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2015年1月時点の情報を掲載しています。
2014 年9月5日、インテルは開発コードネーム「Broadwell-Y」と呼ばれていた新CPU「Core M」を発表した。今回発表されたのは、「Core M-5Y70」「Core M-5Y10a」「Core M-5Y10」の3モデルで、いずれもデュアルコアCPUだが、1つのコアで2つのスレッドを同時実行できるHyper-Threadingテクノロジーの搭載により、同時に4つのスレッドを実行できる。Core Mは、最先端の14nmプロセスルールで製造された世界初の製品であり、第4世代Coreプロセッサの中で、最もTDPが低いYプロセッサ(開発コードネームHaswell-Y)の後継となる。Haswell世代では、TDPの低いUプロセッサやYプロセッサも、フルサイズノート用やデスクトップPC用と同じCore iブランドが付けられていたのだが、Broadwell世代からは最もTDPが低いYプロセッサのみ、Core Mという新たなブランドが与えられることになったのだ(Yプロセッサ以外のデスクトップPC向けやパフォーマンスノートPC向けのBroadwell-H/K/Uは第5世代Coreプロセッサとして2015年に出荷予定)。
Core Mは、主にWindowsタブレットや2 in 1 PC向けとして開発されたCPU(正確にはGPUやチップセットの機能も統合したSoC)であり、TDPが4.5Wと低いことが最大の魅力である。TDPが低いため、従来のHaswell-Yでは困難だった、厚さ9mm未満のファンレスタブレットを実現できる。これまで、インテルが新たなプロセスルールに移行する際には、マイクロアーキテクチャを変更せず、そのままシュリンクすることが通例であったが、Broadwell-Yでは、TLBの増加や浮動小数点演算速度が高速化されるなど、マイクロアーキテクチャもHaswell-Yに比べて改良されており、クロック当たりの命令実行数は5%ほど向上している。さらに、GPUのシェーダプロセッサであるEUの数が20基から24基に増えたことで、GPUの演算性能は20%向上している。プロセスルールが従来の22nmから14nmに縮小されたことで、トランジスタ数はHaswell-Yの1.4倍の13億個に増えているにも関わらず、ダイサイズは131平方mmから82平方mmへと40%縮小している。Haswell-YのTDPは11.5Wであり、TDPは実に60%も削減されているのだ。パッケージサイズも約半分になっており、基板の小型化に貢献する。動作クロックは、Haswell-Yに比べて多少下がってはいるが、性能はほぼ同じレベルである(つまり、消費電力あたりの性能は大きく向上している)。要するに、Core Mを採用すれば、従来製品に比べて、より薄く、より軽く、よりバッテリーが長持ちするWindowsタブレットや2 in 1 PCを作ることができるのだ。
Core Mの発表を受けて、大手PCメーカー各社がCore M搭載のWindowsタブレットや2 in 1PCを発表している。例えば、パナソニックから登場した「Let's note RZ4」は、Core Mを搭載したコンバーチブル型の2 in 1 PCである。重量は約745gと軽いが、バッテリー駆動時間はJEITA 1.0準拠で約14時間、JEITA 2.0準拠で約10時間と長い。また、デルの「Venue 11 Pro 7000」は、Core Mを搭載したWindowsタブレットであり、約8時間のバッテリー駆動とファンレス動作を実現している。このように、Core Mを搭載したWindowsタブレットや2 in 1 PCは、スリムで軽く、高性能、しかもバッテリーが長持ちするという、ビジネスユーザーにとって、非常に魅力的な製品である。2014年末から2015年初頭にかけて、Core M搭載機が次々と市場に投入されることになるが、買い換え需要を含む、大きな商機となることが期待できる。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
左が前世代のUltrabook向け「Core i」(Haswell-U/Y)。右が14nmプロセスルールで製造される「Core M」(Broadwel-Y)。パッケージサイズは約半分になっている
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