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2012年7月時点の情報を掲載しています。
データベースの速度は業務アプリケーションの性能を大きく左右する。そこで登場したのが、全データをメモリに格納するインメモリデータベース。ハードディスクよりも高速に読み書きできるのでDWHやBIにも最適だ。
業務アプリケーションでは、処理の対象となるデータをデータベース管理システム(DBMS:Data Base Management System)で管理するのが普通である。多くのDBMSはデータをハードディスクに格納しているが、2005年ごろから、データをメモリに置く新しい方式が登場した。それが、インメモリデータベースである。
インメモリデータベースの最大の特長は、その処理速度の速さにある。DBMSは、クライアントや業務アプリケーションの要求に応じて、サーバのソフトウェアがデータの読み出し、書き込み、追加、削除などの処理を行っている。このうち、最も時間がかかるのはデータの読み書きであるため、その工程をいかに高速化するかが性能向上のポイントになっていた。そこで、インメモリデータベースでは、ハードディスクよりもアクセス速度が速いメモリに着目。全データをメモリに格納することによって、従来のDBMSよりも圧倒的に速い読み書き速度を実現した。
ただ、高速性を得るためにあえて“軽視”されたものもある。
まずは、コスト。以前に比べれば大幅に安くなっているとはいうものの、メモリはハードディスクよりも高価。業務アプリケーションの全データを格納するにはテラバイト(TB)クラスの容量が必要なため、イニシャルコストが大きくなることは避けられない。また、永続性にも弱みがある。電源の供給が断たれるとメモリ上のデータは消滅してしまうからだ。実際の製品ではメモリの内容を定期的にハードディスクにコピーしているが、従来型DBMSより脆弱であることは確かだ。コピー用のハードディスクを別に必要とすることも、価格をさらに押し上げる要因となる。
このような短所があるにもかかわらず、インメモリデータベースを採用する企業は増え続けている。
その大きな理由は、ビジネスとITの距離が縮まるにつれて、ビジネスインテリジェンス(BI)、データウェアハウス(DWH)、テキストマイニングなどの“重い”処理が経営サイドから要求されるようになったことにある。
売り上げや入金をデータベースに即時更新するオンライントランザクション処理(OLTP)も高速性を求められる処理だが、読み書きするデータの件数はそれほど多くない。適切な容量のキャッシュを用意しておけば、ハードディスクを使う従来型DBMSでも性能要件をクリアするのはたやすい。それに対して、数万〜数千万件の大量データから短時間に統計値や傾向を求めるのがBIやDWHやテキストマイニング。読み出し主体の処理ではあるが、件数が膨大になるので、DBMSには連続して負荷がかかることになる。このような負荷にキャッシュで対処するのは難しいので、イニシャルコストが多少高くても、インメモリデータベースが必要とされるのだ。
現在の主流となっているインメモリデータベース製品は、リレーショナルDBMS(RDBMS)の業界標準規格であるSQLに対応したもの。既存の業務アプリケーションを改造しなくてもDBMSだけを取り換えられるという利点があるためだ。Oracle DatabaseやSQL Serverなどの有力RDBMSもインメモリデータベースに相当する機能を内蔵するようになったので、これらのRDBMS製品ユーザには最新版へのアップグレードもお勧めできる。
また、SAPは、ソフトウェアパッケージの基盤となるデータベースをインメモリデータベースに替えていくと表明している。他のベンダーが同調するかどうかは明らかではないが、パートナー様がDBMSを提案する際に選択肢の一つとして気にとめておきたい。
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