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国人工知能の反乱は50年前の映画『2001年宇宙の旅』にも描かれる、人間とテクノロジーを巡る古くて新しいテーマだ。AIの実用化により、この問題はSF映画の中だけでなく現実的な課題になりつつある。
AIの反乱は、SF映画の古典『2001年宇宙の旅』の重要なモチーフの一つだ。謎の物質「モノリス」調査のために木星に向かう宇宙船エンタープライズ号に乗るのは、デビッド・ボーマン船長以下、5名の乗組員と「HAL9000」という名の人工知能。だが、本来乗組員と協力してミッションを遂行するはずのハルは、船外活動中の乗組員の宇宙服を破壊したり、冬眠中の乗組員の生命維持装置を停止することで、船員の命を次々に奪っていく。ハルの反乱から一人生き残ったボーマン船長は、単騎モノリスの謎に挑む。映画は未見という方も、そこから先、船長が体験することになる白一色の部屋や、そのイメージから派生したさまざまな映像表現には一度ならず触れているに違いない。
1968年の公開から半世紀が過ぎた今もなお、『2001年宇宙の旅』は解釈に謎が多い作品としても知られている。ハル反乱の理由については、「乗組員と協力してプロジェクトを遂行する」という命題と「探査の真の目的は乗組員に隠す」というもう一つの命題の間でハルが混乱をきたしたという解釈が一般的だが、それとは異なる多様な解釈も可能だ。
ちなみに、地球外の知的生命体との邂逅というテーマが色褪せさせるほど我々に強い印象を残すAIの反乱は、当初から意図していたのではなく、実はストーリー構成上の必要性に伴い生まれたアイデアだった。シナリオの第一稿では乗組員5人がモノリス調査を行っているが、監督のスタンリー・キューブリックや後に同名の小説を上梓したSF小説家のアーサー・C・クラークが、調査を1名だけが行うことで神話性を強調したいと考えたことがハルの反乱というアイデアにつながったという。
誰もが知る通り、映画の世界においてAIの反乱は、その後もさまざまな形で描かれ続けている。一方の現実世界でも、AIの普及に伴い、その反乱は現実のものになりつつある。オレゴン州ポートランドに住む夫妻に降りかかった災難はその一例と言えるだろう。
「今すぐAmazon Echoの電源を切ってください。二人の会話は盗聴されています」
自宅のすべての部屋にAmazon Echoを配置しスマートライフを楽しんでいた夫妻に、夫の部下からこんな連絡が入ったのは今年春のことだ。突然、スマートフォンのアドレスに夫妻の会話を記録した音声ファイルが送られてきたという。驚いた夫妻がその内容を確認すると、それはまさに今しがた交わしていた会話そのものだったという。
ではなぜ、Amazon Echoはこんな行動に出たのか。Amazonの調査で浮き彫りになったのは、以下のような誤謬の連鎖だった。
Amazon EchoのAIアシスタントAlexaを含め、音声入力を前提としたソフトウェアには、「ウェイク」と呼ばれる言葉を発することで指示待ち状態になる機能が備わっている。Googleアシスタントの「OK、Google」、Apple Siriの「Hey、Siri」、そして「Alexa」がそれだ。このケースでは、「アレクサ」と聞こえる音で指示待ち状態になったAlexaが「メッセージを送信」と聞こえた音を命令と判断し、「誰に送りますか?」と問い合わせたところ、夫の連絡先リストに含まれていた部下の名前に聞こえた音を送信先と解釈したという誤解の連鎖が原因になったらしい。
Alexaというウェイクは、日常生活であまり使われない音と中世の知の宝庫であるアレクサンドリア図書館を重ね合わせて選ばれたという。だが、Amazon Echoが認識するのは人の声だけではない。テレビやラジオから聞こえる声も、同じように認識している。今後、AIアシンタントの普及が進み、ニュース等で話題になることが増えるにつれ、こうした事故も増えるのかもしれない。
【最新ITキーワード】
・第43回 Alexaスキル【Alexa Skill】 【Vol.98】
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