。これは、個人の力を組織力に還元し、チーム営業力を生み出すためのWebアプリケーションです。これ以外の製品も開発を進めており、これから一層Webアプリケーションに力を入れていきます。Webの領域は、ビジネスモデルが常に進化していますので、こうした流れを先取りした製品開発を行っていきたいと考えています。
現在、Linuxを中心としたサーバのインフラビジネスが全体の4分の3くらい、Javaを中心としたWebアプリケーションのビジネスが4分の1くらいを占めています。両分野とも伸びているので、この比率は、今後もそれほど大きく変わらないと思いますが、インフラからWebアプリケーションまで一貫してサポートできるのが当社の強みでもあります。
また、英国にあるファンドマネジメント会社が、『Windows Exchange Server』でメールシステムを運用していたのですが、これがダウンすると業務に支障をきたしてしまうので、最近『Windows
Exchange Server』のディザスタリカバリ環境を『LifeKeeper Protection Suite for Microsoft
Exchange』で構築しました。4拠点で同じデータを共有し、どこかに障害が発生しても対応できる仕組みにしています。このようにセキュリティの分野でもわれわれのビジネスが広がっていくと期待しています。
IT化が進展する中で、企業内では、膨大な情報に対応するためにサーバのハードウェアが増え続け、管理が煩雑化しています。ところが、個々のサーバのリソースが十分使われているかというと、実際には非常に限られているのが実情です。リソースを有効活用する観点からの解決策として、複数のサーバを統合するサーバの仮想化ニーズが拡大しています。『LifeKeeper』は、『VMWare』による仮想サーバのクラスタ構成に完全対応しているので、こうした仮想化のニーズにもお応えすることができます。
さらに今年10月には、『Virtual Linux Sustaining Solution』の提供を開始いたしました。これは最新のハードウェアでは動作保証されていない旧バージョンのLinuxディストリビューションを、仮想化技術を用いて最新のハードウェアへ移行して使えるようにするサービスです。
このように当社では、グローバルな展開を視野にビジネスの布石を積極的に打っています。
大塚商会 BP事業部には、『Red Hat Enterprise Linux』や『LifeKeeper』などで大変ご協力いただいています。今後は、J-SOX法などへの対応から、データ保全に対するニーズが出てくると思います。ですから特に『SteelEye
Data Replication』はこれから大きなビジネスになると期待しています。現在、その周辺製品の開発も行っており、J-SOX法やセキュリティのニーズに合致した製品展開を考えていますので、ぜひ一緒に市場に提供していただきたいと思います。
また当社は今後、グローバルにビジネスを展開していきます。当社が買収したSteelEye Technology社には、Linuxカーネルの開発に携わっている技術者がおります。Linuxカーネルの開発に貢献することが、結果的にわれわれのビジネスを大きく飛躍させることにつながると思います。技術面だけでなく、マーケティング戦略などもワールドワイドで議論しており、日本を中心としたアジアと欧米で同時にビジネス展開できる体制を整えているところです。今後のグローバル戦略にもぜひ注目していただきたいと思います。