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| 2009年7月時点の情報を掲載しています。
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 どうやら2009年は、PC業界にとってOSの年となりそうだ。6月上旬Microsoftは、台北で開かれたComputexで、次のメジャーアップデートとなるWindows 7のアメリカでの店頭販売が、10月22日になることを明らかにした。 その翌週、Appleはサンフランシスコで開催した開発者向けイベントで、次のMac OS XとなるSnow Leopardが9月中にリリースされるだろうと発表している。しかもAppleは、通常は100ドルを越えるOSのアップグレード料金が、Snow Leopardについては29ドルという破格値になることも明らかにしている。特別サービスなのか、価格を安価に設定しないといけない理由があるのか、それともリリース時期の近いWindows 7に対する先制パンチのつもりなのか、その意図は図りかねるが、衝撃的な価格設定だ。 こうしたつばぜり合いはともかく、MicrosoftとAppleの両社が、それぞれの次期OSでサポートする共通した新機能がGPGPUだ。これまでGPUは、もっぱら3Dグラフィックスのために使われてきたが、その性能を遊ばせておくのはもったいないというわけで、汎用目的（General Purpose）に使おうというのがGPGPU（General Purpose GPU）である。 このコンセプト自体は2005〜2006年頃から叫ばれるようになっていたが、今まではそれぞれのGPUに依存した形での実装が中心だったこともあり、今のところ一般に広く普及しているとは言い難い。Windows 7はDirectX 11 Computeとして、Snow LeopardはOpenCLとして、それぞれGPGPUをハードウェアに依存しない形でサポートする見込みであり、GPGPUの普及を妨げていた1つの要因が取り除かれることになる。だが、OSの標準機能としてGPGPUが取り込まれることで、次の課題が浮かび上がってくる。GPGPUは何の役に立つの？という疑問だ。 元々3Dグラフィックス用に特化した浮動小数点演算機能だけに、OfficeスイートやWebブラウズといった日常的なアプリケーションの処理にはあまり向かない。グラフィックスカード上のGPUとそのローカルメモリで処理を行う関係上、CPUで処理されるメインプログラムとは別に、まとまった量の計算をGPUに実行させて、その結果だけ受け取るという処理が望ましい。が、そうした条件を満たす処理の多くが、一般ユーザには縁遠いHPC（High Performance Computing）分野だったりする。 一般的なアプリケーションとしては、ビデオエンコードや音声処理の可能性が語られているが、ビデオエンコードそのものを日常的に行うユーザは決して多くない。もうひとひねり、こうした処理を日常的なアプリケーションにどう生かすかということを考えねばならないハズだが、まだそのヴィジョンを語るベンダーは現れない。 すでに新OSのリリースまで半年を切ったというのに、具体的なバンドルアプリケーションの情報や、性能向上の指標が示されることもないということは、GPGPU機能を生かしたアプリケーションがOSに標準添付されることはないのだろう。MicrosoftだけでなくAppleも、GPGPUを生かすアプリケーションをバンドルできないということは、それだけこの技術の使い道が難しいということのように思える。そこに利用可能な演算能力があるのに使い道が見つからない。何とも歯がゆい限りだ。
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