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2012年11月時点の情報を掲載しています。
Windows PCでは、長らく「BIOS」(Basic Input/Output System)と呼ばれるファームウェアが使われてきた。BIOSの主な役割は2つある。一つは、起動時にハードウェアのチェックと初期化を行い、OSの起動プログラムを呼び出す役割だ。もう一つは、OS起動後、HDDやディスプレイ、キーボードなどの基本的なハードウェアの制御を行う役割だ。このようにBIOSは、PCにとって非常に重要なプログラムだが、1984年に登場したPC/ATから受け継いだ遺産でもあるため、さまざまな制約がある。特に厳しいのがメモリ容量で、Intel 8086互換のリアルモードで動作するため、1MB以下のメモリしか利用できず、高機能化するハードウェアへの対応が困難になってきた。
そこでBIOSに代わる新しいファームウェアとして開発されたのが「UEFI」(Unified Extensible Firmware Interface)である。UEFIの前身となったのは、インテルがHPと共同で開発したEFIである。EFIは2000年に発表され、IA-64 CPU「Itanium」搭載サーバに採用されたが、普及には至らなかった。そこで、インテルは2005年にEFIの標準化と普及を推進する業界団体「United EFI Forum」を結成し、同時に名称もEFIからUEFIに変更した。UEFIは前身のEFIから数えると、10年以上の歴史を持つが、本格的に普及が始まったのは2011年夏あたりからである。2011年春にインテルから登場したチップセット「Intel 6シリーズ」の特徴の一つが、UEFIへの対応であり、各マザーボードベンダーからUEFI採用製品が次々とリリースされた。さらに、OS側のUEFI対応が整ってきたことも、UEFI導入を後押しした。UEFIからブートするにはOS側の対応が必要だが、マイクロソフトのOSでは、Windows Server 2008の64bit版で初めてUEFIに対応し、クライアント向けOSでは、Windows Vista SP1 64bit版で初めてUEFIに対応した。さらに、最新のWindows 8 64bit版ではUEFIブートへの最適化が進み、UEFI環境では非常に高速に起動できるようになった。なお、Windowsでは、64bit版のみがUEFIをサポートしており、32bit版はUEFI非対応であることに注意したい。
UEFIのメリットはいくつかあるが、その中でもわかりやすいのが、2TBを超える大容量HDDを起動ドライブとして使えることだ。BIOSベースのシステムでは、HDDをMBR(Master Boot Record)と呼ばれる32bitの管理方式で管理しているため、最大2.2TBまでしか1つのパーティションとして扱えない。しかし、UEFIベースのシステムでは、GPT(GUID Partition Table)と呼ばれる64bitの管理方式を採用しているため、最大9.4ZB(ゼタバイト)※という広大な領域を管理できる。また、UEFIでは、メモリ容量の制約がなくなるため、設定画面を従来のテキストベースではなく、グラフィカルでわかりやすいインターフェースにすることが可能だ。マウス操作に対応した製品もあり、初心者にも親切になっている。さらに、セキュアブートと呼ばれるOS起動時のセキュリティを向上させる機能に対応していることもUEFIのメリットだ。
このようにUEFIのメリットは多いが、当初のUEFI環境は、ファームウェアやドライバの完成度が低く、起動が遅くなったり、ハングアップするといった不具合が起こることもあった。基本的には従来のアプリケーションは問題なく動作するはずだが、ドライバ周りにバグが残っている可能性もある。また、ディスクユーティリティなどは、MBRにしか対応していない製品もあるため、注意が必要だ。UEFI環境への移行を考えているのなら、十分に検証を行ってから移行することをお勧めしたい。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
UEFI採用マザーボードの設定画面の例。アイコンやグラフが多用されており、グラフィカルでわかりやすい。
※1ZBは1,024の三乗=1,073,741,824TB
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