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 「なかなか日本ではITが根付かない」という話が多い。携帯電話やデジタルカメラ、Eメールなどのように、一般論としてのITのコモディティ化は、若年層を中心に、かなり浸透しているように感じられるが、企業の風土としての視点ではどうだろうか。 日本型経営とは何か？ 日本型経営の代表的なものは、終身雇用、年功序列、大企業偏重、中央集中、下請け構造などである。最近は大手企業の倒産や市場のグローバル化によって、若干の変化が起きているものの、基本的には変わっていない。そのような変化を牽引してきたのは、外資系企業であったが、リーマンショック以降は衰退し、再び大企業偏重の社会や経営に逆戻りしている。また、テレビに出てくる大手企業の社長は高齢で、威張って見える人が多い。残念なのは何か問題が発生しての「お詫び会見」がテレビ出演のほとんどであることだ。若者がこのような報道を目にして、本当に夢を追いかけたくなるだろうか。 結局、よい大学を出て、何十年もトラブルなく会社勤めをし、サバイバル競争を勝ち抜いて威張れたとしても、「そのような人生って本当に幸せなのだろうか」と若者が思うのは自然で、特に何もやりたい仕事を見つけられない若者が多い。そのため、社会的環境としてのIT（モバイルなど）に慣れ親しんでいる若者世代は、経済社会でのIT実践がまったくできずにいる。これが、IT活用における日本の経済発展の大きな障害となってきている。 従来のITの専門家と言われる人たちが作っているシステムよりも、社会的環境でITに触れている若者のアイデアを重視した新しいITシステムを検討すべき時であろう。例えば、iPhoneなどスマートフォンを活用した社内業務システムなどは、システム費用削減に効果があるだろう。最近ではAPIが公開されている機器も多く、社員自身がアプリケーションを開発することが比較的容易に行える。 もう一つ、日本型経営へ問題提起したいことは、「多様化」への対応である。日本の教育は、未だに画一化を推進している。不得意科目の克服に努力させ、得意種目を伸ばすことをしない。このため、人々は多様化が実際に進み始めている若者社会に対応できず、多くの脱落者を生んで、皆同じ方向を目指す画一化教育に埋没してしまった。よく考えてみると、日本の経済社会の縮図とも言える。我々は新事業のための事業計画を作成すると、経営者から必ず言われるのは、「どの程度の市場規模があるのか」「競合他社の動向はどうか」などのような質問だ。 皆と同じ市場を同じような戦略で攻めても、成功する確率は極めて低くなる。特に中堅・中小企業においては、下請け構造から抜け出し、大企業と対決できる数少ないチャンスを見逃していることが多い。したがって、中堅・中小企業の安定志向が主流の日本では、新しいビジネスが生まれることは非常に稀な現象になってきている。 この日本の窮状を打破するのは、多様化した若者文化であることが考えられる。ぜひ中堅・中小企業の経営者は、社会に失望するあまり発言がなされていない若者の声に耳を傾けてほしい。そうすることが新しい日本の活力となっていく可能性が非常に高いからだ。 |
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