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| 2008年11月時点の情報を掲載しています。
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 今、もっとも注目を集めている電子デバイスの1つがSSD、Solid-State Driveだ。直訳すると「半導体ドライブ」になるSSDは、デバイスとして昔から存在した。 SRAMやDRAMなど、半導体メモリをストレージデバイスとして利用するアイデアは決して新しいものではない。それが注目を集めるのは、不揮発性でバイト単価の安いNANDフラッシュメモリの集積度が向上し、安価に大容量のSSDが提供できるようになったからだ。 NANDフラッシュメモリには、1つの記憶セルで1bitのデータを保存可能なシングルレベルセル（SLC）と、複数bit （現在主流は2bit）のデータを保存可能なマルチレベルセル（MLC）の2種類がある。SLCには高速で書き換え可能回数が多いという利点を持つ一方で、MLCにはバイト単価が半分で済む（2bitの場合）というかけがえのないメリットがある。 以前はMLCのSSDというと、とにかく「遅い」というイメージが強かったが、Intelが高速なMLC SSDをリリースしたこともあり、そのイメージも払拭されつつある。複数バンクへの並列アクセス、DRAMによるキャッシュなど、コントローラーに工夫を凝らすことで、MLCSSDの性能を改善することができる。 SLCに比べて書き換え回数が少ない問題も、コントローラーが同一ブロックに対して繰り返し書き込みを行わないようにする、ウェアレベリングのアルゴリズムを改善することで回避可能だ。 従来はSSDといっても、コントローラーチップにメモリカード用に開発されたものを流用することが多く、その点でも十分な性能を引き出すことができていなかった。今後登場するSSDは、専用設計のコントローラーを搭載することでMLCの欠点をカバーし、低価格と高性能を両立させるものが増えてくるだろう。すでに容量128GBのドライブが4万円を切るまでに低価格化しており、ノートPCなどクライアント向けのSSDは、MLCが主流になっていくはずだ。 その一方で、本質的に性能と書き換え回数に優れるSLCは、今後はエンタープライズ向けに普及していくだろう。どんなにMLCの性能が改善され、書き換え回数の上限を回避する工夫がなされても、同世代のSLCが性能や書き換え回数の点でMLCを下回ることはない。絶対的な信頼性が必要とされる用途には、価格の高さを踏まえても、なおSLCベースのSSDが選ばれることになる。 ただ、いくらミッションクリティカルな分野といえども、高価なSLC SSDだけでストレージシステムを構築することはできない。最もアクセス頻度の高いデータをSSDに置き、次が高速なSAS HDDのRAIDボリューム、そしてバイト単価に優れるSATA HDDのRAIDボリュームといった、階層化されたストレージシステムに利用されることになるだろう。あるいは、ZFSのように、ファイルシステムレベルでSSDを統合し、トランスペアレントなキャッシュとして利用する、といった工夫も一般化していくものと思われる。いずれにしてもノートPCからサーバーまで、将来のストレージシステムは、性能と省電力に優れるSSDを抜きに考えることはできなくなるだろう。
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