フォグ・コンピューティングでは、近くにあるハードウェアを使って
処理を行うため、遅延を減らせる
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2020年9月時点の情報を掲載しています。
Withコロナ社会の新しい働き方において、ソフトウェアでWANを制御するSD-WANが改めて注目されている。その技術自体は新しいものではなく、WAN構築の選択肢の一つとして以前から利用されてきた。ではなぜ今、SD-WANが注目されているのか。その理由をひもといた。
新型コロナウイルスは働き方を大きく変えることにつながった。企業は緊急事態宣言が解除された後も、在宅勤務をはじめとするテレワークを継続している。
テレワークは従来、VPN経由で社内リソースにアクセスする方法が一般的だった。従業員が業務の一部としてテレワークを行う場合、必要に応じVPNを利用する方法はセキュリティとコストの両面で理にかなった選択だった。だが、全社的でフルタイムのテレワークという想定外の事態は、ネットワーク機器への負荷の大幅な増大となる。特にVPNの受け口となるルーターのボトルネック化は、多くの企業を悩ませることになった。同様に、Office 365などのクラウドサービスの普及やWeb会議の一般化は、インターネットへの出口に配置されたプロキシサーバー等のボトルネック化とてなっている。
こうした中、改めて注目されたのがネットワークエッジを従業員の自宅まで延長できるSD-WAN(Software Define-WAN)だった。そのメリットは、具体的には大きく4つに分けて考えられる。
一つ目は、既存のVPNや公衆インターネット網などの回線をそのまま利用しながら仮想のWANが構築できる点だ。特に、状況に応じて公衆インターネット網が利用できる点は輻輳の回避という点で大きな意味を持つ。
二つ目は、アプリケーションを識別し、それぞれに異なる物理回線を割り当てられる点。例えば、業務システムなど、高度な機密性が求められるアプリケーションへのアクセスはVPNを利用し、カジュアルな用途に使われる社内SNSへの書き込みには公衆インターネット回線を利用するなどの振り分けが可能だ。
三つ目は、ネットワークエッジが従業員の自宅に到達することで、プロキシサーバーなどを経由せずに直接アクセスするインターネットブレイクアウトが可能になる点だ。すでに見た通り、インターネットへのアクセス増大はファイアウォール周辺のボトルネック化に直結するが、例えば、Office 365やWindows Updateなどセキュリティが担保されたサービスは端末から直接アクセスすることでこの問題は大きく改善する。一方、一般のインターネットアクセスについてはこれまで同様プロキシサーバーやUTMを経由することで従来同様のセキュリティが維持できる。
四つ目が、SD-WANアプライアンスの多くが備えるゼロタッチプロビジョニング
(ZTP:Zero Touch Provisioning)の存在だ。これまでネットワークの構成を変更する際には、担当者がオンサイトでネットワーク機器の設定を行う必要があった。ZTPにでは、こうした面倒な設定作業をクラウド上で行うことが可能になる。新たにSD-WANを構築する際も、ユーザーがネットワークにデバイスを接続して起動するだけで、あらかじめ登録された内容に従い、自動的に設定が行われる。そのため、IT管理部門はSD-WANアプライアンスを従業員の自宅に送付し、設置を任せることができる。従来の拠点間ネットワークでは数カ月掛かるような作業もZTPであればわずか数日で完了することが可能だ。
最後にその課題について触れておきたい。SD-WAN普及の課題としてまず挙げられるのはコストだ。アメリカの場合、1台1,000ドル前後というコストが普及の足かせになっているという指摘が以前からされてきた。国内の場合もルーター入れ替えなどのネットワークインフラ再整備が競合ソリューションとなることは間違いない。一方で、ハイブリッドクラウドの普及に伴い、ファイアウォールでLANを防御するという従来のセキュリティの考え方自体が成り立たなくなると指摘する声も多い。SD-WANは、ゼロトラストネットワークなどの新たな解決策の基盤としても注目されている。
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