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| 2010年1月時点の情報を掲載しています。
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 PC業界で2009年最大のトピックは、何と言ってもWindows 7のリリースだった。OSが変わるということは、それ自身が一大イベントであるわけだが、変わるOSに合わせてハードウェアやソフトウェアの動作検証を行わなければならないという意味で、マイクロソフトのみならず業界全体を巻き込むこととなる。その影響で、どうしても新規の開発は後回しになりがちだ。また、折からの不況、NetbookやCULV機に代表される低価格PCの台頭により、注目が高付加価値のハイエンドPCに集まり難い状況でもあった。 希望も込めて、2010年は高付加価値のPC、あるいはユーザに新しい価値を提供するPCが登場する年になって欲しいと思う。新しいOSへの対応を考えなくて済む2010年は、じっくりと開発に取り組む時間があるハズだ。そのカギを握るのはどんな技術だろう。筆者が期待するのは、Windows 7で導入されたにもかかわらず、まだほとんど利用されていない技術、センサーAPIだ。 センサーとは、物理現象あるいは物理的な作用を検知し計測するデバイス全般を指す。人感、赤外線、加速度、傾き、環境光、RFIDなど、電波や重力、赤外線（熱）に光など、様々な物理作用を検出するセンサーが存在する。 こうしたセンサーの中には、すでにPCに取り入れられているものもある。環境光を検知し液晶ディスプレイの輝度を調節する、加速度センサーでPC落下時にハードディスクのヘッドを退避する、GPSを利用してカーナビゲーションを行ったり、1日の行動のログを残す、といった使い方はすっかりお馴染みだ。 しかし従来は、これらのセンサーを扱うための標準化されたAPIが存在しなかった。したがって、せっかくのセンサーを特定のアプリケーション（専用アプリケーション）でしか利用できず、複数のアプリケーションから1つのセンサーを共有したり、逆に1つのアプリケーションから複数のセンサーを利用する、といったことが難しかった。要するに、センサーとアプリケーションが垂直統合されていたのである。 Windows 7で用意されたセンサーAPIは、こうしたセンサーからの出力を標準的に扱うためのドライバインターフェース（センサークラス拡張）を用意し、それをアプリケーションが取り扱うための標準的なAPIを提供する。また、こうしたセンサーの出力をセキュアに扱うことを可能にする。 これからの拡がりが期待される、センサーAPIだが、早速、12月に人感センサーを搭載した製品が発売された。アイ・オー・データ機器の「SENSOR-HM/ECO」だ。同製品は、PCの前のユーザの有無をセンサーで判断し、人がいない場合はPCを省電力制御モードへと移行する製品だ。このように、センサーAPIの利用によって、さまざまなことが可能になる。例えば、位置情報の取得ひとつをとってもGPSが利用できない時は、WiFiのホットスポットを使う、それもダメなら3Gの基地局から位置を取得する、といったことが可能になる。さらに一歩進めて、自宅／社内にいるか、外出先にいるかを判断し、外出先なら液晶の視野角を狭めたり、環境光センサーの出力に合わせてバックライトを調整することで、その時々で最適なディスプレイ環境に自動調整することもできるようになるだろう。 もちろん、こうした機能をサポートしたPCが2010年に登場するかというと、それはまた話が別だ。センサーの搭載とそれを生かしたアプリケーションの作成は、一歩ずつ進めていく必要がある。それでも、2010年はそうした方向性に踏み出したことを実感できる、新しいPCの登場を期待したい。
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