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中国人観光客の“爆買い”という言葉と共に日本でも知られるようになったQRコード決済がいよいよ国内でも普及フェーズに入ろうとしている。「〇〇ペイ」の名で総称される新たなキャッシュレス決済は定着するのだろうか。その課題と可能性を考える。
10月1日、消費税増税が施行された。今回の増税で複数税率制度の導入と共に注目されているのが、キャッシュレス決済を対象にしたポイント還元制度である。クレジットカード会社など決済事業者を介して国が消費者にポイントを還元するこの仕組みは、現在、増税前の駆け込み需要や増税後の買い控え対策として語られることも多い。だが本来、その狙いはキャッシュレス決済の普及にあった。
小規模店舗のキャッシュレス化が遅れる理由として、クレジットカード決済手数料の高さを指摘する声も多い。こうした中、注目されたのがスマホアプリとQRコードを使った「〇〇ペイ」と呼ばれる新たな決済手段だった。スマホ画面に表示したQRコードで決済を行うため、既存のP O Sレジスキャナーでも対応できること、そしてサービス事業者が手数料の安さを戦略的に打ち出していることがその理由である。
「〇〇ペイ」という名称は、「LINE Pay」「楽天Pay」「PayPay」など、各事業者が提供するサービス名の多くに「ペイ」が付くことから定着したもので、サプライサイドでは「QRコード決済」または「コード決済」と呼ぶことが一般的だ。なお、「ペイ」の由来は、先行ランナーである中国のAliPay、WeChat Payにあるようだ。
簡単にその仕組みを解説しておこう。〇〇ペイはスマホアプリに事前登録したクレジットカード(後払い)やプリペイドサービス(先払い)、銀行口座(即時払い)に紐づいたQ Rコードに表示し、スキャナーで読み取ることで決済を行う。クレジットカードとプリペイドサービスに対応する「LINE Pay」、クレジットカードと銀行口座に対応する「楽天Pay」のように、サービスにより利用可能な決済手段はそれぞれ異なる。
店舗が表示するQRコードをスマホで読み取る方法でも決済は可能だ。この場合、QRコードに紐づいた口座にスマホ画面上で入金手続きを行うことで決済は完了する。中国では、小吃音(シャオチー)と呼ばれる屋台の軽食も、店頭の張り紙に印刷されたQRコードを読み取ることでキャッシュレス決済できる。
日本では普及しないと見られてきた店頭掲示型コード決済は、近年、災害時のキャッシュレス決済手段として再注目されている。通信環境さえ生きていれば、停電中でも決済可能であることがその理由だ。
〇〇ペイと聞いて、提供事業者の多さを連想する人も多いはずだ。「LINE Pay」などのフィンテック系、「D払い」「au PAY」などの通信キャリア系、「ローソンスマホペイ」などの流通系、さらには金融系プレーヤーが次々に市場に参入する姿はまさに乱立という言葉が似つかわしい。その背後には、個人の消費履歴というビックデータの獲得合戦があると言われるが、ビジネスとしての〇〇ペイには課題も多い。
新たな決済手段が市民権を得るには、現金に代わる利便性や利得性が求められる。ざっくりと言うと、クレジットカードは利便性、プリペイドカードは利得性がその普及を後押しした。では〇〇ペイはどうか? スマホにアプリをインストールして登録を済ませ、買い物の都度アプリを起動する必要がある〇〇ペイの利便性は決して高くないため、普及は利得性が大きなカギを握る。今、話題になっている、5%ポイント還元に加え独自に5%の還元を行うことで消費税分を丸々割り引くPayPayのキャンペーンも、まさにこうした観点に基づいた施策と言える。
○○ペイは現在、決済手数料の安さを武器に対応店舗の拡大に努めているが、そこにも課題は存在する。クレジットカード決済時に生じる、手数料の逆ザヤである。その点では、自社グループにクレジットカード会社を持つ楽天P a y( 楽天カード)、PayPay(Yahoo!カード)が一定の優位性を持つが、こうしたコスト負担に耐え、個人の消費履歴という宝の山に到達できるプレーヤーが誰なのか、まだまだ予断を許さない。乱立する〇〇ペイだが、今後は合従連系が進むとも見られている。
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