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2007年5月時点の情報を掲載しています。
NGNの定義は、国によって異なるが、コストを抑えるのに有効なIP技術を基礎にするネットワークで、従来から取り入れられている銅線利用方式に比べ高速通信が可能で、有線か無線かを問わず色々なネットワークインフラが使用可能なものとされる。たとえば日本では、インフラに光ファイバーを使用するため積極的に投資が行われており、世界で一番光ネットワーク敷設が進んでいる。また、IPといっても、IPv6等と規格に違いがあるので、相互性を保つために基準化が必要。そこで今や米国電気電子学会(IEEE)の高速ネット通信用基準である広域LANをベースにするイーサネット*が重要となる。
このイーサネットをより通信事業者向けに詳細基準作成のサポートをしている団体が、メトロ・イーサネットフォーラム(MEF)である。国際的に通信の安定性や安全性を重視している国際通信連合(ITU)が、2006年12月香港で世界的イベントを開いたが、MEFも国際会合を香港で同時期に開き、積極的にイーサネットの取り入れを促した。加えて、国際会合でMEFは、大手キャリアの英ボーダフォンやNTT、米ベライゾンが固定・移動体電話の融合を協議するため参加している「マルチサービスフォーラム」なる団体とも協力体制を構築したことをアピールした。
この流れから、アジア太平洋通信共同体(APT)も最近の会合で、NGNをバンコク地区内で計画するにあたって、ルール作りをITUの御墨付をもらって着手した。これを受けて活気づいたのが、この地域を拠点とするイーサネット関連企業である。この分野において圧倒的な存在感を持つのは、カリフォルニア州に本拠地があるシスコシステムズ社とジュニパーネットワークス社である。ジュニパー社はまだ日本でさほど知られていないが、今回、NTTのNGN実験で協同しているのが、シスコシステムズ社の日本法人である。同社は、グループの世界的なロゴの一新を期に、新たに東京ミッドタウンに事務所を移転した。NTT以外にも、日本でネットワークインフラを構築している各社に協力している。
しかし、オープンなIPのしくみで、公衆通信網が実用的に運用できるかは、懸念もある。たとえば、地震列島の日本では気がかりな緊急時の通報を円滑に進められるかという問題や、欧米においてNGN以前の段階から一般的にIP電話使用者を悩ませている「IP電話を介した大量テレマーケティング」などである。特に後者は、Eメール上のスパム同様IP回線経由でひっきりなしに電話がかかってくることから、スパム電話ともよばれている。
米国では、公衆回線網でのスパム電話が、連邦レベルの「DO NOT CALL LIST」法で制限されているが、インターネット・IP回線での規制は皆無である。このような状況から、米国のスリーコム社は、米国防省のネットワークセキュリティを手がけるティッピングポイント事業部を窓口に、日本や中国で独自の高速通信の安全対策を売り込んでいる。また、同じく米国企業のヒューレット・パッカード社も、最近までシンガポールを拠点にしていたプロカーブ事業部を、日本での足掛かりにするため、ネットワークの安全対策をポイントに置いている。
IP技術は、「オープン」なネットワークで利用するのが一番効果的といわれるが、先進国のアメリカ等でも安全性に課題が多い。しかしながら、NGNの将来展望はまだ不透明としても、普及の流れは少しづつ加速しているといえよう。
*イーサネット(Ethernet):Xeroxと旧Digital Equipment Corp(. DEC)が提案したLAN基準
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