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巻頭特集 昨年効果のあった節電対策の提案シナリオ 節電ビジネスの拡販で2012年夏を乗り切る!
2012年5月時点の情報を掲載しています。

5月5日に北海道電力 泊発電所3号機が定期検査に入り、国内すべての商用原子力発電所が停止。その結果、日本の電力需給状況はさらに悪化した。さらに今夏は、猛暑が予想されており、比較的冷夏であった昨年よりも大幅な電力需要が予想されている。そのため電力会社から企業や家庭に、節電の協力要請が出ることは間違いない。さらに場合によっては、ペナルティを含む電力使用制限令が発せられることも想定しなければならない。このような状況の中、エンドユーザ様は、顧客向けの製品供給やサービス提供を止めないように、事前の入念な準備が不可欠となる。そこで昨年効果があった節電対策を中心にパートナー様の節電ビジネスに最適な提案シナリオを考えてみたい。



節電2012年の傾向と対策 今年の夏は昨年以上の節電が要求される

商用原発全停止の非常事態が現実に
 2011年3月11日に起こった東日本大震災を境に、日本のエネルギー事情は一変した。それまでは「温室効果ガスの排出量をいかに削減するか」が国および産業界に課せられた主要なテーマであったのに対し、震災によって福島第1原子力発電所が失われた後は「電力をいかに安定的に供給するか」が最優先の課題となったのである。
 原子力発電所では、年に1回、電気事業法に基づく定期検査を実施しなければならない。これまでは、原子炉を停止させて2カ月から3カ月かけて検査を行った後に、管轄となる自治体の了解を得て再び稼動させるのが慣例だった。ところが、福島第1原子力発電所の事故原因が完全には究明されていない現状で、再稼動の了解を取りつけるのはきわめて困難。その結果、福島第1以外の原子力発電所も次々と停止してしまい、2012年5月5日に北海道電力の泊発電所3号機が定期検査に入り、国内50基(福島第1原子力発電所の4基は2012年4月19日に廃止済み)のすべての原子力発電所が停止状態になってしまった。
 原子力発電ができなくなると、具体的にはどのような影響が出るのだろうか。
 電力会社の業界団体である電気事業連合会が公開している電気事業データベース「FEPC INFOBASE」によれば、日本の総発電電力量に占める原子力発電の割合は、2010年度の実績で28.6%となっている。対策をとらなければ、3割弱の電力が使えなくなるのだ。
 電力会社は、発電電力量を増やすための対策として、火力発電所のフル稼動、ガスタービン発電機の設置、自前の発電所を持つ企業からの電力の買い上げ、電力会社間での電力の融通など、さまざまな対策を講じている。その結果、各電力会社は火力発電所のフル稼動にともなう燃料コスト増を電力料金に上乗せすると表明しており、この4月からは企業向けの契約で10%以上の単価引き上げが段階的に始まったことは記憶に新しい。
 その一方で、相対的に単価の低い独立系発電事業者(IPP)の“電力在庫”はすでに払底しており、電力供給の余力はどこにもない。


今夏、さらに厳しい節電対応が要求される
 2011年7月1日、政府は、夏場の電力不足に備え、東京電力と東北電力管内の大企業などに対し、2010年比15%の節電を義務付ける電力使用制限令を発動した。37年ぶりに発動された電力使用制限令は、電気事業法27条に基づき、電力使用制限令の対象となる企業(契約電力が500kW以上の大口需要家)が、求められた節電を実施していないと法令に基づく罰金を科すというもの。前年同期の同じ時間帯の1時間ごとにチェックし、故意の違反と判定された場合、その1時間ごとに最大100万円の罰金の支払いが科せられたのだ。
 節電によって業務に多少の支障が出ることは避けられないが、不意の停電や輪番停電で損害が発生する事態は避けたい。より多くの企業や家庭が節電に努めることにより、不意の停電を防ぎ、輪番停電の回数と時間を減らせる。昨年、日本は一丸となって節電に取り組んだ。大口需要家は、勤務時間の変更や休日の変更なども取り入れた積極的な節電へ取り組み、また、中小企業や家庭も節電に協力することで、夏場の輪番停電は回避された。電力不足による混乱を回避できたのだ。
 そして、今年もまた夏がやってくる。今年は、昨年以上に厳しい「節電」が求められる。原子力発電所の停止による電力の供給不足に加え、今夏、猛暑の予報がある。そして、積極的に実施した昨年の節電実績がベースとなり、それを超える節電対応を要求されるからだ。


電力供給不足を解消する戦術とは?
 節電の実施を提案する前に、まずはエンドユーザ様の電力使用状況をモニタリングツールなどで確認し、把握することが第一歩だ。その結果、目標節電量に必要な節電計画を立てられる。手当たり次第の節電では、確かな効果は得られないし、費用も無駄になる。
 電力供給不足を解消するための節電は、これまでに行ってきた「温室効果ガス排出量削減のための節電」とは異なる戦術での対応が必要だ。
 温室効果ガス排出量の削減は年間を通した総量としての取り組みであるのに対し、電力供給不足への対応は特定の時間帯(例えば午後1時から午後4時まで)が対象となるからだ。総量を目標値以下に削減できればそれに越したことはないが、それができない場合でも、特定の時間帯だけ操業を停止するピークカットやピークカットした操業を休日や夜間の操業で埋めるピークシフトといった戦術での対処が求められる。
 一般のオフィスの場合、節電対策の優先順位としては、まずオフィスの消費電力の4割をしめる照明のリプレースから提案することがセオリーだ。次に、PCや多機能複合機などの電気・電子機器、そして空調という3つのポイントを中心に考えたい。以下では、この3つのポイントに沿って、昨年効果の認められた具体的な対策を見ていくことにしよう。


arrow 続き、「昨年効果のあった節電対策の提案シナリオ 節電ビジネスの拡販で2012年夏を乗り切る!」は 本誌を御覧ください。
■日本の総発電電力量に占める原子力発電の割合は約3割表
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■2つの節電戦術 ピークカットとピークシフト表


■他企業との協業で電力需要抑制を進める東京電力
東京電力株式会社は、ピーク時の電力需要を抑制するための施策の一つとして、他企業との協業6件をスタートさせた。企業・家庭の電力抑制を可能にする技術やサービスを持つ企業・団体と手を組み、協業を通じて発揮された効果に応じて対価を支払うことにしたのである。企業・家庭にとっては電気コストを抑えられること、協業に加わる企業にとってはビジネスを拡大できることが、おもなメリットだ。
 2012年3月の東京電力の発表によれば、協業に参加したのはNTTファシリティーズ、環境経営戦略総研、関東電気保安協会、三愛石油、日立製作所などの9社・団体。2012年度夏期には約40万kW、2014年度夏期には約140万kWの抑制効果があると見込まれている。
表
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■オフィスの消費電力は 4割が照明を占める表

 

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