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第2特集 IaaS/PaaSがパートナー様のビジネスを拡大する クラウドビジネスの本命に注力
2014年11月時点の情報を掲載しています。

数年前から「クラウド」という言葉が聞こえるようになったものの、このサービスがパートナー様のビジネスにどのようにつながるのかは明確ではなかった。ところがWindows Server 2003の終了にともなうリプレース提案を行う際、クラウドサービスを考慮せずにはいられない。そこでクラウドサービスの本命ともいえる「Microsoft Azure」を紹介しつつ、クラウドビジネスの拡大方法を探ってみたい。


クラウドはもう当たり前のIT基盤ソフトの提供方式も変わってきた
 業務システムを新規構築または更改する際は、クラウド化の可否を検討すること。
 最近、システム開発標準にこのような規定を盛り込む企業が増えている。業務システムを稼働させるためのシステム基盤を選定するときは、ハードウェアのサーバーだけから選ぶのではなく、クラウドも候補に加えなければならないというのだ。
 大まかに言えば、クラウドとは、サーバー、ストレージ、ネットワーク接続、OS、ミドルウェア、アプリケーションなどのIT資源をネットワーク経由で利用できる仕組みのこと。必要な時に必要な量をサービスとして使えるので、繁忙期と閑散期でIT資源所要量が大きく変動するような業務システムには特に適する。経営の観点からは、従来は資産として扱う必要があったサーバーやソフトウェアをオフバランス化(簿外化)でき、やり方次第でIT費用を削減できることが大きな魅力となる。
 これまでは“モノ”としてのソフトウェアをメディアやダウンロードサイトで供給していた大手ソフトウェアベンダーも、クラウドでの提供に力を入れ始めた。OSや各種サーバーソフトウェアを提供するMicrosoftは「クラウドファースト」(新機能はクラウド版から先に実装するという意味)の方針を標榜しているし、アプリケーションとミドルウェアに強いOracleも「『クラウドと言えばOracle』と呼ばれる存在になる」と宣言。パッケージソフトウェアベンダーの多くも、自社製品をなんらかのかたちでクラウド上で動作できるようにしている。


導入容易なSaaSと自由重視のIaaSPaaSなら自由度も管理性も狙える
 クラウドにもさまざまな方式がある。顧客にクラウドベースの業務システムやソリューションを提案する際は、その企業が何を必要としているかに応じて適切な方式を選ぶことが重要だ。
 もっとも簡便に導入できるのは、アプリケーションそのものをサービスとして提供するSaaS(Software as a Service)である。企業側で用意しておく必要があるのはエンドユーザーと管理者のためのWindows PCだけで、ハードウェア、OS、DBサーバーなどのミドルウェア、アプリケーションについてはクラウド事業者が用意したものを使う仕組み。クラウドコンピューティングの理念にもっとも近い方式と言えよう。
 ただ、Sa aSではアプリケーションをカスタマイズできないのが普通。設定変更でできる対応にも限界があるので、「ウチの仕事のしかたにぴったり合ったアプリケーションがほしい」という企業に提案するのは避けるべきだろう。また、ミドルウェア以下のレイヤーに直接にアクセスすることもできないので、企業側のデータセンターやサーバールームで稼働している既存業務システムとSaaSをじかに連携させるのも難しい。
 一方、最大限の自由を必要とする案件に向くのは、IaaS(Infrastructure as a Service)と呼ばれる方式である。IaaSで提供されるのは、仮想マシン、仮想ディスク、仮想ネットワークだけ。その上で稼働させるOS、ミドルウェア、アプリケーションは利用者側で自由に選ぶことができ、カスタマイズや設定変更もオンプ
レミス(社内設置)とほぼ同様に行える。
 その反面で、IaaSベースの業務システムはオンプレミスと同等のシステム運用管理を必要とする。可用性を高めるためのクラスタリングやバックアップもすべて利用者側で設定・運用しなければならないし、OSやミドルウェアのバージョンアップやセキュリティパッチ適用も自動的には行われないからだ。システム運用管理の専任者を社内で用意できないような場合は、この方式を提案しないほうが賢明だろう。
 このような得失があることを考慮すると、業務システムをクラウド化するにはPaaS(Platform as a Service)を選ぶのがもっとも安全・確実だという結論になる。PaaSの場合、OSとミドルウェアにはクラウド事業者が用意したものを使うのでシステム運用管理の手間を考えなくて済むからだ。アプリケーションは利用者側で用意しなければならないが、それゆえに、カスタマイズも設定変更もオンプレミスとほぼ同様に行えるという利点も得られる。
 PaaSはほとんどのクラウド事業者から提供されているが、Windowsベースの業務システムを使用中の企業にはMicrosoft Azureを提案するのがベストだ。


業務アプリを社内開発する場合はクラウド対応の開発環境も必要に
 なお、PaaSまたはIaaSベースの業務システムで市販のソフトウェアを業務アプリケーションとして使う場合は、提案書を提出する前に、本当に使えるかどうかをよくチェックしておく必要がある。
 まずは、そのソフトウェアをクラウドで動作させることが許されているかどうかの確認。販売元に問い合わせるのが一番だが、エンドユーザー使用許諾契約書(EULA: End User License Agreement)を入手できるのならそれを参考にしてもよいだろう。当然のことながら、販売元が認めない使い方をして問題が発生した場合、サポートは受けられない。
 また、クラウドでの使用が認められている場合でも、概念検証(PoC: Proof of Concept)のフェーズで入念に互換性検証をしておくことが望まれる。クラウドの技術仕様はきわめてひんぱんに変わるので、予想通りの動きをするとは限らないからだ。
 一方、業務アプリケーションをスクラッチ開発する案件の場合は、そのPaaS/IaaSでどのようなソフトウェア開発環境が使えるかを確認しておく必要がある。具体的には、どのようなプログラミング言語が使えるか、社内のPCで開発したソフトウェアをクラウドに展開できるか、クラウド版のソフトウェア開発環境は用意されているか、クラウドとオンプレミスのどちらでも動作するソフトウェアを開発できるか、といった項目についてのチェックだ。
 この点でも、Microsoft Azureの対応は優れている。同社のソフトウェア開発環境「Visual Studio」にはオンプレミス版もクラウド版(Visual Studio Online)もあるので、以前から社内でソフトウェア開発をしてきた企業の場合はオンプレミス版、これから始める場合や一時的にプログラマーを増員する場合はクラウド版というように使い分けができるのだ。また、オンプレミス版で開発したソフトウェアをクラウドに展開して動作させることも、その逆にクラウド版で作ったものをオンプレミス側に持ってきて使うことも可能。繁忙期と閑散期でクラウドとオンプレミスを切り替えるのもたやすい。
 冒頭でもふれたように、今、大手ソフトウェアベンダーはソフトウェアの販売方法をメディア主体からクラウド主体へと切り替えつつある。それによって“中抜き”が急速に進行する可能性は低いものの、従来通りのメディア販売にこだわっていたのでは“ジリ貧”になるのは確実。大塚商会のビジネスパートナーとしてこれからもビジネスを成長させていくには、PaaSベースの業務システムやソリューションを企業に提案できる“高み”へと一日も早く到達する必要があるだろう。


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■オンプレミスからSaaSの違い
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■仮想化とクラウドへの進化
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■Microsoft Azure コンピューティングサービス
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