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| 2010年7月時点の情報を掲載しています。
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 これまで子供だましとして片付けられることの多かった、立体視できる3D映像技術が話題になっている。ハリウッド映画「アバター」の大ヒットが、3D映像技術に対する人々の期待値を引き上げたことが大きな理由だろう。まだモデル数は少ないが、薄型TVに続いて、3D映像技術に対応したPCも登場してきた。 立体視の基本は、立体感を感じられるような視差を脳内に作り出すことにある。左目と右目それぞれに、適切な視差を生み出すような別の画（同じ物体を違った角度から撮影した画）を見せることで、人は画像に立体感を感じる。立体視で半ば不可欠となっている3Dメガネは、方式の差こそあれ、左右の目に異なる画を見せるために存在する。携帯電話やポータブルゲーム機用の小型液晶パネルの中には、メガネを必要とせず、立体視可能なものが登場してきているが、一定以上の距離をとって試聴するTVやPC用ディスプレイでは、メガネなしの立体視はまだ実用化されていない。現在の3D映像技術にとって、良くも悪くもメガネがカギを握るのだ。 PCディスプレイやTVで使われている3D映像技術は、大きく分けると偏光フィルムを使った方式と、液晶シャッターつきメガネを用いるフレームシーケンシャル方式の2通りがある。前者は、左目用の画と右目用の画を、画面の走査線の1本毎に異なる偏光でディスプレイに描写し、それぞれに対応した偏光フィルムを左右に貼り付けたメガネで試聴する。これにより左目と右目に、それぞれ別の画を送り届けることが可能になる。 この方式の利点は、追加するハードウェアが偏光フィルム程度で済むため、比較的安価なこと、メガネが軽量でバッテリー等を必要としない点にある。その一方で、左目用の画と右目用の画が完全に分離されないこと（クロストーク）による3D効果の低下や、ディスプレイに対する適切な視聴角度が限定される、という問題が指摘されている。また、走査線1本毎に左右用の画を送るため、垂直解像度を半分犠牲にせねばならない。 一方、フレームシーケンシャル方式は、左目用と右目用の画を、1フレーム毎に送り出し、液晶シャッターのついたメガネで、左目用の画を送っている時はメガネの右目側のシャッターを閉じ、右目用の画を送っている時はメガネの左側のシャッターを閉じることで、左右の目に独立した画を届ける。この方式は、比較的視聴角度が自由で、クロストークを抑えられるため高い3D効果が得られやすいというメリットがある。反面、液晶シャッターの開閉やその画面との同期が必要になるため、メガネに電源が必要で重く高価になりやすい。解像度が確保される一方で、フレームレートの半分を犠牲にしなければならないから、それを補完するため、通常より高いフレームレート（PC用では120Hzが主流だが、TVでは240Hzの高リフレッシュレートも使われる）を確保する必要があり、これもコストを押し上げる。 何より厄介なのは、3Dメガネを着用している間、ユーザは3D画像を見る以外のことがしにくい、という点だ。食事をしながらTVを見る、家事の片手間にTVを見るといった用途に3Dは不向きである。PCディスプレイにおいても、3Dメガネをかけた瞬間から、PCはフルスクリーンで3D画像を表示するための専用機となってしまう。3Dメガネ間に互換性がないことも含め、そのハードルは高い。 果たして、これだけの犠牲を払っても、3D画像を立体視することにメリットを見いだせるかどうか。すべてはコンテンツ次第であり、アバターやアリスに続く3D映画のヒット作が登場するか、PC向けに立体視を前提にしたキラーアプリ（最初はゲームか）が誕生するかにかかっている。コンテンツの動向を注視したいところだ。
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