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2012年9月時点の情報を掲載しています。
2012年3月1日、総務省はソフトバンクモバイルに対し、900MHz帯の免許を正式に交付した。900MHz帯は、いわゆるプラチナバンドと呼ばれている帯域であり、電波が遠くまで届きやすく、ある程度の障害物なら回り込んで伝わるといった性質を持つため、携帯電話などの通信用途に適している。特に価値が高い帯域という意味で、”プラチナバンド”と呼ばれている。プラチナバンドは700MHz〜900MHz帯を指しており、そのうち800MHz帯は、以前からNTTドコモとKDDI(au)が利用している。ソフトバンクはプラチナバンドの免許を持っておらず、主に2GHz(2.1GHz)帯を利用して携帯電話事業を行っていた。2GHz帯は、波長が短いため、障害物の陰に回り込みにくく、建物内や山間部には電波が届きにくい。
ソフトバンクの携帯電話は、サービスエリア内でも電波が弱く、接続に対する不満が多かった。ソフトバンクの孫正義社長は、「プラチナバンドを持たず、不平等な戦いを強いられたためだ」と語っており、同社のプラチナバンド獲得はまさに悲願でもあった。孫社長は3月1日の会見において、「プラチナバンドを獲得したことで、言い訳できない状況になった。これからは平等な戦いになる。繋がらないソフトバンクは、一気に改善される」と語った。もっとも免許を得ただけなので、今後、900MHz帯対応基地局を新たに設置し、900MHz帯のサービスエリアを構築していく必要がある。端末側でも対応が必要だ。ソフトバンクの対応端末としては、「iPhone 4」「iPhone 4S」「iPad 2」「新しいiPad」「PANTONE 4 105SH」などが挙げられるほか、2012年夏モデルの全機種が900MHz帯に対応する。
ソフトバンクの900MHz帯サービスは、2012年7月25日に開始されたが、7月31日に行われた四半期決算の発表会見において、孫社長は、「ある日突然、全国で繋がるわけではない。現在は、微調整しながらテストフェーズとして進めており、これから一気に増やす」と語った。これまでは、「一気に改善される」という強気な発言を行っていたが、こちらの発言のほうがより現実に即しているだろう。現時点では、iPhone 4/4Sなどのユーザも、900MHz帯サービスの恩恵を感じることはほとんどない。ソフトバンクは、900MHz帯対応基地局を、2012年度末までに1万6,000カ所、2013年度末までに2万6,000カ所に設置するとしている。かなりのスピードではあるが、利用者が繋がりやすさの改善を実感できるまでには、まだしばらくかかる。iPhone効果もあり、8月11日には契約者数3,000万人を突破するなど、快進撃を続けているソフトバンクだが、利用者数の急増にインフラが追いついていないという批判もある。プラチナバンドの獲得によって言い訳ができなくなった、ソフトバンクにとって、これからの1年はまさに正念場となるだろう。
なお、テレビの地デジ化に伴う電波再編によって、新たに携帯電話事業者に割り当てられることになったもう一つのプラチナバンドが、700MHz帯だ。こちらは、2012年6月28日に、NTTドコモ、KDDI、イー・アクセス(イー・モバイル)の3社に免許が交付された。700MHz帯は、LTEと呼ばれる3.9世代移動通信システム向け帯域であり、上記の3社は2015年に700MHz帯サービスを開始する予定だ。2015年には、各携帯電話事業者が700MHz帯対応基地局の設置を急ぐことになり、関連市場に大きな需要が誕生する。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
プラチナバンドと呼ばれる900MHz帯は、2.1GHz帯に比べて、遠くまで電波が届きやすく、障害物も回り込みやすいという利点がある
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