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2013年11月時点の情報を掲載しています。
10月31日、UQコミュニケーションズ株式会社が超高速モバイルブロードバンドサービス「WiMAX 2+」の提供を開始した。同社は2009年2月26日に、「UQ WiMAX」の名称でWiMAXの試験サービスを開始、同年7月1日から正式サービスを開始しており、今回のWiMAX 2+は、その後継サービスとして位置づけられる。UQ WiMAXで用いられているWiMAX技術は、モバイルWiMAXとも呼ばれ、時速120kmでの移動中もハンドオーバー(基地局の切り替え)が可能なことが特徴だ。UQ WiMAXの下り通信速度は最大40Mbps(上りは最大15.4Mbps)だが、WiMAX 2+では、下り通信速度が最大110Mbpsと3倍近くに高速化される。光ファイバーを利用するFTTHサービスでも下り通信速度100Mbpsや200Mbpsが主流であることを考えると、無線通信技術としては驚異的な速度といえる。また、通信速度が向上しただけでなく、ハンドオーバー技術も進化しており、時速350kmでの高速移動中でもハンドオーバーが可能だ。
サービス開始時点でのWiMAX 2+のサービスエリアは環状7号線内に限られるため、現在発売されているWiMAX 2+対応ルーターは、WiMAXとWiMAX 2+の両対応になっており(WiMAXとWiMAX 2+では規格自体の互換性はない)、シームレスにWiMAXとWiMAX 2+との切り替えが可能だ。WiMAX 2+のサービスエリアは、2013年度末には関東・中部・関西の一部に広がり、2014年度末には全国主要都市をカバーする予定だ。
WiMAX 2+は、モバイルインターネットのあり方を大きく変える可能性を秘めている。これまでのモバイルインターネット環境では、FTTHやADSLといった有線インターネット環境に比べて速度が格段に遅かったため、有線インターネット環境とモバイルインターネット環境では同じサービスを同じ感覚で利用できないことが多かった。例えば、動画配信サイトの動画を見る場合、有線インターネット環境では高精細なフルHD動画を快適に視聴できるが、モバイルインターネット環境ではより低解像度の動画で我慢するといった具合だ。しかし、WiMAX 2+なら、下り速度が有線インターネット環境と比べても遜色はなくなり、フルHD動画のストリーミング配信が可能になるほか、大容量ファイルのダウンロード時間も大きく短縮される。ただし、上り速度は最大10Mbpsと従来からの据え置きとなっているため、大容量ファイルのアップロードにはあまり向いていない。
WiMAX 2+の利点を活かすビジネスとしては、やはり高精細動画のストリーミング配信や一括配信が挙げられる。最近のUltrabookは、液晶の高解像度化が進んでおり、フルHDを超える解像度の液晶を搭載した製品も続々登場している。高精細動画配信は、そうした高解像度液晶搭載Ultrabookにマッチするサービスである。映画やアニメなどの既存コンテンツだけでなく、人気の講演会やプロスポーツの試合などの様子を有料でリアルタイム配信するといったビジネスも考えられる。また、フルカラー写真を多用した雑誌や書籍も短時間でダウンロードできるため、電子書籍関連ビジネスにも向いている。さらに、クラウドを介したデータ同期も短時間で完了するので、クラウドベースのソリューションにとっても追い風となる。
WiMAX 2+は、まだサービスが開始されたばかりだが、技術的な素性はよく、今後もさらなる高速化が期待できる。WiMAX 2+のサービス開始によって、モバイルインターネット環境と有線インターネット環境を区別せずに使える時代が到来したのだ。
text by 石井英男
1970年生まれ。ハードウェアや携帯電話など のモバイル系の記事を得意とし、IT系雑誌や Webのコラムなどで活躍するフリーライター。
WiMAX 2+対応ルーター「Wi-Fi WALKER WiMAX HWD14」。WiMAX 2+とWiMAXだけでなく、au 4G LTEにも対応する
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