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2013年9月時点の情報を掲載しています。
2013年7月31日、USB規格策定団体である「USB-IF」(USB Implementers Forum)の「USB 3.0 Promoter Group」は、次世代USB規格「USB 3.1」の策定が完了したことを発表した。USB 3.0の正式規格が発表されたのは、2008年11月17日であり、約5年ぶりにUSB規格が進化したことになる。USB 3.0では、SuperSpeedと呼ばれる転送速度5Gbpsでの転送モードが追加され、給電能力も900mAに向上した。それまでのUSB 2.0の最大転送速度は480Mbpsであり、給電能力は500mAだったので、転送速度は一気に10倍以上、給電能力は1.8倍に向上したことになる。今回発表されたUSB 3.1では、SuperSpeedPlusと呼ばれる転送モードが追加され、転送速度はUSB 3.0の2倍の10Gbpsとなる(厳密には、USB 3.0では8b/10bエンコードが採用されているので、実効データ転送速度は4Gbpsになり、USB 3.1では128b/132bエンコードが採用されているため、実効データ転送速度は約9.7Gbpsとなるので、2.4倍以上となる)。また、USB 3.1では、USB Power Delivery Specificationと呼ばれるUSBポート経由で大電力を供給できるようにする仕組みのサポートも規定されている。USB Power Delivery Specificationでは、いくつかのプロファイルが規定されており、ホストとデバイスが互いに通信しながら、段階的に電圧と電流を引き上げる仕組みが採用されている。USB 3.0では最大4.5Wの電力供給が可能だが、USB Power Deliver Specificationでは、最大100Wもの大電力の供給が可能だ。もちろん、これはすべてのUSB3.1対応機器が100Wの電力供給に対応するという意味ではないが、大電力供給を活かした新たな周辺機器の登場や、スマートフォンやタブレットなどの超急速充電の実現などが期待できる。
USB 2.0からUSB 3.0への進化では、信号線が追加され、コネクタ形状も変更されたが、USB 3.1では、コネクタ形状などは変更されておらず、既存のUSB環境との互換性も維持されている。ただし、USB 3.1で追加されたSuperSpeedPlusを利用するには、USB 3.1対応ホストとUSB3.1対応デバイスが必要になる。また、USB 3.1対応ホストとUSB 3.1対応デバイスの間にUSBハブを入れる場合は、ハブもUSB 3.1対応でなければならない。
USB 2.0からUSB 3.0への進化の際は、速度が一桁上がったことで、USB接続の外付けHDDやUSBメモリの転送速度が大きく向上した。USB 3.1の登場によって、最も期待されるのは、SSDを利用したポータブルストレージの性能向上だ。SSDの性能は年々向上しており、すでにSATA 3.0の転送速度である600MB/sに達するようになっている。USB 3.0の実効データ転送速度は500MB/s(4Gbps)であり、最新SSDを接続するインターフェースとしては力不足になっているのだ。USB 3.1なら実効データ転送速度は1.2GB/sを超えるため、最新SSDの性能をフルに発揮できる。また、デジタルカメラやビデオカメラなども、USB 3.1に対応すれば、撮影した写真や動画などのファイルをより高速に転送できるようになり、利便性が向上するだろう。
USB 3.1の普及によって、PCおよび対応周辺機器の買い換え需要が高まることは十分に考えられるが、USB3.1対応製品が登場するのは早くても2014年後半となる。当初は、USB 3.1コントローラチップを別途搭載して、USB3.1に対応することになる。2015年後半には、チップセットがUSB 3.1を標準サポートする可能性が高く、本格的な普及はその頃からになるだろう。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
アイ・オー・データ機器のUSB 3.0対応ポータブルSSD「HDPX-UTSSシリーズ」。USB 3.1が普及すれば、ポータブルSSDのデータ転送速度がさらに向上する
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