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2012年3月時点の情報を掲載しています。

機器同士が直接に双方向通信するマシン・ツー・マシン（M2M）は、スマートシティのビッグデータを効率よく収集するための基礎技術となる。データの収集・蓄積・分析をクラウドとして提供するM2Mクラウドの人気も高い。

　マシン・ツー・マシン（M2M）とは、機器同士がネットワークを通じて直接に双方向で通信する形態のこと。使われるネットワークがインターネットの場合は、特に「Internet of Things（IoT）」と呼ばれることもある。
　機器が収集したデータを外部に自動転送する通信形態は以前から存在していた。例えば、飲料の自動販売機に携帯電話やPHS端末の通信モジュールを組み込んでおき、品目別の売り上げ数量を定期的に送信させて、管理システムが品目別の最適な補充数量を決めるような利用形態である。
　そうした従来型のデータ自動収集の仕組みと違って、M2Mには「ビッグデータを効率よく収集するための通信形態」という役割が期待されている。ビッグデータとは、「従来のITの方法では収集・蓄積・分析できないほど膨大で、しかも爆発的な増加を続けているデータ」のこと。その“データの山”からビジネスに役立つ“宝”を見つけ出すには、収集の段階においても従来のITとは異なった方法が求められているのである。
　M2Mがその真価を発揮する典型的な用途としては、スマートシティにおけるスマートメータリングがある。具体的には、M2M機能を内蔵した電力・水道・ガスなどのメーター装置で電力などの使用量を家庭やオフィスから自動収集し、その集計値を基に変電所などのレベルで供給能力を調節するといった使い方だ。家庭内の電源回路を外部からオン／オフすることもできるから、「アイロンを消し忘れて外出してしまった」「帰宅時に風呂が温まっているようにしたい」といったニーズにも応えることができる。
　FeliCaなどの非接触型I Cカードも、広い意味ではM2M機器に属する。ICカード側の主導で通信を始めることはないものの、自動改札機やPOS端末のリーダー／ライターからの問い合わせ電波に応えてICカード内の情報を自動送信する仕組みになっているからだ。ICカードには固有の番号が振られているほか、持ち主についての属性情報なども記録されている。それらの情報をリアルタイムでサーバに取り込めば、精度の高いビジネスインテリジェンス（BI）を低コストで実現可能。大手コンビニエンスチェーンでは、従来は店員がPOS端末から手入力していた利用客の性別や年代などの属性データをICカードから自動収集しようとする動きも盛んだ。
　通信基盤の設定や管理に人の介入を期待できないことから、M2Mではセンサーネットと呼ばれる無線ネットワークがおもに使われる。センサーネットの最大の特長は、端末（ノード）をいつでも自由にネットワークに追加・削除できるアドホック型になっていること。消費電力もきわめて小さく、メーター装置では水やガスの流れによるマイクロ発電、非接触型ICカードでは問い合わせ電波の生み出す電力だけでも動作可能だ。センサーネットの物理レイヤーとしては、ZigBeeやUltra Wideband（UWB）が使われることが多い。
　さらに、スマートメータリングやM2Mサービスをクラウド形態で提供するサービスプロバイダもここ数年で増えてきた。M2Mのデータは件数が膨大になり、限られた時期に集中発生することもあるので、公益企業といえども自前の設備だけですべてをカバーするのは難しいのである。大型のM2Mクラウドサービスを選べば、スマートメーターの設置からセンサーネット経由の収集・蓄積・分析までをワンストップ型のトータルサービスとして利用することも可能。新規ビジネスを短期間に低コストで始めたいと考えている企業には、最適な選択となることだろう。

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