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にっぽんの元気人
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Webでの会議や商談に役立つパーソナルデザイン術

 新型コロナウイルスの感染拡大とともに、Web会議システムなどを活用し、リモートでミーティングやプレゼンテーション、商談などを行う機会が増えている。そこで気になるのが、画面に映る自分の姿が相手にどんな印象を与えているのかということだ。どうすればリモートでも相手に好印象を与え、ビジネスの成功に結び付けることができるのか。イメージコンサルティングの草分けとして、自分の内面的な特性を見据え、外見の表現に反映していく「パーソナルデザイン」を提唱する唐澤理恵さんに聞いた。

第一印象とは、相手に対する“期待”です。相手に迷いを与えないような第一印象をデザインすることが大切です。

「見た目」を「内面」に合わせて第一印象のギャップを埋める2020年はテレワーク導入が本格化するターニングポイント
BP:新型コロナウイルスの感染拡大とともに国や企業がリモートワークを推進したことで、Webによる会議や打ち合わせ、商談などが日常化しています。
 唐澤さんは、ありのままの自分をデザインし、表現する「パーソナルデザイン」を提唱しておられますが、その前提となる「自分の見え方」は、対面とWebでは、どれほど違うものなのでしょうか。

唐澤理恵氏(以下、唐澤氏):
まず、最も大きな違いは、対面では全身が見えるのに、Webではバストアップ(胸から上)しか見えないことです。
 些細なことだと思うかもしれませんが、背が高いとか、小柄だとか、恰幅がいいとか、華奢といった体格や体形は、相手の自分に対する印象にかなり大きな影響を与えるものです。
 わたしたち人間は、初めて会う人はまず、第一印象で「こんな人ではないだろうか?」と推理します。体格や体形が見えないということは、その判断材料が制限されてしまうわけです。
 言い換えれば、Webによる対話では相手の視線は顔だけに集中するのですから、表情や髪型などを工夫するだけで、自分をパーソナルデザインし、第一印象をよくすることができます。

BP:基本的な質問ですが、第一印象は商談や交渉にどれほど影響を与えるものなのでしょうか。

唐澤氏:
わかりやすく言えば、第一印象とは、相手に対する“期待”です。
 柔和な表情の人であれば、心もやさしいのだろうと期待するでしょうし、険しい表情なら、「厳しそうな人だ。タフな交渉になるかもしれないな」と、つい身構えてしまうはずです。
 いずれにしても、第一印象と実際の人格や性格が一致していれば、それに合わせて表情をうかがいながら言葉を選び、会話を進めていけばいいので、さほどの苦労はありません。
 しかし、実際に話してみると、顔はやさしそうだけど案外厳しい方や、怖そうな顔をしているのに、心はとてもやさしい方もいらっしゃいます。
 よくも悪くも、第一印象で抱いた期待を裏切られるわけです。
 このように第一印象と実際の人格や性格が異なる人は、「どう接すればいいのか?」と迷ってしまうので、奥深いコミュニケーションが取れるようになるまでに時間がかかってしまいます。
 プライベートなら、じっくり時間をかけて理解し合うこともできますが、商談や交渉といったビジネスの時間は限られています。
 しかも、対面ではなくWebで対話するとなれば、ますます時間の制約が大きくなるはずです。
 その限られた時間の中で、奥深いコミュニケーションまで行き着かせ、商談や交渉を成功させるためには、相手に迷いを与えないような第一印象をデザインすることが大切なのです。

BP:具体的には、どのようにすればいいのでしょうか。

唐澤氏:
わたしが提唱するパーソナルデザインの基本は、自分の「見た目」を「内面」に合わせることです。
 見た目が内面そのままであれば、相手は第一印象で抱いた期待を裏切られることがないので、コミュニケーションを効率よく進められます。
 逆に、無理をして内面にそぐわない見た目を作ると、自分からコミュニケーションを長引かせてしまうことにもなりかねません。

BP:「名は体を表す」とか、「形から入って心に至る」といったことわざもあるように、外側からのアプローチによって内面を変える方法もあるかと思いますが、そうではなく、内面に合わせて見た目を変えるわけですね。

唐澤氏:
はい。やさしい人なら、そのやさしさがストレートに表れる表情を、健康的ではつらつとした人なら、その明るさや快活さが素直に伝わるような表情をつくることが大切です。
 もちろん、外側からのアプローチによって内面が変わることもありますが、それには相当な時間がかかります。
 相手は、あなたの長い一生の中から切り取られたわずかな時間に会うわけですから、その瞬間に見た外見が内面とあまりにも食い違っていると、戸惑いを感じてしまうのです。
 また、外見と内面があまりにもかけ離れていると、相手に奇異な印象を抱かせてしまうこともあります。
 例えば、本当は気の弱い人なのに、無理をして勇ましい髪型やファッションをしていると、見ていて痛々しく感じてしまうことがありますよね。
 そうした戸惑いや違和感をなるべく小さくして、スムーズに商談や交渉を進めるためには、内面に合わせて見た目を変えていくことが早道なのです。

「目」と「まゆ」をしっかりと出し余分な装飾は省く
BP:では、どうすれば内面にふさわしい見た目をデザインすることができるのでしょうか?
唐澤氏:
まずは、自分の内面をしっかり見つめ直すことです。自分の能力や性格、考え方、好みなどを徹底的に分析し、内面の棚卸をするのです。
 次に、棚卸した内面に合わせて、それをストレートに表現できる見た目づくりを行います。
 Webによる対話であれば、胸から上が印象を与える要素になるわけですから、顔や髪型などの印象を作ることがポイントです。
 その中でも、最も大切なのは、やはり顔の印象です。画面に映ると、まずは顔に目線がいくわけですから。
 顔の中で、自分の内面を最も表すものは「目」、次に「まゆ」です。
 目の表情は、その人の意思を表し、まゆの動きは感情を表現します。つまり、この2つは内面のあり様がストレートに表れるパーツなのです。
 ですから、眼鏡をかけている方は、目やまゆがあまり隠れず、しっかり見えるような眼鏡をかけるのが望ましいと思います。髪を垂らして、目やまゆが見えにくくするのも避けたいですね。
 眼鏡のデザインにも気を配りたいところです。例えば、縁のとがった眼鏡をかけると、意志が強そうな印象を与えますが、心のやさしい人や気の弱い人がこれをかけると、内面と見た目のギャップが大きくなりすぎてしまいます。やさしい人なら、むしろそのやさしさを強調できる丸眼鏡などがお勧めかもしれません。
 いずれにしても、目とまゆをしっかりと出すこと。そして余分な装飾はなるべく排除することが大切です。

BP:顔のほかのパーツについては、いかがでしょうか。

唐澤氏:
話をしたり、食事をしたりするための「口」は、その人の品格を映し出すと言われています。また、「鼻」は呼吸をするための器官なので、小鼻の大きな人は生命力の強さを、小さな人は品性を感じさせます。
 新型コロナへの感染防止のためマスクを着用する方が増えていますので、当面は気にする必要はありませんが、今後感染が収束し、マスクを外して対面するようなことがあっても、「印象が違った」と思われないように、口や鼻の表情にも気を配りたいものです。

BP:ほかに、Webによる会議や商談、交渉で気をつけなければならない点は何でしょうか。

唐澤氏:
対面では、相手の目を見て話しますが、Webでは画面に映った相手の目を見ると、目線が少しズレてしまいます。なるべくカメラを見て話すようにするといいでしょう。
 また、背景がごちゃごちゃしていると、それに目を奪われて表情を注視できなくなるので、なるべくシンプルな背景を選んだほうがいいと思います。
 Zoomなど一部のWeb会議システムには、背景を自由に設定できる機能が付いているので、それを活用してシンプルな背景にするのもいいかもしれませんね。
 また、背景が明る過ぎると、顔の表情がよく見えなくなるので、なるべく抑えた色調にするのがお勧めです。

BP:服装は、どのような点に気を配ればいいでしょうか。

唐澤氏:
顔の表情を生き生きとさせるには、白いシャツを着用するのがお勧めです。白のシャツにダークのスーツを合わせると、メリハリが利いて、仕事のできる印象を与えます。
 逆に、グレーのシャツやジャケットを着用すると、ぼんやりとした印象を与えてしまうので、あまりお勧めできません。

画面に映る自分の姿を見て表情や仕草を修正する
BP:光の当て方によっても、顔の印象は変わりそうですね。

唐澤氏:
上のほうから光を当てると、目の下にクマのような影ができてしまいますし、下から光を当てるとお化けになってしまいます。
 なるべく正面に近い位置から光を当てるようにしたいですね。
 ご指摘のように、顔の印象は光の当て方によって大きく変わります。
 特に際立つのが肌の印象です。あまり光を当て過ぎるのはよくありませんが、かといって暗すぎると不健康な肌に見えてしまいます。
 肌が輝いている人は、健康で幸せそうに見えるものですし、健康は幸運のイメージにも結び付きます。お客さまは、見た目が健康で幸運そうな人と取引したいと思うものですから、肌の印象をよくすることはとても大事です。
 男性で肌に自信のない方は、毎日化粧水をつけてお手入れをしてみるといいと思いますよ。

BP:Webでは、相手の画面に「自分がどう映っているのか?」というのが非常に気になるところですね。

唐澤氏:
実は、それを自分の画面でも確かめられるのが、Webのいいところなのです。
 リアルな対面の場合は、自分がどのように見えているのかを確かめることはできませんが、Webなら、画面に映った自分の表情や仕草を客観点に眺めることができます。
 表情や仕草に問題があるなら、その場で修正を図ることができますし、眼鏡や髪型、メイクがいまいちだと思えば、次から変えればいいのです。録画をして、後から見直してみるのもいいでしょう。 
 ただし、ここで注意したいのは、自分側の画面に映る自分の姿は、鏡映しになっていることがあります。実際の姿と鏡写しの姿は、一見同じようでも、かなり印象が異なります。
 ソフトによっては、簡単にミラーリングを変えられることもできますが、できない場合は、対話用、モニター用と2つの端末を用意して会議や商談に参加してみてはどうでしょう。モニター用の端末には、鏡写しではない、実際の姿が映し出されます。左右逆写しの自分の違いに新たな発見があるかもしれません。もちろん、ほかの参加者の了承を得たうえでの話ですが。

BP:最後に本誌読者にメッセージをお願いします。

唐澤氏:
残念ながら、日本には自分の見た目を客観視できるビジネスパーソンがあまりいらっしゃいません。
 自分を客観視できれば、相手との距離を程よく取れるようになるので、おのずとソーシャルディスタンス(社会的距離)が保たれ、パワハラなどの問題も減るはずです。こんな時代だからこそ、ぜひ心掛けてみてください。

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株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
学術博士(コミュニケーション学)
唐澤 理恵氏
KARASAWA RIE

◎ P r o f i l e
イメージコンサルティングの草分けとして、多くのビジネスパーソンのヘアスタイル、服装、話し方などの自己表現を指南、その変貌ぶりに定評がある。記者発表・記者会見における企業トップのメディアトレーニングの実績多数。また、多くの企業や団体で経営者・管理職、広報および営業社員を対象にした自己表現研修を実施する傍ら、早稲田大学・九州大学・お茶の水女子大学・桐朋学園など多くの大学で非常勤講師も務めた。2011年より非言語コミュニケーションの視点から、パワーハラスメント・セクシャルハラスメント防止研修、および管理職層のマネジメントおよびコミュニケーショントレーニングも手掛ける。2008年東京・港区の赤坂サカスに「働く男のための身だしなみ空間 P D S パーソナルデザインスタジオ」をオープン。新宿伊勢丹メンズ館においても同サービスを8年に渡り提供した。TV・雑誌・新聞などで話題を呼び、メディア出演多数。






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