2015年7月のWindows Server 2003サポート終了まで、いよいよ1年を切った。工数が多く、検証期間も必要なサーバーリプレースは、もはや一刻の猶予もないというのが実情だ。そこで、今回は、効果的な提案方法を紹介するとともに、残りの期間でやらなければならないサーバーリプレースのチェックリストを作成した。ぜひ、パートナー様にご活用いただいて、マイグレーションビジネスを成功させていただきたい。 |
2013年時点で、日本国内で稼働するWindows Server 2003は約36万台(日本マイクロソフト調べ)。Windows XPサポート終了に続く、大きなマイグレーション需要が生まれると見られている。
クライアントOS移行と比べ、サーバーの移行は手間も時間もかかる点には注意が必要だ。特にアプリケーションサーバーの移行の場合、移行検証が不可欠。またWindows Server 2003の32ビット環境から移行の本命であるWindows Server 2012 R2の64ビット環境への移行にともなう工数にも注意が必要だ。
32ビット環境から64ビット環境への移行は、バージョンアップによる対応ができない。そのためActive Directoryの移行が必要な場合は、多くの手順を慎重に行う必要がある。これらを考えると、サポート終了まで1年を切った今は、もはや一刻の猶予もないというのが実情だ。まだエンドユーザー様への移行提案を行っていないならば、今すぐにでも行う必要がある。
Windows XPの移行を通し、OSサポート終了後のセキュリティリスクへの認知は高まっている。サーバーのリプレース提案では、セキュリティリスクの喚起だけでなく、リプレースによるメリットの訴求を行うことも大切になる。
その第一のポイントは、最新鋭サーバーが備える機能の有意性だ。特に分かりやすいのは、仮想化によるサーバー統合だ。複数台のサーバーの維持・管理に苦慮するエンドユーザー様にとって大きな意義を持つに違いない。
ハードウェアのスペック向上も大きなメリットの一つだ。Windows Server2003と同価格帯の最新鋭サーバーを比較すると、処理能力の大幅向上と消費電力の3割以上の削減が実現されている。仮想化によるサーバー台数削減と併せ、電力消費の大幅削減が可能だ。
またハードウェアの安定稼働の実現もポイントになる。稼働期間が最長10年近くに及ぶWindows Server 2003はすでに老朽化が進んでいるはずだからだ。なおサポート終了後はベンダーによる保守部品の供給もストップしていくと見られている。
また、サーバーリプレースはシステム全体を見直す機会でもある。その際にぜひ注目したいのが、クラウドの活用だ。これまでサーバーの移行は、「オンプレミスとクラウドのいずれか一方を選ぶ」という考え方が主流だった。だがクラウドとの親和性が大幅に向上したWindows Server 2012 R2の登場によって、目的に応じて双方を使い分ける“ハイブリッド型”のシステム構築も容易になった。
クラウドを利用した初期投資を抑えた形で導入可能な提案は、新需要の掘り起こしとクロスセルの機会拡大を生むに違いない。
次に、ハイブリッド型のサーバー移行提案を具体的に考えていこう。
まず注目したいのは、日本マイクロソフトが提供する企業向けSaaSであるOffice 365とのクロスセル提案だ。その名称から誤解されがちだが、Office 365は従来のOffice製品の機能のほかにも幅広い機能を備えている。特にお勧めしたいのは、Exchange OnlineとOutlookを利用した「スケジュール管理」、企業向けクラウドストレージOneDrive for Business(旧名称:SkyDrive Pro)による「ドキュメント管理」などだ。これらを利用することで、クラウド上でのグループウェア運用が容易に実現する。
また遠隔地間の会議システムに対するニーズが高まる中、Lync Onlineによる「Web会議システム」に魅力を感じるエンドユーザー様も多いはずだ。
Office 365はOpen Licenseによって、一般商材同様に仕入れることが可能なので、パートナー様は、他の商材と同じように販売することができる。
ハイブリッド型システムは、DRサイト(Disaster Recovery site)構築においても効果的だ。東日本大震災後、DRサイトのニーズが高まっているが、中堅・中小規模の企業の場合、主にコスト的の理由から、導入を断念するケースが少なくない。だが、Windows Server 2012 R2が標準装備する機能である「Hyper-Vレプリカ」と、マイクロソフトが提供するパブリッククラウド「Windows Azure」を組み合わせることで、初期投資なくDRサイトを構築することが可能になる。
Hyper-Vレプリカは、二つのホスティングサーバー間でHyper-V仮想マシンの非同期レプリケーションを行う機能。Windows Server 2012ではじめて
登場したものだが、Windows Server 2012 R2において大幅に機能が強化されている。
強化のポイントは、大きく二つ。一つは、バックアップサイトのレプリカが構成できるようになったこと。もう一つは、レプリケーションの間隔を「30秒」「5分」「15分」から選択できるようになった点である。それにより、「同一ラック内の物理サーバーと30秒間隔で差分レプリケーションを行い、遠隔地のバックアップサイトとは15分間隔で差分レプリケーションを行う」という使い方が可能になった。現時点では未対応だが、年内にはWindows AzureがHyper-Vレプリカのバックアップサイトとして利用できるようになる見込みだ。
また、Windows Azure上でデータバックアップを行うWindows Storage Serverを搭載したNASの登場も注目したいポイントの一つだ。その一つがバッファローの企業向けNAS『テラステーション WSS』シリーズで、障害発生時のデータ復元だけでなく、Windows Azureにアクセスし外出先からデータを参照するなど、幅広い用途に活用が可能だ。
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