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2019年7月時点の情報を掲載しています。
ソーシャルビジネスとは、収益性を前提とした企業活動を通し、社会的課題を解決する取り組みを指す言葉だ。会員制交流サイト(SNS)を活用したビジネスと混同しがちだが、実は両者には名前以外にも共通点がある。それはビジネスにおいてIT活用が大きな役割を果たす点である。
ソーシャルビジネスとは、ビジネスというフレームを通し、社会問題を解決する取り組みを指す。言い換えると、収益事業を通した社会貢献への取り組みと言うことができる。
これまで行政の手が及ばない社会問題の解決には、NPOやボランティアによって行われることが一般的だった。だが、企業や個人の寄付金や政府の補助金を前提にした取り組みは多くの課題があるのが実情だった。
この問題を途上国の井戸掘削を例に考えてみよう。井戸を人々の暮らしに役立てるには、装置メンテナンスなどのアフターフォローも大切な課題だ。だが実際には、継続的な取り組みが行われなかったがために、せっかくの井戸が宝の持ち腐れになったという例も実は少なくない。
その背景にあるのが、寄付金・補助金の論理と現場ニーズのギャップである。企業寄付担当者の立場で考えれば、ステークホルダーの理解を得る上で、井戸掘削数という分かりやすい指標に目が向くのも仕方がないことだ。また、ボランティアの場合、生活との両立も大きな課題になる。こうした中、新たに浮上したのが、解決が求められる社会問題に対し、ビジネスとして継続的に事業活動を進める新たな仕組みだった。
「社会起業家」と訳されることもあるソーシャルビジネスは、バングラディシュで貧困層に小口事業資金の融資を行ってきたグラミン銀行とその創設者で経済学者のムハマド・ユヌスがノーベル平和賞を受賞した2006年頃から使われるようになった言葉だ。2007年に発足した経済産業省のソーシャルビジネス研究会は、ソーシャルビジネスは「社会性」「事業性」「革新性」を満たすビジネスと定義している。
ビジネスを通し、これまで解決されなかった社会的課題に取り組む上では、これまでにない新たなスキームの創出が不可欠になる。そのため、ITとの親和性の高さは当初から指摘されてきた。新たなソーシャルビジネスの成立の背後に、新たなテクノロジーの存在があることは珍しくない。Uberに代表される自動車配車テクノロジーの応用はその分かりやすい例になるだろう。近年、高齢ドライバーの事故が大きな社会問題になっている。その一方では、過疎化が進む地域ではバスや鉄道など公共交通機関の維持が難しくなっている。こうした課題の解決に、自動車配車テクノロジーに基づいた新たなビジネスモデルは大きな意味を持つはずだ。
I Tとの親和性の高さは、2017年にスタートした日経ソーシャルビジネスコンテストの第1回受賞者のラインアップからもうかがえる。この年、海外支援賞を受賞したのは、“富山の置き薬”のビジネスモデルをアフリカで展開したN P O法人で、それがビジネスとして成立した背景には、IoTによる在庫・補充管理、集金業務の省力化があった。また地方創成賞を受賞したのは、eラーニングの仕組みを活用することで学習塾経営が難しい地域でサービスを提供する学習塾運営会社だった。
最後にソーシャルビジネスの市場規模を見ておこう。内閣府の委託で三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が2015年に公表した報告書によると、日本国内でソーシャルビジネスを手掛ける法人数は20.5万社。その付加価値額は16兆円で対GNP比3.3%に及ぶ。従来のNPO法人や財団法人なども含めた調査であるだけに、厳密な意味ですべてをソーシャルビジネスと考えるべきかどうかは疑問も残るが、そのポテンシャルを示す数字であることは間違いない。ソーシャルビジネスへの積極的な取り組みを開始している大手SIerも多い。今後のITビジネスを考える上で、重要なファクターの一つになることは間違いないだろう。
日経ソーシャルビジネスコンテスト第1回受賞企業
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