デスクトップアプリにもSaaS(Software as a Service)が注目されている。
その“真打ち”と目されるのが『Microsoft Office 365』だ。サービス開始を機に、普及が加速すれば、パートナー様の大きなビジネスチャンスとなる。
クラウドが広まるにつれて、サーバソフトだけでなく、デスクトップアプリもSaaSとして提供されるようになってきた。利用者にとってのメリットは、ネットワークの使える場所なら自分のパソコンがなくても仕事ができること。さらに、常に最新版を利用できる利点がある。
そうしたSaaS型デスクトップアプリの“真打ち”として、2011年6月に登場したマイクロソフトの『M i c r o s o f tOffice 365』(以下、Office 365)が注目されている。名前の通り、このSaaSはMicrosoft Officeの一員という位置付け。Word(ワープロ)、Excel (表計算)、PowerPoint
(プレゼンテーション)、OneNote(メモ管理)の各機能をWebブラウザで利用でき、Exchange Online(電子メール・アドレス帳・スケジュール表)、SharePoint Online(情報共有)、Lync Online(チャット、音声通話、Web会議)の3種類のクラウドサービスを使えることもポイントだ。オンプレミス(自社運用)とのセット導入向けに、Office Professional Plusのサブスクリプションも用意されている。
Office 365は、デスクトップ版のOfficeとまったく同じというわけではない。例えば、Webブラウザでの操作感はデスクトップ版とは微妙に違うし、使い慣れた日本語入力機能が外出先でも利用できるとは限らない。このような多少の違いはあるものの、Office 365はあらゆるOfficeユーザにおすすめできる便利なクラウドサービスなのは間違いない。
最大の恩恵といえば、外出先にノートパソコンを持ち歩かなくても済むこと。自社支店や営業所への出張なら、そのオフィスにあるパソコンを借りればよいし、電子メールやスケジュール表のチェックは、タブレット端末やスマートフォンがあれば足りる。場合によっては、街中のインターネット喫茶を利用してもよい。
また、Office 365は販売店や工場などの現業部門向けのITツールとしても活躍する。Office 365のアカウントさえ人数分用意しておけば、極端な例だが、1台のパソコンを共有することもできる。利益を生み出すスペースを最大限確保したうえで、スタッフ全員がデスクトップアプリや電子メールを利用できるわけだ。
さらに、災害などを想定したBCP(事業継続計画)においても、Office 365は重要な役割を果たす。突然の被災で社内のパソコンを持ち出せなくても、Office 365なら、従業員が自宅のパソコンで業務を続けられる。業務に必要なファイルは、SharePoint Onlineで共有すればよい。
Office 365には、一般オフィスや店舗・工場、そしてSOHOに向けた契約形態がある。契約は日本マイクロソフトのWebサイトでも結べるが、多くの企業はパートナー様を通じての導入になるはずだ。Office製品の普及率を考えれば、Office 365は、クラウドを爆発的に普及させるトリガーになる可能性を秘めている。
Office 365をエンドユーザ様に提案するとき、既存サーバやActive DirectoryとOffice 365を連携させるための技術はあるのか。どのようなノウハウがあり、導入時、どのような支援ができるのか。そこが、Office 365を扱うパートナー様の腕の見せどころとなる。