昨年リリースされたOffice 2019は、さまざまな新機能が追加された最新のオフィスソフトという印象がある。Office 2010のサポート終了にともない、移行先として検討中のエンドユーザー様も多いのではないか。ところが、実はOffice 2019より新しい製品が存在するとしたら、パートナー様としてはそちらをおすすめすべきではないだろうか。そこでOffice 2019とOffice 365を比較し、その違いを紹介したい。 |
Microsoft Officeの最新の永続ライセンス版であるOffice 2019が、昨年秋リリースされた。セールスは法人向けボリュームライセンスからスタートし、今年1月からはコンシューマ製品の販売も開始。その話題を耳にする機会も増えている。
新バージョンでは、Word、Excel、Power Pointに対応した自動翻訳機能などが新たに搭載され、その機能は確実に進化している。ちなみに、マイクロソフトが開発し、クラウドで提供する翻訳エンジン、Microsoft Translatorによる自動翻訳機能は、ドキュメントのレイアウトに対応した形で、かなりの高精度でテキストを翻訳することが可能。外国語のビジネス文書、技術資料などに触れる機会が多いエンドユーザー様にとり、有意なツールになるはずだ。
ところで、この自動翻訳機能や、ドキュメントに図形や文字を手書きで自由に書き込むことを可能にするINK機能など、今回Office 2019に搭載された新機能の多くは、すでにOffice 365で提供されている。そこで浮上するのが、Office 2019とOffice 365には機能上の違いがあるのか、という素朴な疑問だ。Officeライセンスの移行やその追加を検討しているエンドユーザー様の多くも、同じような疑問を持っているに違いない。まず、その答えを明らかにしておこう。この2つには明確な違いがある。
しばらく前まで、Office 365は提供するOfficeソフトを起動すると、「Excel 2013」「Word 2016」などの西暦ナンバリングによるバージョン表示がポップアップされた。しかし現在この表示は、「Excel Office 365」「Word Office 365」というナンバリングを含まない形に改められている。その背後には、「常に最新版Officeを提供する」というOffice365の基本的なコンセプトがある。
Office 365は原則として毎月、機能やセキュリティの更新プログラム提供が行われている。それらはリリース年月に基づく「1808」「1901」というバージョン番号と、その下位区分であるビルド番号によって管理されている。そのため、Office 2019と2019年3月時点のOffice 365は、最初から別のバージョンになっているのだ。
Office 2019を選んだ場合、機能やセキュリティプログラムの更新はない。また、ネット環境が必要な機能などについてもOffice 2019には、搭載が見送られている。永続ライセンスとしてのOffice 2019とサブスクリプションとしてのOffice 365の最大の違いもここにある。
ただしWindows 10同様、頻繁な機能更新は特にE x c e lマクロを多用するエンドユーザー様にとり不安材料になる。そのためOffice 365の場合、最新機能を検証した上で、年2回、1月と7月に新機能を提供する半期チャネルという更新モデルが採用されている。
では、新たにOfficeソフトを導入する場合、どちらを選ぶべきなのだろうか。まず双方のコストを比較してみよう。Office 365プランは多様だ。今回は、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNote、Access、Publisherの各アプリケーション及びOne Driveオンラインストレージ(1TB )が月額9 0 0 円で利用できるOffice 365 Businessを例に考えてみよう。中小企業を想定した法人向けプランである同プランを、Office 2019のメインストリームサポート期間である5年間利用した場合、総額は54,000円になる。
一方、同等の機能を備えるOffice Professional 2019の実勢価格は60,000円前後。双方を比べると、イニシャルコストを必要とせず、毎月の経費として利用コストを処理できるOffice 365の方が割安になる。
だが、AccessやPublisherまで求めるエンドユーザー様ばかりではない。そこで次にWord、Excel、PowerPoint、Outlookが使えるOffice 2019 Home & Business 2019と比較してみよう。その実勢価格は38,000円弱で、単純にコストを比較した場合、今度はOffice 2019の方が割安になる。
次に注目したいのが、双方の利用条件の違いだ。Office 2019では、従来の永続ライセンス同様、2台までのインストールが認められる。それに対し、Office 365のインストール台数はWindows PCまたはMac5台、タブレット5台 (iPad )、Androidタブレット含むスマートフォン5台の合計15台まで可能。オフィスP Cと持ち出しP Cの2台持ちが一般化する中、テレワークや在宅勤務への対応まで想定するなら、最大2台というインストール台数は、少なからぬエンドユーザー様にとり大きな制約になるはずだ。
Office 2019には、注目したいポイントがもう一つある。それはサポート期間だ。これまでMicrosoft Officeは、5年間のメインストリームサポートと5年間の延長サポート、合計10年のサポートが提供されてきた。Office 2019ではその見直しが行われ、メインストリームサポート5年、延長サポート2年の合計7年に変更された。
Officeライセンスは、3〜5年サイクルで行うハードウェア入れ替え後も継続して利用することが一般的だ。そのため、10年のサポート期間をフルに使い続けるというエンドユーザー様も少なくない。それだけに、サポート期間の変更はぜひともお伝えすべき情報の一つになるだろう。
なお、2015年リリースのOffice 2016の延長サポートは2025年10月に終了する。Office 2019のサポートライフサイクルはまだ正式発表されていないが、2018年秋の出荷開始を考えると、2025年後半にはサポートが終了する公算だ。つまり、2世代の永続ライセンス版Officeが同時期にサポートを終了することになる。これが偶然の一致と言えるのかどうか、判断する材料は現時点ではそう多くない。ただし、Microsoft Officeのサブスクリプションへの完全移行という、以前から囁かれてきた推測を補強する要素の一つであることは間違いない。
続き「第2特集 徹底検証!! Office 2019 vs. Office 365」は本紙でご覧下さい。 |
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