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2014年9月時点の情報を掲載しています。
UI(ユーザーインターフェース)は、人とPCや機械との仲介を果たす重要な技術である。UIは、より人に優しく、直感的に操作ができる環境を目指して、進化を続けてきた。PCが仕事に役立つ道具として活用され始めた頃は、ユーザーがキーボードからコマンドを入力し、その結果がディスプレイ上に文字(キャラクタ)として表示される、CUI(キャラクタユーザーインターフェース)が主流であった。CUI環境の代表がMS-DOSであり、当時、PCを使うにはMS-DOSのコマンドを覚えることが必須であった。1980年代後半に入ると、キーボードに加えてマウスを用いて、ディスプレイ上に表示されるグラフィカルなアイコンやオブジェクトを操作するGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)が登場した。GUI環境の代表が、WindowsやMac OSなどのウィンドウベースのOSだ。GUIでは、現実世界の物体を模したアイコン(例えばフォルダやゴミ箱など)が使われており、文字ベースのCUIに比べてより直感的な操作が可能だ。スマートフォンやタブレットで使われているAndroid OSやiOSも、GUI環境で操作するOSだ。
このように、UIは抽象的なものから、より直感的かつ身体的なものへと進化してきた。そしてその先に来ると言われているのが、NUI(ナチュラルユーザーインターフェース)だ。NUIとは、人間にとってより自然で直感的な動作で操作するインターフェースであり、具体的には身振りや手振り、表情、音声認識などを利用する。音声認識によるNUIは、i Phoneの「Siri」など一部で実用化が始まっているが、今回注目したいのは、インテルが開発中の「RealSense」である。インテルは、以前からジェスチャーや視線認識、音声認識など、人間の五感に近い、より自然な形でPCを操作するNUIの開発に取り組んでおり、そうした技術をパーセプチャル・コンピューティングと呼んできたが、実用化が近づいたことで、RealSenseというブランドを新たに作り、PCメーカーにも強く訴求するようになったのだ。
RealSenseの中核となるのが、複数のカメラを組み合わせ、奥行き方向の検出を可能にする3Dカメラ技術であり、その3D情報から、指や手、顔などの位置の認識を行う。マイクロソフトのコンシューマーゲーム機「Xbox 360」では、オプションの「Kinect」により、身振りや手振りなどによる操作やゲームプレイが可能であったが、RealSenseは、Kinectよりも高精度な認識が可能である。インテルは、PCやタブレットに内蔵するためのRealSenseカメラモジュールを開発中で、PCメーカー向けに提供する予定だ。RealSenseは、すでにASUS、Acer、NEC、デル、HP、富士通、レノボといった大手PCメーカーからの賛同を得ており、早ければ2014年後半にもRealSense対応PCが登場する。RealSense対応PCでは、手や指のトラッキングはもちろん、78点の顔の部位を認識し、顔の表情からユーザーの感情を読み取ることや、皮下血管の動きから脈拍を測定することもできる。また、音声認識機能も強化され、コマンド操作だけでなく音声からの書き起こし(ディクテーション)なども可能だ。RealSense対応PCなら、マーカーを使わずに、現実のものにCG映像を追加する複合現実も容易に実現できる。
もちろん、RealSense対応PCがあっても、RealSense対応アプリがなければ意味がないが、現在40社以上が対応アプリを開発中であり、インテルはRealSense対応アプリの開発コンテストを開催するなどして、対応アプリの拡充に力を入れている。これまでのPCは、操作にキーボードやマウス、タッチパネルなどが必要であったが、RealSenseは、そうしたPC操作の常識を一変させる可能性を持つ技術である。RealSenseの登場は、PCの可能性を大きく広げ、ハードウェアおよびソフトウェアへの新たな需要を生み出すことになるだろう。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
RealSenseカメラモジュール「F200」。RGBカメラ、赤外線カメラ、2Dカメラ、赤外線プロジェクタが集積されている
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